中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 東大×南大共同フィールドワークin東京【11月】2011年度

東京タワーから見えた空間と記憶

11月の東京大学1週間体験プログラムに参加できて、そして、チーム3のメンバーとして東大側の皆さんと一緒に「東京タワー」というテーマを選んで、空間と記憶に関していろいろ共同研究をした。最初にこのテーマを見たとき、正直どんな研究になるのか漠然としていた。東京タワーという空間と言っても、まだ一度も行ったことないので、それに関する記憶というものはないではないかと思っていた。

第一回のチーム討論会で、皆でいろいろ研究に関する問題点を挙げて、研究方法を決めた。今回の研究は二つのルートに分けて進むことにした。第一ルートの主役は私達南大生。東京タワーは私達にとってあくまでもテレビやアニメの中のイメージに過ぎない、この空間の認識は実体験ではなくて、想像に沿い付くものだと思っていた。それで、実際東京タワーに行って、自らの目で確かめた後、どんな違いがあるか、思っていたイメージはどんな変化を起こすのか、そして、前後の記憶はどのように変わるのかについて研究したかった。第二ルートの対象は東京タワーの付近に住んでいた日本人の方であった。東京タワーが建設される前にもうすでにその空間に住んでいて、そのような方々の目に東京タワーはどんな存在なのか、また、他の人と違って何か特別な記憶があるのかについていろいろ検討していきたかった。これは今回の共同研究の主な筋であった。

研究方法としても二つ分けていた。第一ルートに関しては、私達南大生の実地考察であった。第二ルートに関してはインタビューを使うことであった。

最初はインタビューをしてきた。インタビューの対象は二人の予定であった。一人目は増上寺の職人さん、二人目は赤か羽の女将さん。増上寺の職人さんから港区観光協会の方を紹介してもらって、インタビューの対象が一人増えて、三人になっていた。

増上寺の職人さんと赤か羽の女将さんはずっと昔から東京タワーの近くに住んでいたと思って、それを焦点に東京タワーに関していろいろお聞きしたかったが、実際の状況はちょっと予想と違った。たとえば、増上寺の職人さんは東京タワー建設した当時ちょうど東京にいなかった。10年前に再就職で増上寺に勤めている。それが原因で、東京タワーの建設前後の変化もあまりご存知なかった。赤か羽の女将さんもお店がこちらに移ったのは東京タワーが建設したあとのこととおしゃった。お二人ともあまり建設する前の様子はご存知なかった。それで、東京タワーに対する特別な感情はあるかと聞いたとき、お二人とも別に特別な感情がない、ただの電波塔だと思ってるみたい。それは多分あまりにも東京タワーに近いから、毎日見ていると、きっと慣れて生活の一部分になっているのではないかと私は思う。近すぎると、自分もその空間、つまり東京タワーの空間を空気のように当たり前に思ってしまって、結局何も特別な記憶というものを生み出せない。

最後にインタビューしたのは港区観光協会の方。その方からいろいろ東京タワーの建設前後のいきさつを聞かせられて、いい勉強になった。前の二人と違ったのはその方は東京タワーをただの電波塔と思ってなくて、やっぱり人々にパワーをあげていると。地震後、東京タワーが節電したとき、たくさんの手紙が来て、ライトアップしてほしいとの願いだった。東京タワーは東京のシンボルと思ってる人が多いとその方がおしゃった。

これらのインタビューから日本人の東京タワーに対する記憶(感情といったほうがいいかもしれない)が自分なりの理解ができていた。空間と記憶を繋がるには、ある程度の距離が欠けないと思う。近すぎると、その分空間に対する憧れや想像も極端的に落ちて、結局特別な記憶なども生み出せないと思う。逆に、ちょっとその空間と離れて見ると、努力しないとその空間にたどり着けないから、努力したことを記憶に変えて、特別な忘れられない思い出などになれるではないかと思う。つまり、空間と記憶の間に、距離を入れたほうが納得できると思う。

そして、私達中国人が東京タワーを見たあと、イメージがどう変わるかについて説明したい。東京タワーに行く前に、いろいろ聞かれた。中の様子や展望台などについて想像させられた。まだ一度も行ったことがないがため、中国のテレビ塔と照合しながら想像していた。実際登ってみたら、確かに違うところがいっぱいあった。一番印象深いのはやっぱり外見の色である。皆ドラマから見たときは赤と白と思ってたが、本当はオレンジと白だった。これは本当に小さいことだけど、私の中では大きな波紋を起こした。当たり前に思っていたことは実際間違ってるというのは、正直ショックだった。今の時代は発達していて、家から出なくても、世界のどこでも見れるようになっていた。まさに空間の限界を距離の限界を曖昧にしている世の中になっている。だけど、テレビやネットなどで見れる空間は本当の空間を入れ替えることができるのか。今回のことではっきり「できない」と言えた。いくら科学技術が進んでると言っても、この身で行ってこの目で確かめないと分からないことが数知らずたくさんあると思う。だから、記憶というのは、やはり実在の空間と繋がっている。実際に行かないと、正直、その「記憶」というのはただの「想像」に過ぎないと思っている。

以上が今回の共同研究で空間と記憶に関しての自分の考えである。

此度のプログラムに参加して、自分自身に変わったことが確かにあったと思う。まずは物事に関する発想が前より広げられた。「空間と記憶」という大きなテーマの下に、いろんな角度から見ることができる。たとえば、一組の絵の中の空間とそれを見て中日の記憶の違い、二組のアニメ『隣のトトロ』の中の空間から人々にどんな記憶に繋がるのか、うちの東京タワーという特定の空間においての記憶、四組の神社という空間を選んで記憶の研究。こんなやり方はとても斬新だと思っている。そして、いろんな研究方法を使ったということもとても勉強になった。インタビューとか、実地考察とか、アンケートとか、できる限りの条件を利用して、皆を一つのチームとしてよい研究をしたと思う。このプログラムに参加して、これから勉強や研究するとき、自分の考えを一つの視点に縛られないように気をつけたい。もっといろんな角度から物事を見たい。これこそ正しい研究だと考えている。

このプログラムは南大生にも東大生にもすごくいい勉強の機会だと思う。互いの文化や知識背景を知ることができて、互いの考えを交流することができて、中日の若者にとってはきっと宝物になると信じる。もっとこんなチャンスが増えればと願っている。

(南大学生 M2/チーム3)

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