中国の学生との共同フィールドワークを体験したい

学生による意見・感想 東大×南大共同フィールドワークin東京【11月】2012年度

「変容」についてわかってきたこと/意見・感想(南大M1)

共同研究で、うちの二班は「浅草の変容-中国・南京の夫子廟との比較」というテーマにした。浅草でフィールドワークを行い、または浅草を南京にある夫子廟という浅草とかなり雰囲気の近い観光地と比較したのである。その中で、浅草も夫子廟も時代に寄り添って変化してきたが、変化した結果が異なり、変容していく方向が違うとのことに気づいた。浅草は昔のままの雰囲気を維持して、一見変わっていないと思われる。しかし、実は昭和時代にできた映画館が次々と閉館になり、ショッピングセンターの建設も進んでいる。変わっていない、伝統的な純和風のように見せているが、実は時代の変わりによって変化している。一方、宋朝という時代から中国の科挙を行う試験場として使われてきた夫子廟は、南京市政府の政策の下で、南京の代表的な観光地及び商業圏を目指して変容した。昔の建物や寺などはまだ保存されているが、周辺にマクドナルドやケンタッキーなどのレストランが進出し、夫子廟辺りはすでに地元の人にとって買い物するための市場になり、商業化されたと言われている。この二ヶ所とも商業化したが、浅草は近現代の物を伝統的な日本風に変えて受け入れて変容してきた一方、夫子廟は西洋の文化までそのままにどんどん受け入れて変容してきた。浅草では観光客の欲求が満たされるが、実用性が足りないため、地元の人はあまり行かない。浅草と違って、夫子廟は商業化しすぎる傾向があるので、観光客の欲求は夫子廟では満たされない。しかし、実用性が高いため、地元の人はよくその実用性を求めて行くのである。

我々の身近な生活において、人の活動やモノ、場所などあらゆるものが変化している。そして、今の時代はあらゆるものに変化を要求している。いずれの変容にもその意義・意味がある。また、企業などの営利団体であろう、行政機関であろう、私たち自身であろう、時代の流れに付いていくため、変化に対応し先んずるため、自らも進化し続けなければならない。

共同研究で東大生と意見をぶつけ合い
新たな発想がどんどん引き出された

今度のプログラムで、一番印象に残ったのはフィールドワークである。プログラムに参加する南大生と東大生が四つの班に分けられ、それぞれ興味のある課題について研究することは今回のプログラムのメインだった。一つの課題について研究し、さらにデータをまとめ、意見を述べてプレゼンテーションをするのは今まで何度もやったことがあるが、実はフィールドワークという形で共同研究するのは今回は初めてだった。文献やインターネットを利用することだけではなく、現地を実際に訪れ、関係者に聞き取り調査やアンケート調査を行うのは非常にすばらしい研究方法だと思う。さらに、東大生と一緒に研究を進めていくうちに、さすが東大生!という気持ちでいっぱいだった。東大生はとてもまじめで、頭も良くて、物事に対してちゃんと自分の見解を持っている。共同研究で、東大生と意見をぶつけ合い、新たな発想がどんどん引き出された。

ところが、南京大学の学生は授業や見学でスケジュールは結構厳しくなり、共同研究のために使えた時間はそんなに十分ではなかった。また、東京大学の学生も授業やアルバイトがあるので、十分な研究時間を取るのがなかなか難しかった。フィールドワークを行い、文献などを調べ、研究データを分析し、さらに発表を準備するのは、もしもっと時間をいただければ、もっといい結果が出られたと思う。共同研究の時間があまり足りなかったので、もっと掘り下げて研究するのは難しかったのである。

(南京大学日本語科修士1年)

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