中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 南京大学フィールドワーク研修【3月】2012年度

集中講義の感想(南京大学4年生)

2012年3月1日から3月24日まで、ほぼ一か月にわたって、東京大学総合文化研究科の先生方から「変容」というテーマを巡って、日本の各分野における先進的な研究を聞いた。先生方は生物の変態、脳の可塑性、政体の変革(革命)、また民俗学や精神医学などいろいろな科学分野から「変容」の具体的な事例を教えてくれた。この一連の授業を通じて、私はあるものが自らもつ限界を乗り越え、行き詰まりを打破する可能性と学科間のつながりを感じた。非常に勉強になった。また、これから我々人間の密かな欲望を掻き立て、魅惑する変容の進展に注目していきたい。

いろいろな分野で個人がもっとも関心を持つのは「脳から見た人間の言語の変容」だ。この授業の始まりに、先生は「右脳は幼児期鍛えられます」という広告を批判し、「左脳も大人でも鍛えられる」という自らの観点を取り上げた。これは当時の学生たちの興味を引き起こした。なぜならば、我々は科学書物や新聞から受け取ってきた観点は先書いてある広告のスローガンで、突然新しい逆の観点を言われると、なかなか信じられない気がするのだ。すると、先生がどのように自分の観点を証明するかが我々学生の関心を引いた。こういうような授業の教え方が今後講義のパターンになればと思う。ある分野についての日常事象(広告や現象)を先に取り上げて、それを手掛かりに自分の主張や発見を教えてくれれば、素人の皆さんによりよく分かってもらえると思う。

私自身が言語学専門で、これから院生になると、言語について深く勉強したいため、先生のテーマに親しみを覚えた。先生は理系出身で、脳科学の視点から言語の習得を分析した。これは私に言語学の勉強についてヒントを与えてくれたことだと思う。また、先生のいろいろな理論も印象に残っている。もっとも面白く思ったのは二つある。一つは「脳活動は学習の初期に上昇するが、熟達すると脳活動が節約される」という結論だ。これは熟達までの努力が必要だというのを意味しているだろう。中国では「一万時間理論」が有名だ。すなわち、ある技能についての学習は一万時間になれば、必ず達者になれるという意味だ。この理論は先生の結論に通じるだろうと思う。しかし、すべての才能は努力するほど向上するわけでもない。これについて、先生は「語学力の個人差には、脳活動に対する習得期間の効果だけでなく脳の構造にも関与する」という結論を出した、さらに左脳の優位性理論も教えた。これは左脳の優位性が強い人は語学学習に向くというのを意味するかどうか脳科学でまだ未知だが、何と言っても、先生の結論は私自身に励みのようなものに聞こえる。幼いごろからずっと英語の習得が同年生より早い私は左脳の優位性が強いかな、語学の適性を持つかなとさえ思っていた。これから、英語、日本語以外にもう一つの言語を勉強しようかなと思っている。

そして、今回の講義の前にずっと楽しんでいたのは東大の学生との交流だ。四年間も日本語を習ったが、日本人と向き合ってコミュニケーションをとる機会はわずかである。そのため、今回の交流は日本人の同年生と向き合うまたとないチャンスだと思う。私は学生交流に三回参加した。それぞれ「季節に対する対応」、「悩み」、「変身」という三つの話題を巡って東大の先生と学生と意見交換をした。東大の学生の発言を聞いているうちに、彼らの表現力に感心することはいうまでもなく、もっともうらやましく思っているのは彼らが現象から本質を見据える能力だ。「さすが東大生だなあ」と思っていた。「悩み」という話題を討論する時に、私はただ悩みの例を取り上げたが、東大の学生さんたちはみんなの意見を聞いた後に、悩みの原因を分析し、「人々は選択に面して悩むことが多い」という結論を出した。また、「選択」についてもさらに細分化し、「選択肢が多い場合」と「選択肢が少ない場合」に分けた。これはなかなかのまとめと分析能力がないとできないことだろうと思う。ただの「悩み」という一つの情緒からいろいろな人間の弱みなどの心理活動を引き出すのは社会科学に通じる道ではないだろうか。科学というのは自分から空想するものではなく、むしろ周りの現象からヒントをもらって、脳で分析し、規律を発見し、最後に対応策を思い出す過程だと思う。だから、これから東大生の皆さんに見習って、自分の分析能力と発見力を鍛えていきたい。

最後に、今回の活動を行ってくれた石井先生と講義を準備してくれた先生方に感謝の意を申し上げたいと思います。また、今後中日学生間のより深い交流を心からお祈りしています。

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