中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 南京大学フィールドワーク研修【3月】2012年度

集中講義の感想(南京大学M1)

今年の東京大学による集中講義を聞いていろいろと勉強になりました。生物学、哲学、ジェンダー論、史学、言語学、神学などの多岐に亘る分野の知識の勉強だけではなく、物事を見る角度そして方法論の勉強もできました。例えば、渡邉先生の「14世紀の日本における社会秩序の変容とその維持構造」という講演に用いられた資料ですが、これらの資料は去年の「記録と記憶」の視点から見れば六波羅探題の役人の法知識に対する記録と記憶の不足という問題を反映していますが、「変容」と視点を変えてみれば、秩序の変容を促す背景をなしていることが窺われます。これは従来の視点にとどまらないで、常に新しい物事を見る角度を探す必要があることを教えてくれたのみならず、いかなる視点が可能なのかをも示唆してくれたのです。

また、今回の集中講義は特定の分野に関する学習のきっかけも作ってくれました。「キリスト教における変容」という講義を通して『聖書』における種々なる変容とそれに関連する要素を知り、『聖書』に対する関心が高まりました。『聖書』を一度読んだことがありますが、深く考えることなく単にキリストを知る物語として読み通しました。今回の講義を聞いて、「変容」という視角でもって『聖書』を再び読み直すことに決めました。また、『聖書』を読みながら、日本の記紀神話との比較、また日本の記紀神話における「変容」に対する思考もしたいと思います。

更に、今回の集中講義は日常に隠れた「美」を見出させてくれました。我々はよくマクロの物また表層に浮かぶ物に引かれて感動しますが、その物のミクロの一面そして深層に潜んでいる何かには目を向けようとはしません。例えば、私たちは花を見ると、その美しいオモテの虜になってそればかり賛美していますが、その美しさはどこから来たのか(美しさを条件づける要素)、どうなっていくのかについてはあまり考えていません。ところが、今回の講義を通して植物の細部・内部にある、外部を支えるものを幾分か知り、ウラに隠れた「美」を鑑賞できるようになりました。また、ボロッコリー・カリフラワーに見られるフィボナッチ数列の分布は無駄なく日に当たるためであることを先生から教えていただいて、植物の偉さ、そして自然の偉大さに敬意を払わずにはいられません。

以上は今年の東京大学による集中講義を聞いての感想です。感想のほか、意見をも述べたいと思います。それは講義の内容が素晴らしいですが、私たちはこれらの内容に関する基礎知識がないため、何の予習もなく直接に講義を聞くと十分に吸収・消化できないという問題です。この問題を克服するには、事前に各先生のテーマに関して書いた論文或いは書物の電子版を送っていただいたらいかがであろうと思います。これが解決されると、各先生の授業の内容も満喫できるし、内容に関する先生・学生との交流も盛んに行われるでしょう。

(南京大学M1)

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