中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 東大×南大共同フィールドワークin東京【11月】2010年度

日本と中国はどう付き合っていくか?――隣人を愛し、ともに平和に生きる

 中国と日本、一つは5000年以上も長い歴史を持つ堂々たる大国で、一つは世界でしばしば奇跡を行う経済強国である。両国はアジア、ひいては全世界で欠かせない大きな役割を果たしているので、アジアにおける経済大国である中日両国の関係の良否は、アジア、あるいは、世界の繁栄と安定に重大な影響を及ぼすことになる。中国と日本は一衣帯水の隣国で、昔から長い交流の歴史を持って、まるで兄弟のようである。しかし、両国間の歴史は単なる友好史であるばかりでなく、血も涙もこもごも入り交じった戦争史でもある。特に、近代に入って、戦争のせいで、元々親しい兄弟仲が悪くなって、敵になってしまった。戦争により、両国民の感情が大いに害されて、両国の間に厚い氷の壁ができた。それは中国人にも日本人にもなかなか望ましくないことだと言ってもいいくらいである。中国には、「遠い親戚より近くの他人」ということわざがある。従って、どのようにすれば中日関係をうまく改善できるか、どのようにしたら相互理解を深めていくかといったことは今日最も重要な課題になっている。

 東京大学へ一週間体験プログラムに参加して、日本の学生さんといろいろ言葉を交わした上に、両国間のわだかまりを解くにはキーとしてたえまなくはかる「交流」そのものはどうも不可欠だと結論が出てきた。それに対して、大学生としての私たちに出来ることはなにか、または両国の政府にしてほしいことはなにか、などについて東大の皆さんと意見交換をしながら、積極的にいい知恵を出そうと思って、自分なりの考えを述べたい。

 まず中日ウィンウィン関係を築くなごやかな雰囲気が必要である。

 今になって、中日両国の間にまだ調和が良く取れていないところがある。例えば、靖国神社の参拝、尖閣諸島(釣魚島)の領土権などの歴史問題、いわゆる「中国製ギョーザ中毒事件」、反日デモ等の中日に関した事件は両国の関係にマイナスの影響をもたらした。中日関係をうまく改善するなら一方の力、一方の願いだけではどうしても無理だろう。両方とも前向きな態度をとって、小異を残して大同に就くべきである。できるだけ各分野で多種ルートを通じて、プラスになる互恵関係を築くものである。両国の政府は誠意を以って、実行できる良案を出す限り、両国人民は心を合わせて、一つになる限り、すべてはスムーズに運ぶことができると確信している。それらがすべて可能になる前提はウィンウィン関係にいいムードを作り出すわけである。中日国交正常化、特に中日友好平和条約調印以来、中日両国で物的交流にせよ人的交流にせよ、喜ばしい成果を収めたにもかかわらず、その広さ、深さはまだ足りないようである。更に協力合作を強め、相互理解を深める必要がある。

 経済面において、両国は互いに大きな優勢を補い合えると思う。中国は世界で人口が一番多い国で、日本にとってとても広い市場である。そして、中国では労働力も日本より安いし、たいへんいい投資国だと言えよう。それと同時に、日本は先進国で、管理理念も先端技術も非常に優れて、中国人には学べる価値がある。これから、中国と日本は親しいパートナーになって、お互いに刺激し、更に経済成長率を促進できるとともに、アジアないし世界の人々に利益をもたらすこともできる。

 そのほか、環境保護や新しいエネルギーの開発も目前に迫っている。例えば、毎年の春、中国からの黄砂が風と共に日本の天空をおおって、日本人がたいへんな被害を受けた。そのために、大勢の日本人は毎年中国に来て、共同でわざわざたくさんの木を植えてくれる。これらの木々が大きくなったら、環境を美しくしながら、空気もきれいにする。一方、緑を大事にして、木製の割り箸を控えるべきである。中国も日本もお箸を使う国で、両国の人口を合わせて、15億近くのぼるから、1人で1日に2本のお箸を使うなら、どのぐらいの木々が要るかは想像も及ばない。だから、できるだけ木作りの割り箸を使わないほうがいいと思う。そのほかに、ゴミの処理、汚染の防止等に対して、両国も協力し合うべきである。中国も日本も燃料なんかに貧乏である国である。すると、どのように新しいエネルギーを開発するかはとても大切な課題である。両国で頑張りさえすればきっと立派な成果をあげると思っている。

 次に、両国間の青少年をはじめ、幅広い年代の人々の交流を強めるのは賢明な対策である。が、中日間の民間交流が盛んに行なっている一方、政府間の交流がやはり足りないような気がする。中国と日本は文化面において、書道とか茶道とか伝統的な芝居など通じているところがたくさんある。もしこれらの面で、政府が主になって両国間の文化交流をはかることができたらと思っている。

 青少年は国家の未来で、将来国家の重任を担うようになる。中日ウィンウィン関係を築くには数多くの青少年間の交流が必要である。高校の時、私は幸いに日本の姉妹校に行って、3ヶ月の留学生活を過ごしていた。日本にいた時、ホストファミリー、学校の先生や生徒、そして知らない日本人は皆やさしくしてくれて、その肌で日本人のやさしさと親切さをつくづく感じた。そして、日本に対するイメージもとてもよくて、「日本語を勉強して、本当によかったなぁ」と思わず感嘆した。これから、大学を卒業して就職すれば、中日交流の架け橋役の外交官になりたいという考えが涌いてきた。また、今回の交流活動も中日両国の大学生をより良く理解し合うために、実に有効な役割を果たしている。日本から帰国してから、その肌で体験していたことやその目で見た日本人の真の姿を周りのクラスメートや友だちに伝えることによって、周りの人々も日本に対する印象が自然に親しくなるものである。青少年は友好の使者である。もし両国間の青少年がよく理解し合ったら、何十年もの後、中国と日本はきっと新しい未来を迎えると確信している。それに、子どもの心は紙のように純白である。彼らの心に友好の種をまいたら、将来はきっと空高くそびえる木に成長できるだろう。

 最後に相互理解を深めるための提案はマス・メディアへの希望である。マス・メディアは発達した今日では、両国間の相互理解を一層深めるためにたいへん重要な役割を果たしている。マス・メディアはいろんなところで導くことや決定的な要因をしている。私は日本に3ヶ月間滞在していた時、よくテレビや新聞で中国に関する様々な批判があった。例えば、「中国の一人子政策」やら「農製品は農薬規準を超え」やら「中国の歯磨き問題」等いっぱいあって、頭もゴチャゴチャになってしまった。特に、今年の9月に起こった「尖閣諸島」もひどく中日両国の人民の感情を害した。マス・メディアが個別事件としての問題を大げさに取り上げて、不確実な報道をしたら、必ず誤解を生じ、思いもよらない問題が起こるわけである。マス・メディアの報道は客観、公平、公正である。マス・メディアは交流の媒介としてきわめて大きな役割を果たしている。実は、ちゃんと交流するために、お互いの真の「信頼」は何より大切だと思う。これも基本的なポイントだと思う。マス・メディアはありのままに事実や真相を報道したら、いい雰囲気を造り、両国の間のわだかまりもいつか消えていくと思う。

 要するに、中日関係はまるで生まれたばかりの赤ちゃんらしく、私たち一人一人の真心をこめた守りと祝福が必要とされている。これからの道は困難が続くかもしれないが、もし皆新約聖書に書いてあるとおり、「隣人であるならば隣人を自分のように愛しなさい。そうすれば永遠の命が得られる」と言う言葉を心ゆくまでよく覚えたら、中日関係はきっと行動的な「ウィンウィン」になる日が早く来るだろうと思う。若者としての私たちは、そういう使命感をもつべきである。

(南京大学 2年 Z.Y.)

Loading...