渡邉 正男
14世紀日本における社会秩序形成・維持構造の変化

2012年3月21日
日時:2012年3月21日(水) 10:00~12:00
場所:南京大学鼓楼キャンパス逸夫館Ⅱ736教室
受講者:日本語科と歴史学部の学生(逐次通訳付き)
[講演者紹介]

東京大学史料編纂所准教授。
専門は日本法制史。法・制度および権利の関係のあり方が歴史的にどのように変化していったかを、史料に基づいて、具体的に明らかにしたいと考えています。現在は、14世紀の社会秩序の構造変化において、在野の法知識・法技能を有する者達が果たした役割に関心があります。
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学生の声
今年の東京大学による集中講義を聞いていろいろと勉強になりました。生物学、哲学、ジェンダー論、史学、言語学、神学などの多岐に亘る分野の知識の勉強だけではなく、物事を見る角度そして方法論の勉強もできました。例えば、渡邉先生の「14世紀の日本における社会秩序の変容とその維持構造」という講演に用いられた資料ですが、これらの資料は去年の「記録と記憶」の視点から見れば六波羅探題の役人の法知識に対する記録と記憶の不足という問題を反映していますが、「変容」と視点を変えてみれば、秩序の変容を促す背景をなしていることが窺われます。これは従来の視点にとどまらないで、常に新しい物事を見る角度を探す必要があることを教えてくれたのみならず、いかなる視点が可能なのかをも示唆してくれたのです。
(南京大学修士1年生の感想より抜粋)
講師インタビュー
石井 では次は、渡邉先生お願いいたします。
渡邉 昨年度に引き続いて参加させて頂いたんですが、今回は授業ではなくて講演ということでしたので、どういうスタンスでやったら良いのかということがわからなかったというのと、変容にどう絡めれば良いのかというのも良くわからなかったので、ちょっと中途半端になったかなという感じはあります。それと、前回は秩序維持の構造について記憶と記録というところから、構造がどうなっていたかということをやったので、今回はその構造がどう変化していったかというところを見れば、つながるものもつながるし、テーマにも合うかなということで、同じ史料を半分くらい使いながら、そのあとを示す史料を足してお話を作ってみたという。何人か話を聞いた感じでは、日本史が皆すごく好きなんだなということが分かりました。日本の歴史が好きだという学生が多くて知識もあったので、日本史だからといってハードルが上がるということもなくて。自分としては嬉しいことでした。ただやっぱり時間が短かったのと、討論が出来なかったのが少し残念です。自分の授業の話はさておいて、非常にうれしいことにそのあと(高橋先生の)授業にも参加させて頂けて(笑)。質問もしたかったんですが、やっぱり学生主体の授業ということでそこで質問して討論ふっかけてもとも思って。できればそういう時間を取ってほしかったかなという感じはしますね。学生討論をやる時とかに、居残ってる先生と講義した先生をごった煮にしてやらせてもらえたら面白かったかなとは思います。今回討論は無かったので、そこのところが不満というか(笑)。
石井 赤木さん渡邉先生の講演出てたよね。
赤木 私、南京大学の学生さんの感想を読んで、あぁそうか、これは違う視点から、記録と記憶で出た史料を出したということだなと気づいたのですが、当初の感想としては、むしろ「おお続きだ!」と思って、あそこでやきもきしていた世界の続きが聞けて純粋に面白くて。学生さんもかなり興味深そうに聞いていました。
石井 続きなのにもかかわらず分析の切り口が違うという。
赤木 そうですね新鮮でした。前回のは確かに記憶と記録にばっちりだったし、今回のは延ばしたことで変容にばっちりというのが、すごいなぁと。歴史学は何でも出るなぁと思っていました。
渡邉 日本の中世なんて史料があると言っても残ってないですから、皆同じ史料を見て考えるわけで、共有しているものは同じで、そこから何を出してくるかというのが。そういう状況の中でやるので、同じ材料でも何を切り出せるかというのが勝負というところもあるので。
石井 先生の講演には日本語学科以外の学生も参加していたとか?
赤木 そう、農業大だっけ?
渡邉 何かそんなところからきていてあとで質問に来ましたよ。歴史学専門じゃないと思うんだけどね。やっぱり日本史が好きな人が多いんだなって。一般的なレベルで抵抗なく日本の中世や近世を受け入れて楽しんでいる感じでしたね。
刈間 多分ここ4~5年でだいぶ変わったんだと思いますね。以前だとそういうのは無かったと思う。
(2012年4月24日に行った南京集中講義意見交換会より抜粋)
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