中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 東大×南大共同フィールドワークin東京【11月】2010年度

大学で学ぶとはどういうことかについて

大学という言葉を聞くと、誰でもまずプロ知識を学ぶところを思いつくだろう。高校時代と違って、大学では国語、数学などの基礎知識の代わりにある専門知識を勉強することになっている。その専門知識を身につけることによって、大学生たちは社会で自分の役を見つけて、働いて、そして、社会運営の一環として役割を果たしているとされている。

しかし、現に、こういう過程に問題が出てきた。一つは、志望した学科に入ることができない学生が多い。特に中国では、受験人数が多すぎるので、志望した学科に入られるかどうかが大学入学試験の成績で決められるしかない。それゆえ、中国では、ぜんぜん無関心の学科に回され、転学科も面倒くさくて、まあ、このままにしようと卒業まで我慢してきた学生は少なくない。これが人材の流失になってしまうのではないか。志望した学科に入ったら、ずいぶんポテンシーがあるのに、別の学科に回され、4年の大学生活をおろかにしてしまうというのは、残念なことだと思わずにはいられない。このような問題に対して、どうしたらいいのかというと、東大の進学振り分け制度、つまり「Late Specialization」の考え方が一つの解決方法を提供してくれると思う。大学1年生、2年生の時、自分の関心を持った授業を受けて、そして中からもっとも興味深く、適合した専門を選んで、試験に合格したら、順調に進学するという制度は学生にも学校にも一番公平で有利なのだろう。また、今度東大の学生と議論した時、皆もう一つの問題を提示した。すなわち、今の日本でも中国でも、人材の供給と需要にバランスが取られていないということだ。たくさんの学生は就職難に直面し、それに就職後、大学で学んできたものが入った会社にちっとも役立てなく、真新しい知識を伊呂波から習わなければならないという場合も多い。これは新入社員にとっても大変だし、会社の能率アップに対してもマイナスなのだろう。この問題を解決するには、大学と企業とのつながりを強めるべきだと思う。東大の進学制度の下で、学生が専門を選んだ時、興味などのほか、自分の就職志向を考慮にも入れて、そして企業や機関などのニーズを理解した上で決めたほうがいいのではないか。さらに、大学は企業との交流によって、社会が今どんな人材を必要としているのかという情報も手に入れて、それに応えて、一部の教育政策を調整することも可能だろう。

以上は大学で専門知識を学ぶことについて論議してきたが、そのほか、大学はまたいろんな面で貴重な資源を提供して、積極的で大きな影響を与えてくれたのだ。

大学時代は青春の一番美しい時期だと言えるだろう。この時期において、我々が生理上で成人して、心理的にもだんだん成熟していく。大学の図書館や講演などのおかげで、学生は知りたがったものがいつも見つかり、見聞を広げることができる。ところが、ただ知識量を増えることだけでなく、大学はまた問題発見、問題に対する考え方などについて教えてくれる。例えば、今度東大で聞いた國吉康夫先生の「身体性から創発する行動と心」という講義がとても印象深かった。いろんな実験とデータを通じて、それまで人々に受け止められた脳が一方的に身体の動きをコントロールするという理論を覆し、「身体が脳を作る」という新しい概念を提示してくれた。この概念は啓蒙的で、そして、先生の既存の知識にとらわれなく、クリエーティブな真理探求の精神にずいぶん感動した。こういうスピリットは我々学生にも不可欠なのだろう。また、刈間先生の講義も大変勉強になった。物語の筋や登場人物の性格を中心としていなく、演出された象徴的な映像が持つ意味の多重性を論議して、映画を読み解く斬新な視点を紹介してくれたのだ。このようにもっと広い視点から見て、新たな「知」を求める物事に対する見方は学術研究にとって本当に大切なのだと思う。以上書いたような大学で育成された思考能力は今後一生の勉強に影響を及ぼすのだろう。

さらに、大学に入ってから、皆故郷を離れて、あるいは家を出て、高校時代と違って、何事でも自分1人の力で対処しなければならなくなる。性格の面でだんだん成熟してきて、一人前の社会人になるために様々な準備をしている。この点から見れば、大学は学校から社会への橋渡しとしての役割を果たしていると言えるだろう。また、大学ではいろんなクラブ活動があって、参加していた間、様々な人と知り合い、人間関係の面で各種の問題を対処しはじめるのだ。と同時に、たくさんの友達ができて、社会に入ってから、自分の人脈となっている。そして、学校からもいろんなプログラムを提供して、海外に行く機会や国外の名門大学を見学するチャンスなどを与えてくれる。今度の「東大一週間体験プログラム」もその中の一つだろう。こんなプログラムを通じて、学生間の国際交流ができて、互いに理解を深め、両国の友好にもプラスになるのではないかと思う。

要するに、大学で学ぶことは我々の知的な発展に大いに役立て、大学時代は人の成長に不可欠な段階だと思うのだ。

(南京大学M1 C.J.)

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