ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

南京大学集中講義
(南京大学生対象)
2012年度「変容」(metamorphôsis)

2014.Jun.02

概要

何かが形を変え、姿を変えて現れるということ、いわゆる「変容 metamorphôsis」の現象にたいして、我々はいつも恐れと憧れの綯い交ぜになった感情を抱いてきた。

そもそもあるものが一つのかたち(morphê)をとるということは、それが流動的であることをやめ、安定し、把握可能になるということを意味すると同時に、それが固まり、柔軟性を失って、限界あるものとなるということをも意味している。それゆえ「変容」は、我々が世界に対して持っている確かなつながりを揺るがすものとして、時に我々を不安に、さらには絶望に陥れるものである一方で、一つの形がもつ限界を乗り越え、行き詰まりを打破することを可能にするものとして我々の密かな欲望を掻き立ててきた。破滅と踵を接した野放図な力の発露としての「変容」が我々に及ぼしてきた魅力を示す事例は、オヴィディウスの『変身物語』から現代の変身・合体ロボットアニメまで枚挙に暇がない。さらにこうした「作品」が展開する世界の外に眼を転じてみても、生物の変態、脳の可塑性、政体の変革(革命)、あるいはまた民俗学や精神医学で報告される憑依や解離、性転換、ウェッブ上のアバターなど、我々を魅惑して止まない「変容」の具体的事例の数々をみとめることができる。この授業では、こうしたさまざまなトポスにおいて「変容」とその引き起こす波紋について考える。

日程表
2/26 27 28 29 3/1 2 3
  藤原 晴彦
4 5 6 7 8 9 10
渡邊 雄一郎 原 和之
11 12 13 14 15 16 17
伊藤 徳也 清水 晶子
18 19 20 21 22 23 24
酒井 邦嘉 渡邉 正男 高橋 英海
刈間 文俊  

※ 学生派遣は第2週(3/4~3/11)及び第3週(3/11~3/18)に行う。

【注意】この授業は、開講日の都合上成績が進級・進学要件に反映されないことがあるので、履修にあたっては十分に注意すること。

海外の大学で駒場の授業をともに受講し、それをテーマに討論を行う新しい体験ゼミナールです。開講されるのは、文理融合のテーマ講義「変容」、東大の教員によるオムニバス形式の集中講義として、2012年3月に中国の南京大学で開講されます。履修者は、この集中講義に1週間参加し、南京大生と一緒に午前中は講義、午後は討論というハードな交流プログラムに参加します。履修者は、派遣前に駒場キャンパスで開かれるプレ講演に参加し、南京大にもインターネット中継される同講演で、南京大生との討論を行います。
この授業を実施するリベラルアーツ・プログラム(LAP)は、リベラルアーツを海外に発信する教育プログラムとして、2010年に「身体論」集中講義、2011年に「記憶と記録」集中講義を南京大学で開講し、学生派遣を行ってきました。今学期からいよいよ正規科目として開講されます。詳細は、これまでの交流紹介を含め、LAPホームページを参照して下さい。
履修希望者は、必ずガイダンスに出席して下さい。

*受講人数:12名に制限する
*ガイダンスは10月13日(木)6限に101教室で行う
*開講場所:プレ講演は駒場、集中講義は南京大学
*開講期間:プレ講演は2011年12月1日(木)と12月22日(木)6限、集中講義は2012年3月5日~16日に、2班に分けて1週間ずつ派遣する予定
*参加費用:旅費及び滞在費には補助があるが、負担額等を含む南京大学での集中講義の概要についてはガイダンスで説明する。


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