ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい
第5回 11月05日 牧原 出
オーラル・ヒストリーから見る日本政治の流れ:政党・政策・制度
公人にその経験を尋ね、発言を記録するオーラル・ヒストリーは、
- 講師紹介
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- 牧原 出
- 1990年東京大学法学部卒業。東北大学法学部助教授、同大学院法学研究科助教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員研究員、東北大学大学院法学研究科教授を経て2013年より現職。著書に、『 内閣政治と「大蔵省支配」』(中央公論新社)、『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会)、『権力移行』(NHK出版)、『「安倍一強」の謎』(朝日新聞出版)、『崩れる政治を立て直す』(講談社)、『田中耕太郎』(中央公論新社)等。オーラル・ヒストリーの成果としての共編著に『聞き書 野中広務回顧録』(岩波書店)、『聞き書 武村正義回顧録』(岩波書店)。東大先端研牧原研究室は、政治学・行政学上の諸課題を歴史研究をもとに考察・分析しています。主として、近現代日本を中心に欧米諸国など先進諸国を対象に含め、比較歴史研究を目指しています。手法としては、史料の分析やオーラルヒストリーにより、新事実の発掘と政治構造の解明を目指します。また、VRとの協働など、多様な共同研究プロジェクトを通じて、分野横断的な研究を進めています。社会学・経済学・都市計画学などとの協働の成果が、牧原 出・安田洋祐・西田亮介・稲泉連・村井良太・饗庭伸『「2030年日本」のストーリー』東洋経済新報社、2023年です。さらに、政治・行政実務、マス・メディアと連携した歴史と現状の分析や、現代批評にも積極的にコミットしていきます。近年は、此までの研究を「制度の作動」の観点から再構築する「作動学」を提唱しています。
コメント(最新2件 / 5)
- 2025年11月06日 19:31 reply
政権発足に向けて必要な3つの柱について、まず現実的な日程と課題を整理し(スケジュール管理)、次に信頼できる人材チームを作り(人材登用)、最後に具体的な政策内容を考える(政策プログラム)という流れが見えた。政治における戦略的マネジメントがいかに重要であるかを感じさせられた。
- 2025年11月07日 18:50 reply
これまで、政府については公文書で分かり切っており、オーラルヒストリーというと一般の人々について、当時の話を聞くことを指すイメージがあったが、逆に政治の中枢の細かな動きに対してはオーラルヒストリーの手法が有効なことを今回初めて知った。確かに、歴史上真偽のわからないことはたくさんあるが、それが歴史になる前に本人に聞いてしまえば、早いと思った。
また、官邸内部の研究から、長期政権と短期政権の特徴が見えてきているのも、とても面白かった。
- 2025年11月11日 22:57 reply
回顧録などに代表される、「語り」を記録し史料とする手法である「オーラルヒストリー」により、公文書などには現れえない実態を捉えることで、政治における制度の「作動」の流れに着目し分析するーーという、とても美しい流れの講義であり、新しく聞いた話ばかりであるにもかかわらず全てが非常にスッと理解されていく、そして面白いと感じるものであった。
- 2025年11月12日 01:19 reply
オーラルヒストリーの対象となる語り手に、質問によってその人の認識を一種の流れとして記録する手法は、第一回の講義で言及されたラカンのシニフィアン連鎖を思い出し、精神分析と歴史学の手法の邂逅に驚いた。
個人的にはオーラルヒストリーから具体的にどのように官邸の決定の流れを分析したのかが気になったが、やはり言えないことも多いのだろうか
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民族文化など、文書として残されない庶民の生活を後世に伝えるためにオーラル・ヒストリーが大切だという話は聞いたことがありましたが、政治家や研究者に対して行うというのは初めてお聞きしました。
政治家の行った業務は記事や公文書として残されるため、口頭での聞き取りが必要である理由が分からなかったのですが、講義を受けて納得できました。
私たちが報道を通して知る政治活動はあくまで結果にすぎず、その背後には多くのやり取りや意思決定の過程があります。そのやり取りを明らかにすることで、記録には残らない決定までの流れやどの役職の人がどのような動きをしていたのかを知ることができます。そのようにして、代替わりの激しい官邸官僚のノウハウを「官邸の作り方」として次の政権に引き継ぐことができるのだそうです。
講義では政治家に焦点を当てられていたので、次は研究者へのオーラル・ヒストリーの重要性についてもお聞きしたいなとおもいました。