ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

学術フロンティア講義
【Aセメスター】
2012年度「変容」(metamorphôsis)

2014.Jun.02

概要

何かが形を変え、姿を変えて現れるということ、いわゆる「変容 metamorphôsis」の現象にたいして、我々はいつも恐れと憧れの綯い交ぜになった感情を抱いてきた。

そもそもあるものが一つのかたち(morphê)をとるということは、それが流動的であることをやめ、安定し、把握可能になるということを意味すると同時 に、それが固まり、柔軟性を失って、限界あるものとなるということをも意味している。それゆえ「変容」は、我々が世界に対して持っている確かなつながりを 揺るがすものとして、時に我々を不安に、さらには絶望に陥れるものである一方で、一つの形がもつ限界を乗り越え、行き詰まりを打破することを可能にするも のとして我々の密かな欲望を掻き立ててきた。破滅と踵を接した野放図な力の発露としての「変容」が我々に及ぼしてきた魅力を示す事例は、オヴィディウスの 『変身物語』から現代の変身・合体ロボットアニメまで枚挙に暇がない。さらにこうした「作品」が展開する世界の外に眼を転じてみても、生物の変態、脳の可 塑性、政体の変革(革命)、あるいはまた民俗学や精神医学で報告される憑依や解離、性転換、ウェッブ上のアバターなど、我々を魅惑して止まない「変容」の 具体的事例の数々をみとめることができる。この授業では、こうしたさまざまなトポスにおいて「変容」とその引き起こす波紋について考える。

東京大学2012年度前期課程冬学期に開講するテーマ講義です。

日時:水曜5限(10月10日~1月16日)
場所:東京大学駒場キャンパス 情報教育棟4階 遠隔講義室
科目コード:20610

最終レポート課題についてはこちらをご覧ください。

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