プレ講演
Date: 2013/12/17
刈間 文俊
中国映画における排泄 ――なぜ旨い酒ができたのか

張芸謀監督の『赤いコーリャン』(1987)は、昨年のノーベル文学賞を受賞した莫言の小説を原作に撮られた中国映画で張芸謀は監督第一作でベルリン映画祭金熊賞に輝いている。公開当時から話題になった作品だが、中国国内で物議を醸したのは、造酒屋でのシーンだった。男が出来たての新酒に悪ふざげで小便をしたら、なんと旨い酒ができてしまったのだ。酒の業界からは抗議が出るやら、ありえる、ありえないの論争が巻き起こった。なぜ小便が旨い酒を造り出してしまったのか。中国の文化状況の中でこの謎を読み解いてみよう。
[講師紹介]

刈間 文俊
東京大学大学院総合文化研究科教授(表象文化論)。専門は、中国映画史、中国現代文芸。
1983年東京大学文学部中国語中国文学科博士課程修了。1980年代以降の中国文芸に関心があり、新しい文化状況を追いかけるとともに、サイレント時代の中国映画にも魅力を感じている。これまでに中国映画の字幕を100本近く手がけてきた。
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