ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第10回 12月17日 鳥海不二夫

デジタル情報空間と社会リスク

情報化社会以降、大きく変貌する現代の情報空間は、現在アテンションエコノミーと呼ばれる経済原理によって支配されている。その現状の理解と社会的リスクについて、社会データ分析の観点から説明し、その解決について議論する。

講師紹介

鳥海不二夫
2004年東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム工学専攻博士課程修了(博士(工学))、同年名古屋大学情報科学研究科助手、2012年東京大学大学院工学系研究科准教授,2021年同教授。計算社会科学,人工知能技術の社会応用などの研究に従事。主な著書に「強いAI・弱いAI 研究者に聞く人工知能の実像」「計算社会科学入門」「デジタル空間とどう向き合うか 情報的健康の実現をめざして」。

コメント(最新2件 / 6)

ryo0312    reply

訂正情報は人々がフェイクニュースに騙されないためのものという良い側面しか知らなかったが、多元的無知やバックファイア効果などの説明を通して、必ずしも良い結果を残すとは限らないということが印象に残りました。また、信念と矛盾する情報は、訂正であっても拒絶され、かえって元の信念を強める可能性がある点に、情報社会の難しさを感じました。さらに、こうした心理が偽誤情報コミュニティ内で強化されることで、脱出がほぼ不可能になり、家族ですら説得が難しくなるという現実は深刻であると感じました。正しい情報を出すだけでは不十分で、人の心理や関係性を踏まえた対応が必要だと感じました。

kurokawa0706    reply

youtubeやTwitterなどのSNSで、デマを用いて愛国心や周辺国への敵対心を煽るような動画を家族が観ていたことがあって、自分でも心配していたのでそのメカニズムを講義の中で知る事ができて興味深かった。ただ、同時にそういった環境から抜け出すことは難しいという話は、残念ではあるが、やはり参考になった。例えば反ワクチンの人々の多くは他の陰謀論的、正確性に疑問が呈される思想(アポロ計画懐疑論、愛国ポルノ思想など)の多くも併せて有していることが多く、限られた空間でしか情報を得られない為にそこから抜け出せないでいるのだろうなと腑に落ちた。自分はできる限り信頼できる情報源を比較し、思考停止で情報を受け止めないよう努力したいと思う。

olk2006    reply

偽情報が広まったとき、それを訂正する情報が広まるとさらに元の偽情報が広まってしまうという構造は確かに普段SNSを使っていても感じることがあった。
トイレットペーパーに関するデマの話題で、最適な情報の拡散率とそれによるトイレットペーパーの売り上げを示したグラフが出てきたが、どのような変数を設定してこのようなシミュレーションをしたのか気になった。

doradora1115    reply

非常に興味深い講義でした。私自身も、前々からインターネット上の言論空間には違和感というか、危うさを感じることはあったのですが、なんでこんなに極端な意見ばっかりなんだろう、デマが広がるんだろうと悲しくなって終わるだけでした。しかしデータ分析の手法に則ってちゃんと見てみると、実際に何が起きているのか理解できるし、ある程度の処方箋を出せるのだと分かりました。しかしながらデジタル空間の危険性はなお高まっているように見えて、エコーチェンバーなどのワードは昔から耳にするもののそれに自覚的である人はかなり少ないだろうと思えます。先生が最後に提示された、食とのアナロジーで情報との向き合い方を考えるというのは新たな発想で、私も情報的な健康を意識しようと思いました。

yuki1229    reply

SNSに長く触れる(浸る)身である私にとって,「もしかしてこんなことが起こっているのでは?」と感じていたことを,データとともに明快に解説していただき,大変面白かった.定量的に拡散などのシミュレーションを行うなども面白く,またコミュニティノートなどの補足情報の機能などがリテラシ向上につながっているというのも興味深かった.

yakitori2005    reply

暇な時は常に接していると言っても過言ではないデジタル空間に関する講義で、起こっている問題の現実感がこれまでで一番強かった。また、コロナ禍の際のティッシュペーパー騒動の裏でのSNSでの動きについて、訂正の情報が広まりすぎると、逆効果を引き起こすという、意外な発見はさまざまな問題に応用できると感じた。後半の情報的健康の話では、やはり個人で立ち向かうには大きすぎる問題と感じた。

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