ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

南京大学集中講義
(南京大学生対象)
2017年度「家」

2017.Aug.23

概要

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 住まいのことを考えるにせよ、家族のことを考えるにせよ、「家」は我々にとって、豊かなイメージを喚起する力を持っている言葉だ。にもかかわらず、「家」を語ることが難しいのは、それが我々の弱さと結びついているからである。字源をたずねれば、漢字の「家」のかんむりは、家屋の屋根に由来するという。可傷的な存在が必要とする保護を、助けを提供するものとして成立したはずの「家」が、その揺るぎなさゆえにかえって桎梏となり、あるいは保護をもたらすはずの外界からの遮断がむしろ無法を助長するといった矛盾を、我々はまさに自身の弱さにおいてくぐり抜けることを余儀なくされる。そしてそこで刻まれた経験は、しばしば逃れ出ることの難しい、共感の閉域を構成することになっている。
 「家」という言葉を聞くとき、誰もが何かを思い描くのだが、しかしその何かは、それぞれ決定的に異なっている。誰もが自分の「家」にとらわれている。そのとらわれの身から踏み出す一歩を、本講義の提供するさまざまな「家」へのアプローチから見いだして欲しい。

  本講義を企画するリベラルアーツ・プログラム(LAP)は、東大のリベラルアーツを海外に発信する教育プログラムとして、2010年に「身体論」をはじめ、毎年異なるテーマで受講者に1つのテーマに対して多様な切り口を提供するインターディシプリンの講義を開催してきました。また、フィールドワークでは、南京大生との共に南京の街を歩き、共に街の人々の生活を「再発見」することを期待しています。

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