プレ講演
変容(metamorphôsis)
概要
何かが形を変え、姿を変えて現れるということ、いわゆる「変容 metamorphôsis」の現象にたいして、我々はいつも恐れと憧れの綯い交ぜになった感情を抱いてきた。
そもそもあるものが一つのかたち(morphê)をとるということは、それが流動的であることをやめ、安定し、把握可能になるということを意味すると同時に、それが固まり、柔軟性を失って、限界あるものとなるということをも意味している。それゆえ「変容」は、我々が世界に対して持っている確かなつながりを揺るがすものとして、時に我々を不安に、さらには絶望に陥れるものである一方で、一つの形がもつ限界を乗り越え、行き詰まりを打破することを可能にするも のとして我々の密かな欲望を掻き立ててきた。破滅と踵を接した野放図な力の発露としての「変容」が我々に及ぼしてきた魅力を示す事例は、オヴィディウスの 『変身物語』から現代の変身・合体ロボットアニメまで枚挙に暇がない。さらにこうした「作品」が展開する世界の外に眼を転じてみても、生物の変態、脳の可塑性、政体の変革(革命)、あるいはまた民俗学や精神医学で報告される憑依や解離、性転換、ウェッブ上のアバターなど、我々を魅惑して止まない「変容」の 具体的事例の数々をみとめることができる。この授業では、こうしたさまざまなトポスにおいて「変容」とその引き起こす波紋について考える。
日時
2011年12月22日(木) 18:15~20:00 (途中休憩あり)
会場
東京大学駒場キャンパス情報教育棟4階 遠隔講義室
講演者
河合 祥一郎(表象文化論) 「シェイクスピアと変容」
谷川 智洋(情報理工) 「変身と変容」
司会
刈間 文俊(表象文化論・中国映画)
本講演は、2012年3月に南京大学で行われる東京大学集中講義「変容(metamorphôsis)」と連携しています。テレビ会議システムによって南京大学へ中継し、東京大と南京大で同時開催します。3月の集中講義の中から、核となる文理2つのトピックスについて「変容(metamorphôsis)」を論じ、日中の学生の皆さんに共に考え、議論してもらいます。
講演参加・レポート(詳細未定)により、3月の集中講義への3~4年生及び大学院生の派遣者を選抜します。聴講のみのご参加も歓迎いたします。また、1~2年生の選抜は既に終了しております。単位登録をしている1~2年生も必ず出席の上、レポートを提出して下さい。
レポートの提出方法に関しては後程詳細をアップ致します。
講演参加・レポート(詳細未定)により、3月の集中講義への3~4年生及び大学院生の派遣者を選抜します。聴講のみのご参加も歓迎いたします。また、1~2年生の選抜は既に終了しております。単位登録をしている1~2年生も必ず出席の上、レポートを提出して下さい。
レポートの提出方法に関しては後程詳細をアップ致します。