ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第8回 03月25日 芳村 圭

地球上の水循環 ――雨はどこからきたのか

2013/3/25 - 2013/3/26

地球は、「水の惑星」と言われるほど、豊かな水に恵まれています。この水は、気体、液体、固体と姿を変えながら、地球上を循環しています。この水の循環は非常に複雑で、わかっていないことがたくさんあります。こうした複雑な地球上の水循環の様子を教えてくれるものの一つに、「水の同位体」があります。水は通常「H2O」で表されます。ところが水の中には「H218O」や「HDO」などで表される「安定同位体」と呼ばれるものが含まれているのです。この「水の同位体」に注目することで、地球上の水循環の様相を探ること、たとえばある地点で降った雨がどこからきたのか、いつ水蒸気になったのか、などを解明することが可能になります。さらに、数十万年も前に凍結した南極の氷や、数百年間生きている樹木の水由来の成分の同位体を調べることによって、その時点の地球上の様子を探ることもできます。人類が観測を始める遥か以前の地球の情報が得られる点で、水の同位体はまさに「情報のタイムカプセル」なのです。

講師紹介

芳村 圭
東京大学大気海洋研究所准教授。 専門は気象学・水文学・同位体地球化学。主として水の同位体比情報を利用して、シミュレーションモデルや現地観測を駆使して地球水循環過程を解明する研究を行っている。2006年に東京大学より博士(工学)を取得、2006年から米国スクリプス海洋学研究所勤務ののち、2010年から現職。著書に「気象学における水安定同位体比の利用」「天気と気象についてわかっていることいないこと」(いずれも共著)など。
授業風景

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