ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第5回 03月19日 井坂理穂

何を食べるか、食べないか―近現代インドの食をめぐる議論―

今日、あなたは何を食べたでしょうか?何をどのように食べるかという選択は、個人の好みを反映するばかりでなく、個人を取り巻く社会で広く共有されている規範や認識からも影響を受けています。こうした食をめぐる規範や認識は、固定的なものではなく、それぞれの時代の政治・経済・社会的変化のなかで新たな解釈を加えられたり、再構築されたりしてきました。この授業では近現代インドに焦点をあて、異なる階層や立場の人々を取り上げながら、彼らの食をめぐる議論、模索、葛藤、対立の事例をみていきます。イギリス植民地期に、食のあり方をめぐってどのような議論が起こっていたのか、そこに宗教やカーストへの帰属意識はどのように絡み合っていたのか、ナショナリズムの台頭は食のあり方にいかなる影響を与えたのか、近年の経済成長や政治変動のなかで食をめぐる議論はどのように変化したのか、などを検討します。そのうえで、今度は私たち自身の食の選択を振り返り、その選択の背景に何があるのか、その選択は何を意味するのかを考える手がかりがつかめればと思っています。

講師紹介
井坂理穂
総合文化研究科・准教授。専門はインド近現代史。主に19‐20世紀のさまざまな社会事象や社会運動。とりわけ、言語、宗教、カースト、階級、ジェンダーなどの多様なアイデンティティが異なる場面でどのように表出され、それらが互いにどのようにかかわりあっているのかについて研究している。

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