ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第6回 11月12日 高木強治

流れをデザインすること ― 農業インフラとしての水利システム ―

農業は大量の水を消費することで、農村地域の水循環に大きな影響を与えている。そこで大きな役割を果たしているのが、灌漑用水を必要な時に必要な量だけ農地へと届け、過剰な水を速やかに地区外へ排出する仕組み—水利システム—である。本講義では、農村地域における水の流れをつかさどる水利システムを通して、水資源、水田灌漑と畑地灌漑、農村や都市の排水、環境保全、インフラの管理などの農業と水にまつわる諸問題を概観する。

講師紹介

高木強治
東京大学大学院農学生命科学研究科教授。博士(農学)。1960年福岡県福岡市生まれ。九州大学農学部農業工学科卒業後、農林水産省農業土木試験場、同北陸農業試験場、農研機構農村工学研究部門などを経て現職。農業水利施設の水理設計および管理制御技術の開発に関する研究に従事。

コメント(最新2件 / 5)

taisei2025    reply

灌漑というシステムは知っていましたが、用水路以外の設備、施設は初めて聞くものばかりで勉強になりました。「水田に水を通す」という目的自体は単純ですが、天候・水害・地理的条件を考慮しながら水の流れを考えると、それがいかに難しいことかがわかります。特に日本のように水田の規模が小さく、山がちな地形では尚更だと思います。
頭首工やパイプラインのように大規模な施設があることを知れたので、これから耕作地域を訪れる時は意識してみようと思います。

ryo0312    reply

農業水利施設での事故増加は深刻であり、その背景には老朽化だけでなく安全に関する法律や基準の甘さがあるということを知りました。これからは、国として明確な安全基準や定期検査制度を設け技術支援を強化することで、現場の負担を軽減しつつ事故を防ぐ仕組みが必要だと思いました。

kurokawa0706    reply

自分は農業が盛んな東北地方の出身だが、農業と水資源の関係とその仕組みについてまではそこまで明るくなかった。だが、この講義を聞いてより地元の農業や食料生産システムについて、より身近に感じられるようになったように思え、非常に興味深い内容だった。

olk2006    reply

水利システムのような巨大なインフラ設備は国が一括して管理していると思っていたので、農業従事者によって構成される土地改良区がほとんどの施設を管理していることに驚いた。また、講義で紹介された管理制御システムについて、同一の水源を使う田畑を一括してシステムに含めることが重要かと思うが、山間部や急斜面などの農業に不向きな土地では距離等の問題によって複数の農場を統合的に扱うことが困難なように思え、具体的にどのようなシステムが活用されているのか気になった。

doradora1115    reply

今まで何気なく見ていた水田群の中に、こんなに系統だった水利システムが隠れていることに驚いた。米をはじめとする農作物を安定的に供給するには確かにこういうシステムは必要で、維持管理していかなければならないと思った。特に興味深かったのは水利システムの管理主体の話で、国や自治体から土地改良区へ権限移譲が行われているというのが面白かった。維持管理には様々な課題もあるそうだが、今後のさらなる整備に期待したい。

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