事業紹介

いま、私たちは、さまざまな課題に直面し、それへの対応を迫られる時代を生きています。
地球温暖化や生命の問題、民族紛争と人間の安全保障など、
21世紀の人類が直面している課題に取り組もうとするとき、
私たちに求められるのは、啓蒙的な知識の量を増やすことではなく、
既存の知識を疑い、新しい知識を生み出すための作法を身につけることです。
理科的教養は、単に知的好奇心を満たすだけでなく、
私たちが将来をどうするのかという社会的選択と密着した実際の必要性に根差すものであり、
文科的教養も、また同様です。
リベラルアーツ教育は、社会の中で責任ある判断と行動のできる人間を育てるべく、
その人格形成に関わる重要な使命を有しています。
東京大学はリベラルアーツ教育を、旧制第一高等学校の伝統を引き継ぎ、
日本の国立大学法人で維持し、発展させてきました。
大学院レベルの先端研究との創造的な融合を追求しながら、幾多の改革を重ねて現在に至っています。
そして、いま私たちは、この全人的発達を目指すリベラルアーツ教育を、東アジアに向けて発信し、
東アジアの大学との双方向の教育交流を通じて、ともに高めあうなかで、
東アジアにおける共通のリベラルアーツ教育の実現を目指しています。

LAPは、その海外発信の実践であり、中国における重点展開として、
中国の名門校である南京大学と連携して、多くの実りある教育交流を行ってきました。
2005年に始まる本プログラムは、南京大学に「東京大学リベラルアーツ交流中心」を設置し、
多くの講演会を開催するとともに、
日本語学科の学生を主な対象に「表象文化論集中講義」を正規科目として開講し、
2015年より南京大学全学生が受講可能な講義となりました。
LAPを通して、新たな学際的領域の学問が中国に紹介され、
中国の大学生たちに大きな刺激と反響を与えています。
また、2010年から教室の外での知的体験も重視し、
両校生の共同フィールドワークを中心とする「東大生×南大生共同研究」が始動しました。
リベラルアーツ教育が、言語の壁を越えて、両国の若者の知的好奇心をかきたて、
彼らに新たな知の地平を提供しているのです。

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