I Want to Learn How to Think Beyond Academic Disciplines

Vol.1 2016.09.28 BABA Noritoshi

講義要旨

9月28日 

古代インド社会の「色」

光 が眼の神経を刺激する知覚過程が明らかになっていなかった近代以前の社会において、「色」とは何だったのか?我々はタイムマシーンにのって過去を見ること はできなくとも、残された文献を読み解くことにより、人間社会において「色」がもった意味を知ることはできる。本講義では、古代インド社会において「色」 とは如何なる意味の広がりを持った概念だったのかを考察する。古代インドを知る上で欠かすことのできない前提、サンスクリット語の歴史的・言語的概説をし ながら、「色」が人間社会に果たしてきた役割の一端を論じたい。

10月5日 

仏教の「色即是空」論

古 代インドに生まれ、アジア各地に広まった仏教は、東南アジア、内陸アジア、東アジアの世界観に多大な影響を与えた。仏教においては「色」にかんする哲学的 議論が重ねられたが、その着地点の一つ、「色即是空」を取り上げる。仏教は、成立当初から、「眼」などの知覚器官とその対象(「色」など)という事物の認 識過程を把握していたが、紀元前後に登場した大乗仏教は、それら知覚と対象がいずれも本質がなく、「空」であると主張するようになる。初期仏教から大乗仏 教に到る「色」をめぐる議論の歴史を考察し、有名な『般若心経』の一節、「色即是空」を解き明かしたい。

Instructor
BABA Noritoshi
研究領域は古代インド仏教と上座部仏教。パーリ文献とサンスクリット文献・漢訳文献・チベット訳文献とを比較して、インド仏教史を解明することを目指している。とくに、スリランカと東南アジア大陸部に広まる上座部仏教が成立する過程を研究している。

comments(最新2件 / 84)

あのにますqwerty    reply

高校の世界史で習った古代インド史では、最古のヴェーダがリグ=ヴェーダである、としか習わなかった。ヴェーダの文章がどれだけ近縁の言語に近いかどうかで、そのヴェーダの古さがわかる点には驚いた。

ヨシyoshi4    reply

高校の授業で学んだヴェーダには、祭りについてのことが書かれており、祭りを行うということは年、月、日の観念が存在したということであり、それにより農耕社会が支えられていたという話を聞いて、ヴェーダというものからこれだけのことが分かるということに驚いた。ヴァルナについても、頂点に立つバラモンが、祭りの主催者、つまりは時の管理者であったという観点が興味深く、また、ヴァルナが、我々の思っているより酷い差別制ではなく、インド社会の構成要素でさえあったという点も面白かった。全体的には、動画などを豊富に用いたとても興味を引かれる講義だった。

浩行yh21    reply

かなり文系寄りの話で、正直理系の僕には付いていけないところもあったんですが、古代インドの色から展開された哲学の話や、古代インドの思想に影響されたガンディーの話など、普段の理系の授業では絶対聞かない様な内容で教養として興味深かったです。また、先生がおっしゃっていた様に、自然科学をやる場合においても、東洋の思想に精通していることが武器になることがあると思うので、様々な思想、考え方に触れるのはいい経験だと感じました。そういう意味でこの授業は理系文系の先生方が講義して下さるので、非常に有益だと思いました。

ユウキa525    reply

古代インドにおける色であるヴァルナを中心に、言語や農耕成立以降の普遍的な社会のあり方、インドの哲学が与えた影響の広がりなど、様々な興味深い内容がテンポよく展開され、最後まで飽きずに堪能できた。非常に中身の濃い講義であり、インドの哲学等にも興味を持つことができた。

オグ666A    reply

「色」についての講義ということで色彩心理学のような講義と思っていましたが、今回は色についてはほとんど講義されていませんでした。しかし、古代インドの文献などの普通に大学生活を送っていたら聞くことはできなかったであろう話を偶然にも聞くことができて、非常に興味深かったです。もう少し理系に向けても講義していただければと思いました。

うどtyd41a    reply

「ヴァルナごとの務め」を話題の中心に置きながら、古代インドの話題について非常に幅広く触れてくださったので楽しかったです. サンスクリット語関連の豆知識なども面白かったです.

やまふじTF92    reply

講義の要項を読み、興味を持って第一回の講義を受講しました。自分は理系の学生であり、先生のおっしゃる『一般常識』は恥ずかしながらほとんど携えておりませんでしたが、そんな自分にも理解ができるように、古代インドの世界観やそれが著名人に与えた影響を説明して下さりました。古代インドの『色』は『立場、身分』に連関した語であるということ、また、そこから派生した様々なお話を聞けました。一回目から面白いお話が聞けて、自分の見識が大変広まりました。ありがとうございました。

Chikaka05    reply

「色」という一つの言葉をきっかけにどれほど話が広がっていくのか興味を持ち、受講しましたが、初回から古代インドの身分制という思ってもみなかった方向の講義で驚きました。同じ「色」という言葉でも時代、地域の違いによって異なる概念を持つことを知りました。古代インドについては高校の世界史で習った程度の知識しかありませんでしたが、馬場先生の語る古代インドはとても面白く、新たな知識をたくさん得ることができました。
インド・ヨーロッパ語族が今も言語の基本概念を共有しているが英語にはかなり限られたものしか残っていないとおっしゃいたので、各国の言語のサンスクリット語由来とその国独自の概念のそれぞれの割合が気になりました。言語の概念の変化には物理的な距離も関係あるのでしょうか?また、日本語にもサンスクリット語由来のものがあると初めて知りました。特に「旦那」が意外でした。
農耕が人間に与えた影響の大きさを改めて感じることができました。所有意識の芽生え、そして身分という概念の誕生と、今の人間の姿に近づき始めるわけですが、ふとどちらが幸せだったのかという疑問が浮かびました。所有意識や身分が生まれたことにより争いが増えたような気っがするのですが一概にそれ以前がよかったとも言えず難しい問題であると感じました。
ヴァルナの説明の際にそれぞれの身分がお互いに必要としあっていることが興味深く感じました。今まで身分の低い層や極端に高い層はないに越したことはないと思っていましたが、庶民という中間層が存在すると必然的に上も下も必要になってくるのだとわかりました。また身分制が必ずしも悪い面ばかりでもなくいい面もあるのだと知りました。身分により仕事が決められているということは職業選択の自由がないというマイナス面以外に就ける職業があるということを保証するというプラスな面もあるのだと気づきました。
私は今回初めて「マハーバーラタ」のストーリーを知りました。その中の「バガヴァッド・ギーター」の一節である『苦楽、得失、勝敗を同じものと見て戦いの準備をせよ。そうすれば罪悪を得ることはない』が心に残りました。私は普段すぐ結果を気にして一歩踏み出せないので、この言葉を意識して変わりたいと思いました。

mat1129    reply

思っていた色とはだいぶ違う色についてでしたが、普段だったら特に興味のないインドについての話はとても新鮮でした。
苦楽、得失、勝敗を同じものと見て、戦いの準備せよ。いい言葉です。講義の苦楽とか鬼仏とかを気にすることもないわけではない身としては耳が痛いです。
質問なのですが、肌の色が元で身分制を色と呼ぶようになったのかもしれないという話でしたが、例えば日本の冠位十二階のように、身分ごとの色のようなものはあったりしないのでしょうか。

ren    reply

varnaという単語が「色」と「身分」という意味を同時に持つ点から見ても、古代インド社会において色と身分というものが深く結びつけられていたことが分かった。そのうえ、その身分に応じて、義務があって、その義務がそれぞれの生き方まで形作っていたことを考えると、色がどれだけ大きな意味を持っていたかがよくわかる。
当時の人にとって、各々の生き方は義務や使命のようなもので、それを全うすることに何の疑いもなかったのかもしれないが、現代的な感覚でいえば、肌の色によって生き方が決められてしまうというのは不条理に思えてしまう。

rintaro18    reply

今回は、シラバスを読んで興味を持ったため試しに受講したが、いい意味で裏切られたような内容で、「色」というテーマでこれからどのような講義が行われるのかとても気になった。特に今回は色=身分としての古代インドのサンスクリット文化を中心とした講義であったが、多くのサンスクリット文学に関わる小ネタを伺うことができてとても楽しく受講できた。

Kai0508    reply

身分という意味での「色」という観点は僕は持ったことがなく、非常に興味深かった。古代インドにおける身分制度は、今まではただひどいものであるという認識だったが、農耕文化のために必要となったそれぞれの役割を人々に配分して社会をうまく回すための合理的な制度であったことを理解することができた。

たかnt72    reply

今回の講義で、「色」にも様々な解釈があるのだということを知りました。
私は理系であり、色に関する講義を聞いたり参考書を読んだりしたことがあるため、「色」と言われると認知のメカニズムなど科学的なことばかりに思考が働いてしまいます。しかしながら、科学が発達するずっと前から人と「色」は密接にかかわっており、様々な意味を持っていたということは当たり前で、そうでありながら私はそういった考えを思考の外に追いやっていました。
様々な視点から物事を見ることの大切さを感じた講義でした。

しんすけtj16    reply

「色」という題名を見て、あまり難しくなくしかも面白いのではないかと思い受講させていただきました。受講してみたら実際その通りかそれ以上に楽しく、とても良かったです。自分は色というのを理系的にしか勉強したことがなく、なぜ自分がこの色が好きなのかといった疑問はなんとなくありました。もともと様々な視点で「色」を捉える講義だとはわかっていましたが、想像以上に多角的な視点でびっくりしました。先生が古代インドの物語の壮大さをお話になっているときが特に引き込まれるように楽しかったです。「色」という題名を忘れてしまいそうになりました。

fujiiTK48    reply

テーマの「色」と最も関わりの深かった「ヴァルナ」については、インドのカースト制が差別的であるという一般的な見方を一旦留保し、農耕から発展した社会においては必然の制度であったとする点が大変興味深く、納得させられた。またその片鱗はこの日本にも見られるということを実例を伴って示された時には驚きを隠せなかった。さらに、個人的には、「マハーバーラタ」作中で紹介されたインドの神の言葉に非常な感銘を受けた。講義では2通りの受け取り方が述べられていたが、私はこれを自身の責務を果たすべく戦えという鼓舞のメッセージとして考えたい。人生の中で何らかの大きな岐路に立たされた時に決断を下すための考え方の枠組みを、一つでも多く獲得することもまた、文学、文化学を学ぶ意義なのであると感じた今回の講義であった。

海f208    reply

高校時代、世界史選択だった。
ヴァルナを知った当時、インドは昔から身分差別があったのだなあと解釈していたが、「農耕社会では当然の役割分担だ」と聞いてなるほど確かにと思った。
『ラーマーヤナ』も『マハーバーラタ』も何が違うねーんと字面だけの暗記に苦労していたが、この講義を聞いた今、あらすじを忘れることは一生ないだろう。
インド史の暗記辛かったあのとき、こんな講義に出会いたかった。最高でした。

Riou774    reply

「色」という抽象的なテーマからどのように話が発展するのか気になっていたのですが、結果としてとても面白い講義を聞くことができました。
私は理系であり、インドについてはほとんど何も知らなかったのですが、
この講義を聞いて、言語、民族、神話など非常に興味を持つことができました。
本講義のテーマである身分を色と対応させるのは意外であり、それでいてとても面白かったです。特にヴァルナというものが民族の肌の色から来ているのではないかという考察には驚嘆しました。
授業の最初に述べられていた、「近代以前において色とは何か」という問題の一つの解釈を知ることができる講義でした。

syuya0216    reply

古代インドにおける、ヴァルナ(色)=身分という切り口から展開される馬場先生の講義は大変興味深かった。身分制と職業が結びつくことで、人々は選択の自由は与えられないものの、確実な職業を得られるという視点には今まで気づかなかった。「バガヴァッド・ギーター」の話をここまで詳しく聞いたのは初めてだったが、ユーモアを交えつつ紹介してくださったので物語の世界に入り込めた。ヴァルナに基づく義務の観念は哲学的で、我々もそこから学べることは多いのではないだろうか。

わかなwk29    reply

シラバスを読んで色に関する授業であることは知っていたが、最終的に話がヴァルナやそれに基づく義務の話につながるとは思っていなかった。インドにおける色の概念は日本人ともまた違っているように思われ斬新で面白い講義だった。ラーマーヤナの内容にも初めて触れさらに続きを読みたくなった。

mirai63dc    reply

インド社会において近代になって成立したカーストとなんとなく同じようにくくられ、ヴァルナも否定的に語られがちだが、農耕社会を維持していく上で必要な役割としての階層だったということを認識することができた。宗教的なものが「時」を管理するという点は、近代以前の日本で寺社の鐘が時間の目安だったことにも通じるのかもしれないと思った。古代インド神話についてのお話も面白く、インド、さらに日本やその他の地域の神話についても興味が湧いた。

mdk216    reply

私はいままであまり多彩な言語学に触れる機会がなかったのですが、今回の講義でのインド・ヨーロッパ語族の話は興味深かったです。旦那とdonationには驚かされました。
また、バガヴァッド・ギーターの「行為の結果を動機としてはならない」という一節に感銘を受けました。これから自分の進路を決める時の糧としたいと思います。
思っていたよりは色についての話は少なかったですが、その代わりに沢山の興味深いお話を拝聴致しました。ありがとうございました。

マイmk01    reply

「ヴァルナ」という言葉に「身分」と「色」の両方の意味があることに驚きました。日本の冠位十二階のように、やはり色と身分は密接に結びついているのだと思いました。ひとつ疑問に思ったのは、どの色が上位で下位でというのは、何を基準に決めているのか(たとえば武道の帯の色だとなぜ上位なのは白より黒なのか)ということです。また、「バラモン」「クシャトリヤ」「ヴァイシャ」「シュードラ」という身分制度に、今ほど差別的な意味がなかったところも興味深かったです。特にバラモンには時を司る役目があるということは初めて知りました。今何気なく一年や一日を捉えていますが、それは時計があり、時間の概念を全員が共有しているからこそなのだと思いました。普段何気なく過ごしている「当たり前」について考えるきっかけになりました。理系にとっては、初めて知ることがたくさんあったので面白かったです。

こう6d1d    reply

「色」という概念の奥深さに驚くとともに、自分の認識の浅薄さに気付かされた講義であった。
「色」を表す単語が単に光の波長の違いによる見えだけではなく、身分制度を表す言葉として使われているのは衝撃だったが、その身分制度が実生活の役割分担の基礎となり、各人の責任や義務を形作っているという点は納得できた。確かに日本語でも未成熟なことを「青い」と言ったり、有罪無罪を「黒と白」で表したりと、人の性質や特徴を色で表現することがあるということが思い出された。
これからの各教員がどのようなアプローチで「色」の物語を展開して下さるのかとても楽しみだ。

ちびまる1412    reply

所謂カースト制が「ヴァルナ」(色)という言葉で呼ばれていたというのが大変興味深かったです。色という言葉がそのまま身分につながるというのは古代の日本の職制にも似ているなと思いました。(どちらかというと日本が諸外国の真似をしたのかな、と思いますが)
またバラモンによる祭事が農村などの時間の管理に役立っているという話がとても面白いと感じました。

トシ2t2k    reply

古代インドでは、「色(身分)」は神に与えられたものであり、その「色」に相応しい生き方をすることが美徳であるということを知り、興味深く感じました。私たちの社会に目を向けてみると、多くの人々が自分の生き方を自分で選択できるようになっています。それでも、『バガヴァッド・ギーター』から学べることは多いと思います。自らがダルマだと思ったものに準じて生きることが、何かを成すために大切だと私は感じました。

ちぇる115M    reply

私が普段「色」と聞いて思い浮かべるものと全く違った「色」の観点からのお話で、内容は少し文系よりで基礎知識もあまりないとはいえ非常に興味深かった。
様々な話題を交えわかりやすく説明してくださりありがとうございました。
最も印象に残っているのはバガヴァッド・ギーターの話でした。近いうちに本を読んでみようと思います。
次回の講義もとてもたのしみです!

takeab1415    reply

第一回目の講義に対する率直な感想としては、
「色」というテーマに沿っての講義というよりは、色に少しだけ関係あるかもしれないという印象を受ける講義を行っている
ように思われました。

今回の講義内容自体は面白く、また新たな見識を得るということに関しては十分な役割を果たせていてたと思い満足しております。
しかしながら、「色」というテーマ自体がおざなりになっておりこじつけのような印象を受けたので、テーマがある以上はもっと色について焦点を当てるようにすべきではないかと思いました。

u2ae4w    reply

サンスクリット語で「色」を表す「ヴァルナ」が、アーリア人と先住民を肌の色で区別する際に用いられ、「身分」やその制度も表すようになった(のではないか)ということだった。
偶然以上の意味はないかもしれないが、基本的にものの種類によってある程度定まっている「色」と、所属に応じた義務(ダルマ)が定められた当時の「身分」が同じ語で表されることには納得感がある。
同じ語で表されるため、当時の人々は「色」と「身分」が容易に連想でつながっていただろうが、「色」への考え方と「身分」への考え方は互いに影響しあっていたのだろうか。

color81    reply

 古代インドの宗教文書であるヴェーダから見た人間の意識についての解説や、ガンディーやオッペンハイマーの思想についての講義は、私にはあまり馴染みがないもので、非常に興味深かった。また、古代インドで作られたマハーバーラタと呼ばれる物語は、現代人には思考が追いつかないほど突拍子のないもので、楽しみながら聴講できた。しかしながら、講義の内容は、インド言語学、もしくはインド思想史といった講義を聴講しているのかと錯覚するほどで、本講義のテーマである『色』に関する内容が、古代インドでの身分制度「ヴァルナ」が色の意を持つ、ということ以外ほとんど触れられなかったのが残念だった。全13回の講義全体のガイダンスとしての意義も持つ初回なのに「色」に直接的に関係しない講義内容に私自身驚いた一方、「色」というテーマに惹かれて聴講した学生の中には期待を裏切られた者も多かったのではないかと感じた。

もぎー    reply

「色」というテーマで開かれるという講義で、身分としての色というのを展開されて新鮮だった。ヴァルナの話になった時、私は自分のより身分の低い人間が作った料理は食べてはいけないから、レストランの料理人はバラモンが多いということを思い出した。職業が決められているという「自由の束縛」の側面からしかインドの身分制を見ないことが多いが、実際にはその身分制は差別よりも職業の安定や社会の円滑な運営にも携わっているのではないか,ということを考えさせられる講義だった。

ゆ3y26    reply

古代インドと「色」がどのように結びつくのだろうとわくわくしつつ、楽しみながら聴講することができました。「色」という観点でのヴァルナの話だけでなく、古代インドで用いられたサンスクリット語や二大叙事詩の背景、内容などを語学や文学、哲学といった様々な観点から考えることができ、とても興味深かったです。

tutysp30    reply

これぞ本当の教養という感じの大変興味深い講義だった。色や身分を表すヴァルナが古代インドにおいていかに人々の生活や仕事に重要な業務を課しているかがよく分かった。インドの様々なユニークな物語や現在使われている言語の起源についても知ることができ、大きく視野を広げることができた。インドの思想についてとても興味をもったので、今後インドの文献にもっと詳しく触れてみたいと思う。

小三元4vj8u5    reply

 今回の授業は、古代インドにおいて色がいかに理解されていたかを知る、ひいては近代西洋的な自然科学の知見を介さない伝統的な色理解の一端に触れる機会として提供された。古代サンスクリット語では色という単語に対応するのはヴァルナであり、これはその他に種類、身分といった意味も含意するという。これを踏まえつつ、授業では身分としてのヴァルナの形成に伴う人間の意識の変化、独特の義務感や倫理観の出現を解説して頂いた。
 強く印象付けられたのは、農耕を行い、計画的に動植物または生物としての人間、さらには社会を再生産していくためには、共有される時間を管理する者が必要であるという点だ。それゆえに人間は、強烈な人種差別とは結びつかないまでも、ある程度以上の身分差や社会的役割分担のない産業社会を作ることができない。少なくとも、それに未だに辿り着いてはいない、というのだ。確かに私の身の回りの共同体でも、幼稚園以来の学級、部活動、サークル、いずれにおいても必ず自然と各構成員の役割分担が定まっていったと感じる。そうした意味で人間が互いに色を塗り、また塗られた色を自覚していくことは不可避的なプロセスなのかもしれない。オッペンハイマーもガンジーもタゴールもバガヴァッド・ギーターの解釈は違えど、それぞれの置かれた社会的地位に基づく責任を果たそうとしたのではないか。核兵器の開発者、作家、あるいは弁護士にして運動家というヴァルナを背負った者としての義務を認識していたのではないかと感じた次第だ。

NANA0524    reply

インドにヴァルナ制という身分制度があることは知っていましたが、それが今回の「色」の講義で重要な役割を占めたことは予想外でした。ヴァルナ制は征服民の文化が非征服民の文化の上に重なったもので、外部の者が一概に悪いと言うことはできないという視点も私にとって新鮮なものでした。アーリヤ人の侵入がなければ今のインドの文化は存在せず、同じように侵入・征服によって築かれてきた人間の歴史を後世の者が否定することもできないために身分・差別問題が複雑になるのだと思いました。楽しい講義であるだけでなく、自分の考えや教養も深まるような内容で、大変勉強になりました。

SAYA    reply

講義を受ける前は、古代インド社会と色の関係性について全く想像ができなかった。インド・ヨーロッパ語族に分類されるサンスクリット語やラテン語が関係性を持つことは知っていたが、講義の中でその分岐の流れや、現在まで残る明らかな類似点に驚いた。そして、サンスクリット語での「ヴァルナ(varna)」。カースト制と色にそのような意味があるのだと知った。今回の講義は、今まで知っていたものと知らなかったもののつながりや、知っているつもりだったけど、本当はきちんと知れていなかったものの事実を垣間見ることができ、とてもためになりました。

takuno919    reply

冒頭の言語の一致が非常に興味深かった。特に、ダーナ(サンスクリット語)、doner(英語)、旦那(日本語) の語源が同じだということに衝撃を受けた。100人の王子と5王子の話や、インドでは自国のことをバーラタと呼ぶことを学べて勉強になった。また、バガヴァッド・ギーターの「戦え!」というメッセージには多少の疑問を抱きつつも、現代人にも共感できる面があった。

marina00204    reply

普段私たちをとりまく色なのに、今回の講義で全く違う認識を持つことができました。特に古代インドとの関係について学び、ヴァルナに基づく義務の観念など、非常に興味深かったです。色についてだけでなく、インドにおける文化だったり考え方を知ることもできて勉強になりました。
また次回楽しみにしています。

かずひこPN09    reply

ヴァルナの一つ、バラモンによって作成されたヴェーダが、農耕社会における時間意識の共有に必要な祭祀と密接に関わり、近代におけるイギリス支配からの脱却を説いたガンディーにも重大な影響を与えていたという、壮大な時間的スケールを持つ「色」のちからに感動した。

浩行yh21    reply

今日は色即是空を題材として仏教やジャイナ教のものの考え方や、その違いについて深く探る講義だった。両者とも高校のとき倫理の授業で聞いたことあるかなという程度の認識だったが、空とアートマンの対比は興味深かった。今まで余り海外には関心が無かったが、最後の先生のインド旅行の話を聞いて、他文化の価値観に触れることは自分の世界を広げることに繋がると感じ、時間があれば経験してみたいと思った。

HAL9000    reply

色彩に対する美的センスを養いたくてこの「色」という講義を受けた結果、予想外の方向で予想以上のものを得ることが出来た。今まで日本や西洋の哲学にはかなり関心を持っていたが、古代インドの思想は西洋に侵された僕の脳みそにとっては奇想天外な発想の連続で、凝り固まった思考が徐々にほぐれていくのを感じた。講義全体としてもゲストの方が自らの専門分野を実に楽しそうに語られる姿は僕の夢描いていた講義像で、東京大学に入って遂に理想の講義に出会えたことに深く感動した。これからも様々なゲストの方のお話を聞いて、「色」というテーマを主軸に様々な分野に関する知見を広げていきたいと思う。

あのにますqwerty    reply

サンスクリット語を第3外国語で取った友人がいたが、この講義を受ける前まで何が面白いのか、取る動機は何なのか、理解できなかった。しかし、この二回の講義でサンスクリット語は予想をはるかに超えて興味深いものだとわかった。特に、ナマステと南無阿弥陀仏の言語的関係には感動さえした。

授業の最後の、神々の交わりや欲望経の小話が強く印象に残った。インドの「色」欲の世界も垣間見ることができた。「インドのジェンダー論」という講義があれば、とても面白いと思うのだが……。

ヨシyoshi4    reply

十二処に含まれている「色」という言葉は、現在我々が使う色とは範囲は違うというのは面白かった。また、インドで初めにゼロの概念が発生したのは、インドで主流だった大乗仏教が「空」の概念を重視していたということと深い関係がある、という話は、宗教と学問のつながりを感じることのできる話だったので、とても興味深かった。その「空」の概念も、例えばある言葉は、他のものがあって初めて意味をなす、というように、我々の考える「空」とは異なる考え方である点も面白く、古代インドに興味を持つきっかけとなる講義だった。

ちびまる1412    reply

ヴェーダ・バラモン中心の社会に対抗する仏教という形を(おそらくごく一部ながら)知ることができて面白かった。アートマンがあるかどうかによる対立はもっと知りたいと思った。本筋ではないがジャイナ教のことが聞けたのも楽しかった。
先生が時折挟む西洋の思想家の紹介などを聞き、2回の講義を通して私が学んだことは、多くの人が「哲学」と聞くと西洋哲学を思い浮かべるが、実はそこにはインドの哲学が流入している場合があったりするので(おそらく逆もあるだろうし他の地域でも発生しているだろう)、特定の地域や時代に限らず幅広く思想を学ぶべきだ、ということだ。

ユウキa525    reply

 前回の講義により『バガヴァッド・ギーター』に興味を持ち、日本語訳を購入し読み始めました。己のヴァルナ(色)に従って与えられた役割を果たすことを説く、決断の書としての力強さを感じる中行われた今回の講義は、この様な考えから離れた、仏教の視点からの色についての講義でした。今回驚いたのは、色即是空の捉え方についてです。これまでこの言葉は色と言うものが全く存在しないという事を説いたものとばかり思ってきたのですが、あくまで色の‘本質’が空であると言う意味を持つのだと初めて知りました。
 2回にわたる講義は、インドの思想が西洋に与えた影響や、サンスクリット語とヨーロッパの諸言語や日本語とのつながりなど、様々な気付きにあふれたもので、いつまで聞いていても飽きない濃い内容でした。そして先生の体験談なども交えながら語られたインドのダイナミックさ、多様な考え(ジャイナ教や『カーマ・スートラ』に見られる欲望の肯定まで)を持つ人々が蠢くエネルギーに心打たれ、いつかインドに足を運びたいと思いました。
 今後何かしら創作をする際には、是非『マハーバーラタ』のような豪快さを取り入れていきたいと思います。

aruku238    reply

私は絵画などに美術的な色彩としての【色】に以前から興味があり、この講座を聴講しました。シラバスにも述べられている通り、この講座はその色彩としての色だけでなく、多角的に掘り下げていくもので、第1回はまさにこの例でした。インド社会の【色】をきっかけとしてその社会の内部を提示する講義の展開はもちろん、その内容とインドの物語がユニークでおもしろかったです。上記の以前から興味を持っていた色彩としての色の講義はもちろん、この講座においてあまり積極的に得ようとしてこなかった知識に出会えることが楽しみになりました。また、先生の講義をうけて、語学の勉強にもう少し努力しようと思えました。

iroww55    reply

色に関してというよりインドの伝統的社会観に関する講義だったが学ぶことは多かった。インドに滞在した経験があっても表面的なことしか分からず、色即是空のような強い宗教色のある背景は理解できないので良い機会だった。

SAYA83    reply

前回の古代インドと色の関係について面白いお話を聞かせていただいて、今回もとても楽しみにしていました。私はあまり仏教用語や古代インドなどの知識がなかったので、先生の話は私にとって新しいことばかりでした。仏教の色々なものの捉え方や、般若心経の意味などの話が面白かったです。今後の講義でも、様々な視点から「色」について聞けることを楽しみにしています。

屋宜 美佳子    reply

最近ニーチェの「アンチ・キリスト」の解説書を読んでニーチェが仏教を賞賛していたことを知ったのだが、確かに仏教は先進的かつ成熟した宗教だと思った。義務よりも倫理の方が理想的だと思うし、社会契約論との類似性や創生神話の反転には驚いた。ハイデガーよりもインド仏教を研究した方が心が落ち着くのも納得である。ヒンドゥー教社会でのヴァルナ制におけるカーストが限定的ながら移動できるのにも驚いた。イメージが変わった。
 rupaは東洋思想の象徴だと思ったし、「意識」が仏教に関わりが深い言葉だと知って仏教の東洋への影響の大きさを感じた。
 先生は難しそうな仏教用語の説明も上手く、話がとても面白かった。後期課程に進学したらこの方の授業を聴講したいほどである。

S1N1O2W3    reply

この講義全体を貫く「色」というものについての価値観をすべて引っ繰り返されたのが印象的だった。私たちが普段用いるcolorという意味から大きく拡大し、肉体を含めた視覚できる/できないもの一般にまでその概念が及ぶものであり、さらにはヴァルナとも関連するというのは全く知らないことだったし、興味深いと思った。大乗仏教における「色即是空」の意味するところ、すべてのものに本質はないという言葉の真の意味を理解することは私にはまだできないが、「色」という至って普遍的なテーマを始点として、時間的空間的隔たりを置く、古代インドへ、そして仏教世界にまで議論を展開することができるのかと、とても面白かった。

オグ666A    reply

2回目の授業も色とはほとんど関係ありませんでしたが、こんな機会がなければ一生知ることができなかったであろうインド哲学についての見聞が広がりよかったです。

dar168    reply

予備知識としては、ヴァルナについて少し耳にしたことがある程度だった。身分制度は悪いものでしかないと思っていたが、講義の中で、それらの持つ違った意味合いを知ることができた。
ヴァルナに対する仏教の考えについて、現代でのそれの引用の中にある矛盾を軽快に批判されていたのが印象的だった。
自分も輪廻の中にいるのだと思い、解脱してイン晢に行くのも面白そうだと思った。

わかなwk29    reply

第2回目の色即是空論は第1回の講義より抽象的で難しい印象を受けた。
大乗仏教における「色即是空」=「見えるもの、見えないものを含めた色形には本質がない」という考えに対して行なわれた議論についての話が面白かった。また馬場先生のインドに関しての自身の体験に基づいたお話も興味深いものだった。

matii29    reply

インドや仏教の哲学的な話はややこしくて難しいというイメージでしたが、わかりやすくかみ砕いて話してくれたので楽しめました。東大生を再生族に例えた話など面白かったです。
色即是空の意味はわかったようなわからなかったような感じです。アンニャホーパと似たような考えとしてソシュールの話が出てきましたが、ちょうど少し前に記号論で言語学について聞いていたのでより理解することができました。
理系であるし哲学にもあまり興味がないので教養的な話を聞ける良い機会とでした。

ひろきju25    reply

第一回の授業は出席しておらず、今回が初めてでしたが、他の方がコメントで言っているように、良い意味で期待を裏切られたという感じです。私は高校で世界史を詳しくやっておらず、初めて聞く話ばかりで大変ためになりました。仏教の『空』という概念はいままであまり理解できていなかったのですが、講義を聞いてそういうことかと納得しました。

小三元4vj8u5    reply

 前回の講義では、「色」という概念に対応するサンスクリット語の単語の一つである「ヴァルナ」を取り上げ、ウパニシャッド以前のヴェーダ時代における社会制度の形成とヴァルナの関連を見た。今回は、そうした既存の制度への批判を軸にして成長した仏教がどのようにヴァルナを捉えたのか、そしてその代わりに「色」を表すものとして推し出されていった「ルーパ」という言葉は宗教的にどう理解されていったのかを紹介していただいた。
 仏教では、生まれながらに定まったものとしての身分をはっきりと否定し、修行によって万人が悟りに到り得ると説くのだという。そして現状、身分が存在しているのは、ただ共同体としての利益を守るためにすぎない、とする。人間は初め天使のように光り輝く存在であったのに、欲に触れることによって汚れ始め、寿命も制限されてきた。危機感を覚えた人間は大衆に選ばれた者としての王、マハーサンマタを定めたのだというのだ。五戒は将来起こりうる破滅的な戦争から生き残った一握りの人類が抱くであろう当然の教えである。
 これには勿論、宗教者たちの思想、信条や倫理観も反映されているのだろうが、発想の元となる社会的背景も存在することを説明していただいたのは興味深かった。曰く、アーリヤ人たちのガンジス川への勢力拡大が社会階層の流動化をもたらし、新たに財を得て強大化する王や商人を生み、同時に固定的なヴァルナの身分制を不要とした、というのだ。確かに万人の平等やら五戒やらは今では当然であり、なおかつ無条件に道徳的な発想のように見えるが、こうした思想が支配的に受け入れられるためには一定の社会的コンテクストを要するのだと気付かされた。と同時に、そうしたコンテクストがある程度揃えば、洋の東西を問わず部分的にでも似た発想が現れ得ることも知った。というのも、先生のご指摘の通り、この仏教的権力感は社会契約論的であるからだ。
 「ルーパ」について見てみよう。ルーパは目で見たもの、ひいては見えないものも含めてのこの世の物質全般を指す言葉であり、草創期から仏教的世界を認識の面から形作る六処にも、本質の面から捉える五蘊にも構成要素として数えられる大切な概念であるという。しかし仏教の登場から5世紀余りを経て現れた大乗仏教の根本テキストの一つ般若心経では、色即是空空即是色とある通り、こうした六処にも五蘊にも本質はないと説かれる。この世界には本質はない、と説いた上で輪廻からの解脱を勧めようというのだろうか、まだ完全にその説くところを理解したわけではない。しかし、色即是空の教えをめぐる仏教者の議論がのちのソシュール的言語学の発想に近いという指摘は非常に興味深く、またその通りだと感じた。東洋と西洋の哲学は互いに独立して成長してきたと思いがちな我々の発想は誤りで、世界各地の思想史上繰り広げられた戦いから敏感に示唆を汲み取ることによって新たな学問を拓くヒントを得られるということがはっきりわかる例であった。寧ろ幅広い教養を身につけ頭を柔らかくすることこそが学問の王道なのかもしれない。

yone36    reply

「色即是空」の空の意味がソシュールのいう分節と同じように説明できる(しかもソシュールのアイデア自体が仏教由来かもしれない)ということに驚きました。
ルーパに対応する中国語や日本語がないことも分節の仕方が文化によって異なることの実例として面白いと思いましたが、ルーパという概念がなぜ(狭義の「色」が必ずしも中心的な意味でなかったかもしれないのに)「色」と訳されたのか不思議に思いました。

paripi48    reply

インドの概念の根本にある考え方が深く理解できる興味深い授業でした。宗教が現存する宗教及びその概念を否定して生まれてくることは聞き及んでいましたが、仏教についてそのきっかけが移動性の高まりによる身分制の崩壊であったことは初耳でした。主鏡誕生のきっかけは知っておきたいと感じました。テーマである『色』と私のあまり知らないインドとの絡みのある講義は大変意義深かったです。

ren62M    reply

色即是空の、他を排除することでモノを定義する、という考え方は高校の時にソシュールの言語論を学校で教えてもらっていたので理解しやすかったです。講義を受ける前はカラーの話をするのだと思っていたので、話が哲学的な方向に進んでいったのは少し戸惑いましたが興味を持って聞くことができました。講義終盤の、教授が体験したインドの話はとても面白かったです。インドに行ってみたいなと少し思うようになりました。

ren    reply

仏教における色の概念が、ヴァルナ制の批判から始まっているということ、その概念は今よりも広い範囲を指すものであったこと、また大乗仏教には色は空であるという色即是空の考え方があったことを知った。仏教、特に大乗仏教の考え方は日本にも大きな影響を与えているものなので、非常に興味深かった。
色即是空の教えは理解しがたいものであったが、仏教の輪廻の考え方が反映されていると知って、少し理解できたような気がした。輪廻からの解脱を試みるうえでは、世の中のすべての苦しみは自らの認識によるものであり、そこに本質はないと見抜くことが不可欠であるようだ。
この空の概念が、インドにおける0の誕生にも関係しているというのは非常に面白かった。

color81    reply

 前回の講義でも触れられた古代インドの神話やヴァルナに基づく考え方に関する内容だけでなく、仏教の視点から見たそれらへの批判も講義され、あまり身近ではない宗教的、哲学的価値観を多面的に学ぶことができた。私は、仏教の十二処の考え方では、人間の認識の場所として五感に対応した部位だけでなく、「意」も含めることが印象に残ったのだが、「意識」という言葉もこの考え方から生まれたものである、という説明には驚かされた。また、以前、般若心経の入門書を読んだ際に印象に残っていた「羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶」という言葉の意味を知れたことも、私にとって大きな収穫になった。
 しかしながら、最後の質疑応答の時間は必要ないように感じた。今回の講義内容は特に、馴染みが薄いもので、話についていくのがやっとだった人も多かったと思うし、質問が積極的に出ず、授業時間が超過したのも当然だと思う。個人的な意見だが、今回のように最後に時間を設けて質問が出るのを待つ、というやり方ではなく、少し早めに講義を切り上げ、質問や意見がある人は講義後に直接先生のもとに尋ねに行く形式の方が、質問がある人にとっても、特にない人にとっても良いのではないかと感じた。

うどtyd41a    reply

ヒンドゥー教と仏教の関係について、想像以上に仏教側がヒンドゥー教側を強く皮肉っていたことが文献からも分かりました。(また、ヒンドゥー教の補足の際に出てきた再生族の内容も面白いものでした。)後半の色即是空の話の中で出てきた、「五蘊」の分け方が興味深かったです。

やまふじTF92    reply

前回の古代インド社会の話から引き続き、今回は仏教の世界の色即是空についてのお話を聞けた。様々な雑学を交えながら、仏教の世界の「空」について強調してお話をしてくださり、とても楽しい授業時間になった。最後の質疑応答の時間では、先生自身のインドでの体験も聞けた。前回の話とも合わせて、インドがどのような場所なのか、ますます興味深くなった。もし今度、先生がお話しされる機会があれば、積極的に参加させていただきたいと思う。

mirai63dc    reply

色即是空、空即是色という言葉は耳慣れた言葉だが、実はその後にも続きがあり、色受想行識という五つが並列されていることは知らなかった。その思想を今回の講義だけで十分に理解できたとは思えないが、大変興味深い講義だった。この言葉に出てくる「色」の概念を理解するためには十二処や五蘊といった仏教における「色」の捉えられ方をまず理解している必要があることが講義全体から伝わり、研究の奥深さが垣間見えた。

taka0904    reply

「色」と聞いて人間の色の見え方に関する授業だとおもっていたらインド哲学から見る色の授業で驚かされた。理系なので話についていくのはかなり難しいが、ユーモアのある先生の話に引き込まれて105分があっという間だった。
ただテーマの色の部分がやや希薄な気がした。教養がなく理解できていないだけかもしれないが。

u2ae4w    reply

般若心経の説く「色即是空」について、「本質に関して空である」を文章として読むことは出来ても、それをイメージすることが難しかったが、「極微」という考え方を聞いて少し理解できた気がした。
目に見える物質的なもの(「色」)は、突き詰めると元の性質を持たない「極微」から成るため、確固たるものではなく、これを指して「本質に関して空である」と説いているのだろうか。
同じく「受」、「想」、「行」、「識」についても、突き詰めると元の性質を持たない部分から成る確固たらないもので、よって「本質に関して空である」のだろうか。
自分が理解できているのか不安になるが、少しは考え方に親しめた気がした。

ゆ3y26    reply

馬場先生の二回目の講義では、前回の講義にあった区別としての”色”から、認識のある場所、視覚的なものとしての”色”の概念が登場し、とても興味深かった。アーリア人がガンジス川の方へ生活範囲を拡大し、商業活動が発展していくと、人の移動が高まり、結果としてそれまでの狭い範囲での区別であったヴァルナが意味を為さなくなり、仏教が台頭してくるという時代の流れが「色」という一単語に反映されているように思う。音にすればたった二音、漢字ではたった一文字の言葉ではあるが、この言葉がもつ背景は紀元前から続く果てしないものであるなと感じた。

Chikaka05    reply

今回も引き続きヴァルナの話もしていただきましたが、上位3階級の中のさらに狭い中に入るにはヴェーダの学習などが必要になることを初めて知りました。そのことを「再生」と呼ぶのも面白いと感じました。また、農耕をきっかけにどんどん発展し、国家となったと聞き、農耕がインドに与えた影響の大きさを改めて感じました。
仏教のヴァルナ批判では「生まれは関係なく、為すべきことを成し遂げた者が最高のものである」としていましたが、その通りだなと納得しました。また「色」=rupaが広い意味でvisibleなもの全般を指すとおっしゃっており、色の意味の深さを感じました。

マイmk01    reply

仏教の考え方とヴァルナに基づく考え方の違いを知れて面白かったです。特に仏教における「空」の概念は興味深かったです。「空である」ということについて「牛に対応する実体は存在せず、あくまでその他の概念を排除することで牛という概念を定義している」という話は、自分の中で納得して消化できたわけではないけれど、そういう考え方を知ることができたのは良かったです。また、般若心経については少し触れられただけでしたが、とても興味深かったので一度読んでみようと思いました。

motoaki308    reply

仏教に根付く十二処五蘊という概念を新たに知ることができた。そしてそのなかでも特に色という概念に関しては十二処にも五蘊にも含まれていることから、特に大きな役割を果たしていることが見てとれた。ヴァルナの再生族か否かという違いや、前回の業(カルマ)の話を総合すると、輪廻転生という考え方は根強いのだなぁと思ったが、その一方で「シュードラは死後どうなるの?」といった疑問も新たに生じた。探求心をくすぐられる楽しい講義だった。

tak15    reply

大乗仏教における「色」の認識は現代における「色」の認識とはかなり異なっていることが分かった。「色即是空」という単語自体はしばしば耳にするが、それが本来どのような意味を持っていたのかを今回の講義で初めて知ることができた。個人的には、上座部仏教における「色」の認識と大乗仏教における「色」の認識の違いの有無、また違いがあるならなぜそれが生じたのかについても知りたいと思った。

ryu35    reply

古代インドにおける「色」についての講義ということで、ヴァルナ=身分制(カースト)=色の図式の他、関連する様々な話をしていただいた。
そもそも身分制というものに馴染みがない私には色と身分制が結びつくという発想が中々新鮮だった。視覚が認識する「色」は同じはずなのに、文化・時代・思想の違いで「色」の内包する意味が異なってくるというのが面白い。

ust91    reply

「色」にあたる語を起点として、古代インドについて様々な角度から知ることができた。インドについては普段あまり触れる機会がなく、非常に興味深く感じた。インドと一口に言っても、古代インドや仏教、ジャイナ教など様々な宗教、文化にわたっており、インドの文化の幅広さを知ることができた。日本やヨーロッパあたりの文化とはまた違った考え方をする文化で、とても古いものであるにもかかわらず、現代の文化を先取っている部分も多いと感じた。

トシ2t2k    reply

「色」、そして受想行識は全て本質に関して空であると説く般若心経は、興味深いものでした。色即是空という言葉は聞いたことがあっても、「色」とは何なのか、何を伝える言葉なのかは知らなかったので、勉強になりました。しかし「色即是空」の考え方はかなり突飛なものに聞こえるのに、人々に受け入れられ今に至るまで読み続けられるのは、私にとっては少し不思議に思えます。

gosh120    reply

前回の講義で取り上げられていた「ヴァルナ」と身分制度との関係性に加え、ヴァルナよりも広い意味を持つ"rupa"としての色についての説明を拝聴することができ、現代における「色」という概念とは明確に異なる切り口に刺激を受けた。ただ、講義のメインの内容は仏教の在りようの解説であり、前提知識があればもっと楽しく聞けるのだろうな、という感が強かった。

bananana77    reply

色を色即是空から捉えるというのがそもそも新鮮だった。色の字が音から当て字として扱われたのか、現代日本の色と語源が同じなのかによっても解釈は変わると思うが、個人的に般若心経を読み解くことができて面白かった。教養らしさというものを感じた。

MIKAKO0311    reply

最近ニーチェの「アンチ・キリスト」の解説書を読んでニーチェが仏教を賞賛していたことを知ったのだが、確かに仏教は先進的かつ成熟した宗教だと思った。義務よりも倫理の方が理想的だと思うし、社会契約論との類似性や創生神話の反転には驚いた。ハイデガーよりもインド仏教を研究した方が心が落ち着くのも納得である。ヒンドゥー教社会でのヴァルナ制におけるカーストが限定的ながら移動できるのにも驚いた。イメージが変わった。
 rupaは東洋思想の象徴だと思ったし、「意識」が仏教に関わりが深い言葉だと知って仏教の東洋への影響の大きさを感じた。
 先生は難しそうな仏教用語の説明も上手く、話がとても面白かった。後期課程に進学したらこの方の授業を聴講したいほどである。

takuno919    reply

ジャイナ教について今まであまり知らなかったが、インドには600万人もの信者がいることに驚いた。飢餓で死ぬのが望ましいという教えに衝撃を受けた。2回お講義を通してインドの色「ヴァルナ」について深く学び、教養を深めることができた。

fuj36    reply

日本語の「色」に対応する「ヴァルナ」がこんなにも広い意味を持ち合わせていたのだと驚いた。色というテーマから言語、宗教の話題までつなげることができることに、高揚感を持って講義を受けていた。もともとは赤、青などのcolorとしての色に興味を持ち取ろうと思った講義だったが、世界の神話がこんなにも面白いこと、宗教間の考え方の違いや仏教の五蘊との対応など新しい世界の広がりを感じることができた。1回目の講義後、かつてガンジーらがそうしたように、自分は学生としてどのような義務があるだろうかと考えることが何度かあった。思いとどまっていることがあったとき、不思議と背中を押してくれるものだ。想像していた「色」とは違ったが、自分の知見を広げることができる、大変意義のある時間を過ごせた今一度、馬場先生に感謝したい。。

marina00204    reply

仏教は私にとって身近な宗教であったのにもかかわらず、色即是空という教理があることを知らなかった。色は、普段は単なる色彩を表すのに、この授業で色は宇宙に存在するすべての形ある物質や現象を意味しうることを知り新鮮で勉強になった。また、おもったよりも歴史よりの講義であったために意外であった。

fujiTK48    reply

前回の講義で扱った「ヴァルナ」が仏教によって否定され、新たに「ルーパ」が生まれる過程を解説する本講義では、我々の生活にも親しい般若心経の「色即是空」を理解することに主眼が置かれた。「色」が何を意味するのか、またそれはヴァルナとどのように異なっているのかという議論から始め、最終的には言語学者ソシュールとの関連も示しながら「空」の概念を解きほぐして示すという今回の試みは、わずか105分間の講義という制約のもとで、大いに成功したのではないかと思う。

もぎー5696    reply

古代インドの「色」の概念に触れてみると、美意識や道徳規範において、視覚、色覚があまりいいものとされていないことがわかった。実際に表面は取り繕うことは事実なので、それを基準に物事を決定するのも確かに矛盾があるのも理解できる。物事の新たな見方を知れた授業だった。

hakka23    reply

仏教と色にまつわる話から発展し、様々なお話をしていただきました。高校時代勉強しているときは、大乗仏教では「色即是空」を説いていて、「本質は空である」という意味なのだ、と覚えるので精一杯でした。今回のお話を聞いて、「色」というものが仏教においてどのような意味をもつのかを知り、その意味合いを改めて理解し直すことができ、とても興味深く感じました。授業の最後にしていただいたインドでの経験談もとても楽しく聞かせていただきました。ありがとうございました。

ちぇる115M    reply

前回の講義に引き続き私たちが一般的に色と聞いて想像するものと異なった観点からのお話でとても興味深かったです。
色即是空、言葉の意味は高校の授業などでなんとなく習ってはいましたが、今回仏教における「色」の概念についてより理解を深めることができました。
所々で先生が挟むインドでのお話もたいへん面白く、インドへ行ってみたいと強く思いました。
ありがとうございました。

rik0916    reply

「色」という言葉から想像していたものからは大きく離れた内容だった。
あまりそういう歴史などの予備知識がなかったため初めて聞く言葉もあったが、「ヴァルナ」が本来「色」を意味しておりそこに身分制度が由来しているというのはとても興味深く、自分にはなかった発想だった。
大乗仏教における「色即是空」=「色形には本質がない」というのは哲学ではよくある話のような気もしたが、「色」(と「空」)という概念についての自分の認識が変わった。

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