ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい
第11回 12月24日 早野薫
会話を紡ぐ流れの諸相 ― 会話分析の観点から
会話では、1つの要素から次の要素へと、淀みなく流れていくことが期待される。人々は会話の流れの中で次に何が起きるべきかを理解し、その上で期待どおりの一手を産出したり、期待に反した一手を産出したりする。流れを維持することも、滞らせたり捻じ曲げたりすることも、あくまで流れの中で意味づけされる。本講義では、様々なレベルで見られる「流れ」を会話データに見出し、人々の発話が紡がれ、理解されるメカニズムを概観する。
- 講師紹介
-

- 早野薫
- 日本女子大学文学部英文学科教授。日本女子大学大学院(英文学専攻)、UCLA大学院(Department of Applied Linguistics & TESL)を経てマックスプランク心理言語学研究所(オランダ)で学びPh.D.を取得。専門は会話分析で、日常場面、英語学習場面、保育場面など、様々なコンテクストにおけるやりとりの構造とそこでもちいられる相互行為的資源について、とくに知識・経験という観点に着目しながら記述している。
コメント(最新2件 / 7)
- 2025年12月24日 22:12 reply
I told that to thuh- uh- officer. という一つの発言だけて、あえてcopというスラングを使っていないことを含むことで発話者が言葉を慎重に選んでいる人物であるという印象を聞き手に示し、自分は軽率でない信頼できる人物であることを印象付けようとしている、というところまで読み取れるということに感心し、会話の流れの重要性を深く感じました。また、会話は個々の発話の集合ではなく互いに次を予期しながら順番に積み重ねられる相互行為のプロセスであることを改めて感じました。
- 2025年12月26日 09:55 reply
会話において、言葉にもならないようなちょっとした発話(むしろ、仕草?)が、その話者の内面を強く表しているのが知れて面白かった。こういった内容は、会話という側面においては日本語でも英語でも言語を問わずある種普遍的な一面をも有していると思うので、今後異文化間コミュニケーションの理解により役立つ講義内容だと思えた。
- 2025年12月30日 20:47 reply
この講義を受けるまでは「会話分析」なる学問の存在すらも知らなかったのですが、一見何気ない日常的な会話であっても学問的な分析の対象となることがわかりました。会話の流れのちょっとした停滞から推論を重ねてその話者の真意に迫っていく過程は非常にスリリングで、そのうえ提示される結果がすとんと腑に落ちるというか、とても納得感のあるもので、興味深い講義でした。
- 2025年12月30日 22:40 reply
我々の生活に決して欠かすことのできない
「会話」という行為を深く分析し,そこに確かに「流れ」というものが,我々の無意識下のうちに横たわっていることを明確に示していただき,とても面白かった.
- 2025年12月31日 02:20 reply
会話の細部に注目し、その流れを分析するという分野を今回で初めて知った。講義内で聞いた会話は非常に日常的なものだったので、自分はそこから何かを発見しようとしても、頭の中を流れていってしまうだけだった。講義内の質問で、会話自体ではなく、テキストをまずみて分析するという手法だということ学んだが、発音のリズムや上げ方、下げ方、相槌など、音の素材では流れていってしまうことも、文章に一度変換することで、冷静に細かに分析できるのではないかと思った。
- 2025年12月31日 17:07 reply
会話の流れの分析ということで、初回の講義におけるシニフィアン連鎖とのつながりが感じられた。どちらも会話および意識の流れの停滞(切断)に発話者の心理が現れることを前提として分析を行っている点が興味深かった。
一方で会話分析は、規範ともいえる会話の流れが流ちょうに流れることを”普通”として、そこからの逸脱に注目しているが、それはすべての発話者の頭の中でイメージされる会話の流れが同等のものであるという前提に立っているように思えた。会話イメージとして思考されるものの個人差を考慮すると会話の流れの澱みに必ずしも意味を見つけることはできないのではないだろうか。
コメントする
- 他の授業をみる
普段は気に留めないような日常会話の細部の言動や会話の「間」に含まれる言外の意味を、卑近な例を用いて分かりやすく説明してくださいました。
「言われてみれば確かに」ということが多くて、無意識に共有している「会話のルール」が持つ役割の大きさを感じました。