ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第12回 01月07日 市原美恵

固体の流動と流体の破壊 ― 火山噴火を支配する物質の挙動

本企画「流れ」の冒頭に、「万物は流転する」という言葉が挙げられています。固体地球においても,マントル対流や地殻の褶曲など,地質学的時間スケールでの「固体の流動」が知られており,古くから研究が進められてきました。一方,火山噴火では,流体であるマグマが固体的な破壊して爆発に至ると考えられています。急激な変動に見られる流体から固体への遷移は,まだ現象論的にも理論的にも未解明で,火山学だけでなく,地震学や物理学,工学の分野でも注目されています。本講義では,固体地球科学と,物理学および工学分野の共同研究を紹介し,各分野で細分化・多様化されている流体と固体の変形機構の描像を統合しつつ,火山噴火におけるマグマの破壊について議論したいと思います。

講師紹介

市原美恵
東京大学大学院理学系研究科地球惑星物理学専攻修士・博士課程修了。東京農工大学機械システム工学科,カリフォルニア工科大学航空学科,東北大学流体科学研究所等で研究員を務めた後,東京大学地震研究所助手(助教),准教授を経て,2024年より東京大学地震研究所教授。現在に至る。火山物理学を専門とし,火山噴火のダイナミクスを理解するため,複雑物質の物性,気液二相流,音響学などの分野横断的な研究を進めてきた。また,火山活動の監視や観測手法の開発にも注力し,現在,JICA/JST地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム「南西太平洋島嶼国における広域火山災害リスク軽減プロジェクト」(2023~2028年度)の研究代表者を務めている。

コメント(最新2件 / 4)

ryo0312    reply

実演で触らせていただいた粘土について、今まで出会ったことのない性質の粘土でした。力をゆっくり加えると伸びるが、強い力を加えるとパチンときれてしまうことに「流れ」から「割れ」への遷移を実感しました。また、トンガの噴火について、噴火でできた雲でドーナツ状の雷が観測されたことに自然の怖さと規則正しさを感じました。

yakitori2005    reply

自分は文系の生徒だが、気泡一つ単位の検証を行い、音の波形を分析し、パターンを探すという気の遠くなるような精密作業を追体験することができたと思う。また、短い時間で見たら個体の性質を持つが、長い時間で見たら液体の性質をもつというマントルは人の時間感覚と似ていると感じた。

yuki1229    reply

流体と固体の両方の性質を合わせ持つ,いわば中間のような状態についての物理を,易しい内容ばかりではない中でも,興味深い実演とともに分かりやすく講義いただきとても面白かった.分野として流体や固体というものはある程度知っていたが,その中間であるからこそ面白い振る舞いをするものもあるというのはとても興味深い内容だった。

doradora1115    reply

講義でお話しされていたように、固体が流れるとはどういうことなのかイメージがつかみにくかったのですがよく理解できました。地球全体をとらえるためには流体力学と固体力学の双方の見方が求められるとありましたが、考え方の異なる二つの学問領域を架橋するのは難しいことだと思います。その難題を達成した先に新しく見えてくるものがあるだろうと期待しています。

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