中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 東大×南大共同フィールドワークin東京【11月】2011年度

東京大学体験一週間プログラムについてのレポート

共同研究を通して見えてきた「空間と記憶」

共同研究を通して、空間と記憶の両者は緊密不可分な関係にあると認識した。

空間と言えば、すぐ目の前にどこかの具体的な場所についての具体像が頭に浮んでくるのに対して、記憶と言うと、何とか抽象的な感じがする。これは以前の考えだったが、今度の研究を通じて、こういう二つの概念についてもっと深くまで考えていた。

まず空間と言うイメージついてだ。間違いなく空間と言うのはきっと具体的な場所もむくめているが、ただ具体的な場所を指すだけではない。虚構的な空間概念も実生活の中で相当的な役割を果している。映像や写真や絵などで現れている空間も人々の生活などに多大な影響を及ぼしている。今度の私チームのテーマは「となりのトトロと東京江戸たてもの園」を通じて空間と記憶の関係を探るということだ。ご存知のように、「となりのトトロ」はジブリ映画の代表作の一つで、昔風あるいは田舎風の画面特徴で大人気を呼んでいる。その中で描かれた空間は作者の作ったもので、もちろん実在しているものではない。しかし、この映画を見る人はどうして感動とか懐かしさとかを覚えるのだろうか。

それは問題の肝心かもしれない。具体的な空間は時間の流れの中で、変わりつつある。二十年前、十年前の自分の生活した場所、行ったところは二十年、十年を経て、昔のままに目の前に展示してくれるのはもうありえないことだ。いくら昔のところに戻りたくても戻れないに決まっている。こういうとき、虚構的な、バーチャルな空間が登場して人々の夢を叶えさせて、慰めを与える。歴史を再現させるあるいは昔を遡るために有形な空間のほかに、こんな無定形な空間は比べ物にならない役割を果すといえるだろう。

次は、記憶というイメージについてだ。記憶は無から生まれたのではなく、自分の体験したことについてのある無定形な記録だと思う。しかし、体験と記憶は一方進みではなく、両方はお互いに作用している。「となりのトトロ」を例として言えば、ほとんどの私たちはそれを好きになるのは、自分の昔体験したことを映画を見ることで再体験することによって、昔の記憶が蘇って、共感を覚えるからだ。これは体験があればこそ記憶を復帰させるのだ。またもう一例を挙げて言おう。江戸たてもの園には、私たちの世代は誰も体験したことがない建物や道具などが保存されている。そこへ行く前に、日本の古い家屋についてぜんぜんイメージを持っていなかったが、行ってみてからまた文面上の紹介などを結びついて、自分の体験したことがなかった時代像もありのままに目の前に浮いてきて、記憶の一種として定着するようになった。

つまり、記憶というのは、行動や実体験によって形成されただけではなく、見られることや言われることや聞かれることなどもみんな時間のたつにつれて自分の記憶になれる。そして、個人にとってはどれが真の記憶(実体験の保存)か、どれが偽の記憶(他人の体験の保存)なのかを区別するのは容易ではないことだ。

最後に、空間と記憶を一緒にして考えれば、やはり空間、リアリティーな空間でもいい、バーチャルな空間でもいい、を通して、自分の体験したことある真の記憶と実は体験したことがなくてもイメージ付けられた記憶を生じたのだ。また、記憶の蘇りによって、人間は自分の過去あるいは真の自分について再反省するようになる。一言で言えば、記憶は人間のアイデンティティの構築に繋がるのだ。だからこそ、記憶を保存する必要がある。有形な空間(江戸たてもの園のような具体的な空間)あるいは無定形な空間(映像で表れているバーチャルな空間)の役割をもっと果せばいいと思っている。

東京大學一週間体験プログラム参加の前と後で変化したこと、もっとこうしてほしいという希望

東京大学一週間体験プログラムに参加して国に帰ってから、自分の身や考え方などに明らかにいくらの変化が生じているのだ。以下の点に分けて述べたい。

  1. 空間と記憶について、前はなかなか漠然な概念としてこの二つを繋げて考えたことはなかった。今は何か空間あるいは記憶についての話題にぶつかると、一番先に頭に浮んでくるのは今度の共同研究の結果ということだ。これからこれについてもっと勉強したいと思っている。
  2. 日本のドラマや映画を見るとき、親切感が湧いてくる。特に町並みや道路や高校生の様子など、このような前のうとうとしくて想像上のイメージを、肌で感じ取るような感じがする。
  3. 勉強するかたわら学校で日本語を教えるバイトをしているから、日本に行ったことがなかったから時々心細い感じがしたが、今は自信が湧いてきて心強くなった。
  4. もともとは映画というものは唯暇つぶしのためだと思っていたが、刈間先生と李道星先生の授業を受けてから、映画を通して、歴史を保存して人間性を説いて文化を表すということに興味を持つようになった。
  5. クィア理論と精神分析学の方法にも触れたくて、自分の論文やレポートなどでこんな理論を用いればいいなあと思う。

総じていえば、東京大学一週間体験プログラムに参加することは、以上の考えられる、そして言葉で表現できる変化以外は、きっと自分も知らないうちに自分に見えない影響を与えてくれたと思う。ほかの人の考え方は別として、唯個人の意見を述べさせれば、こんなチャンスをもっと多くの中国の大学生や院生たちに与えることが出来たら実にありがたくて感謝すべきことだと思っている。それに、もしもっと日本の優れた教育方針や教育理念を体験したければ一週間だけではちょっと物足りない感じがする。

共同研究を通して、やはり中日両国の若者たちはこんな機会をもっと多く与えられれば、両国への理解及びこれからの交流に対して何よりも有益だということを認識し始める。違う環境や文化のもとに生まれ育てられて、考え方や行動仕方もたいそう違うに決まっているが、お互いにもっと盛んに積極的にコミュニケーションして、相手の考え方や相手方の文化などをもっと理解することが出来るのではないだろうか。

(南京大学 M2/チーム2)

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