ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第4回 03月13日 森元庸介

ひとはなかなかアット・ホームでいられない

日本の文人である室生犀星に「ふるさとは遠きにありて思ふもの」で始まる名高い詩があります。けれども、これを歌ったとき、犀星は自身のふるさとである金沢に帰省している最中でした。ふるさとはふるさとにあってなお遠いもの、いや、ふるさとにあればこそなお遠いものなのかもしれません。この授業ではふるさとの本質的な遠さということをめぐって、近代を画する「移動」の全面化ということの意味に触れつつ、その思想史的な根を聖書の一節「わたくしたちの故郷は天国にあります」をつうじて垣間見ることを試みます。その際、理論的な背景として念頭に置くのはフロイトの「不気味なもの」の概念です。

講師紹介

森元庸介
1976年生。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。パリ西大学博士(哲学)。東京大学院総合文化研究科超域文化科学専攻准教授。思想史。共編著に『カタストロフからの哲学』(以文社、2015)。訳書にピエール・ルジャンドル『西洋をエンジン・テストする』(以文社、2013)、ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『ニンファ・モデルナ』(平凡社、2013)、ジャン=ピエール・デュピュイ『経済の未来』(以文社、2013)、ジャン=クロード・レーベンシュテイン『猫の音楽』(勁草書房、2014)など。

コメントする

 
他の授業をみる

Loading...