ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

南京大学集中講義
(南京大学生対象)
2016年度「色」

2017.Feb.10

概要

南京大学集中講義のリアルタイムでのレポートやフィールドワーク研修の様子は、facebookでご覧いただけます。

 「Aアー 黒、Eウー 白、Iイー 赤、Uユー 緑、Oオー は青」と詩人は言った。「色」はものとして存在するわけではない。幸せをもたらす「緑の光線」は緑色の何かから発しているわけではないし、晴れた日に戸外の影が青みがかってみえるとしても、そこに青い何かがあると考えるのは間違っている。しかしそれは「色」の現象が恣意的であるということを意味するものではない。その知覚はむしろ、精妙な物理的、身体的、心理的、さらには文化的プロセスに従うものなのだ。その結果として、同じものが異なった色に見えたり、別の感覚が色の知覚をもたらしたり(「共感覚」)といったことが起きることもまれではない。その一方で、そうして私たちが経験するにいたる「色」は、私たちの生に深く入り込み、これをさまざまな形で規定するものでもある。それは私たちの気分と密接に結びつき(この文脈でゲーテの 『色彩論』ははずせない参照先だ)、社会的な身分の表現手段となり(西洋文学に例を求めれば『赤と黒』、また歴史であれば「冠位十二階」制度など)、さらには深刻な社会的分断の原理となる(人種差別!)。また日本文化の中で「色」は強く「欲」の次元と結びついた語彙でもある。それは「欲」をそそる何かをさすばかりでなく(「色欲」「色気」など)、やがてそうした「欲」の向かう現世的な事物の総体を指す表現となるだろう(仏教の「色即是空」)。本講義ではこうした広大なひろがりをもつ「色」の現象に、文理の領域にまたがる分野の教員によるリレー講義のかたちでアプローチする。

 本講義は、海外の大学で駒場の授業を現地の学生とともに受講し、共同研究を行う新しい自由研究ゼミナールです。東大の教員によるオムニバス形式の集中講義として、2016年3月に中国の南京大学で開講されます。履修者は、この研修に1週間参加し、午前中は講義、午後は南京大生との共同研究を実施する。履修希望者は10月に開催するプレ講演に参加し、レポートによって派遣学生を選抜する。学部生から大学院生まで、学年を問わず参加を歓迎し、国際交流とあわせて、東大内部の縦の交流を進めることを目指しています。

 本講義を企画するリベラルアーツ・プログラム(LAP)は、東大のリベラルアーツを海外に発信する教育プログラムとして、2010年に「身体論」をはじめ、毎年異なるテーマで受講者に1つのテーマに対して多様な切り口を提供するインターディシプリンの講義を開催してきました。また、フィールドワークでは、南京大生との共に南京の街を歩き、共に街の人々の生活を「再発見」することを期待しています。 

 単位登録についての説明は、ガイダンスで行います。
 
*前期課程:全学自由研究ゼミナール
*受講人数:学部生、大学院生あわせて20名
*開講場所:ガイダンスは1号館150教室、プレ講義も1号館150教室、集中講義は南京大学
*開講期間:

ガイダンス:9月24日(木)6時限目(18:45~20:30)

プレ講演の開催日:ガイダンスで説明する
集中講義:2016年3月6日~20日に、2班に分けて1週間ずつ派遣する予定
*参加費用:旅費及び滞在費について、一部学生負担とする。負担額等を含む南京大学での集中講義の概要についてはガイダンスで説明する。
 
【成績評価】
レポートによる合否判定
 
【ガイダンス】
参加希望者は必ずプレ講演に参加し、選考レポートを提出すること。ガイダンス及びプレ講演の開催日をLAPホームページを参照して下さい。

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