I Want to Learn How to Think Beyond Academic Disciplines

Vol.2 2022.10.12

comments(最新2件 / 6)

MI710    reply

貨幣経済、定住社会は持つものと持たざるものとの格差を生み出した。貧しいものは下層民として労働に従事し、富めるものは上流階級として余暇を享受する。そして一般に言われるところでは、その余暇=スコレーが始原の哲学者たちに理性による探求の余裕を与え、神話的説明を排した学問を生み出したとされる。そのようにして成立し数千年の時を経て発展したこの営みは、現代になって今度は自らを定立せしめた貨幣経済という神話に対する懐疑にまで至ることになったのである。高度に発達した情報技術が金融貨幣経済システムを解体する。あるいは供給者と消費者の間の一対一の限定交換によって成り立つ社会が終わりを迎え、贈与の閉じた円環である一般交換に基づいた社会が到来するのかもしれない。徹底的に現代社会を相対化しようと努める学問的探求は新たな社会のあり方を提示することができるのか。それは私たちにこそ託された課題なのだと感じられた。

Taku0    reply

技術や社会の変容に関して、「成長の歴史」として一本の直線のようなイメージを持っていたが、「テトラッド」の考え方でそれぞれの技術や社会をひとつのサイクルと見ることで新たな側面が見えてくるのがおもしろかった。DXと専門未分化の話やテトラッドなどを学問というトピックで考えてみると、かつてギリシアで奴隷による市民の自由(余暇)のもとで哲学などの学問や芸術が発展したこと(また当時は哲学者兼数学者が多かった=専門未分化?)と、今後AIやその他のテクノロジーにより自動化、効率化が進み専門未分化とはいかないまでも個人がより広い学問領域にアクセスできるようになるかもしれないことや近年よく聞く「学際的」な研究が、似た事象である気がした。そして、今後のそのような動きは今までの学問の発展に伴い進んだ専門化の反転に当たるのではないか、と考察の正誤はさておき様々なことに思いを巡らすことができた。月面社会に関する話では、貨幣をはじめ、自分が住む地球の現代社会の仕組みを唯一のものとして絶対視する価値観を見直すことの重要性を学んだ。気付きと学びの多い楽しい時間だった。

u1tokyo    reply

この講義を受けるまで、貨幣の価値は絶対でありあらゆる商品の価値の基準であると考えていた。しかし、『偽札が全てを解決する循環』のテーマで、恩の関係が円環として閉じていたという結論を聞き今まで考えたこともなかった新たな視点を得ることができた。さらに貨幣、専門分化と国家の三つ巴についての話、メディアとしての金融貨幣経済のテトラッドの話を聞き最後に月面社会におけるコミュニティ内での資源分配のあり方について考えることで貨幣システムが絶対的なものからは程遠いと感じた。
国家によって担保された貨幣を介さないような新たな経済活動のあり方がデジタルトランスフォーメーションによって可能になるかもしれないというのは、とてもワクワクさせてくれる話だった。自分でも今後の新たなデジタル技術や経済活動のあり方についてアンテナを張りながら、考えてみたいと思う。

kent0316    reply

身近なお金の貸し借りの話では、偽札が有用であるシーンが
実際に歴史の中であったとききとても驚きました。
またあまりこの授業の本質的なことからは外れると思いますが、
お金が循環する中で、借りたお金は必ず返さなければならないというのは
一種の洗脳かもしれない、貸した時点でその取引はある種終了していると捉えることもできる
という意見は自分にとって新鮮でかつ一理あるものに思えて
感動しました。

mayateru66    reply

偽札の存在がすべてを解決した話は私にとっては新鮮でとても興味深かった。講義での例え話は恐らくかなり極端なものではあろうが、それでも実際自分が誰かのためにしたことというのは巡り巡ってどこかで自分に還って来ている可能性は大いにあるなと思わされた。そう考えると確かにお金というもの、ひいては借りたものは返して当然という考え方自体も必要ないのかもしれないなとも思った。テトラッドの話も面白かった。金融貨幣経済システムは一度確立されて以降ずっとあり続けるものだと勝手に思い込んでいたが、それが問題を生み出し、その問題に対するアンサーが台頭すると金融貨幣経済システムが衰退させていたものが回復し新しい経済の在り方が生まれるかもしれないというのは興味深かった。講義全体を通して、産まれたときには既に存在していてこれからも当然在り続けるだろうとどこか信じ込んでいたお金というものの絶対性が根本から揺らぐ不思議な感覚を覚えてとても刺激的だった。

YCPK4    reply

・輪のようになった借金の関係が、"ニセ札"を投入することで解消されてしまう話が非常に印象深かったです。正直なところ、今でも騙されたような感じが拭えません。そして、現実の社会でも、この話のような実態のない貸し借りによって経済活動が抑制されているのかもしれないと思うと、確かに、貨幣が交換を促進しているのだ、という常識を疑いたくなりました。
・テトラッドの「回復」の概念が面白いと思いました。特にテクノロジーの世界では、一度廃れてしまったものは懐古趣味のような形以外では復活することはほとんどないと思っていたからです。この「回復」の概念を用いることで、自動車が廃れさせた馬車の特性(「人と人以外の知性が協調して目的地に向かうこと」など)が、自動運転者の登場によって形を変えて復活する、という状況が非常に綺麗に説明できていて感心しました。
・社会の成立過程を考えると生活必需品の物々交換は難しそうである、という話も、新鮮な切り口で面白かったです。このお話で、沈黙交易ということを知ったのですが、非常に興味深く、(貨幣や経済についての講義だったとは分かっているのですが) 人類学についてちょっと勉強してみようかなという気になりました。そして、この社会のそもそもの始まりを考えるという切り口でいくと、月面社会について、わざわざ生存可能性の著しい低い月面に人類が移住する動機とはなんだろう、ということが気になりました。地球が生存不可能な星になった時でも人類を存続させていくため、科学の発展、浪漫、といったものは考えられるのですが、いまいち必然性に欠けるようにも思えます…。

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