ディシプリン(学問領域)に
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第5回 10月26日 村岡ゆかり

5(10/26)彩色材料と模写技法(1)

「やまと絵」「和画」などと呼ばれてきた日本の伝統的な絵画、その起源は、5世紀頃の中国や朝鮮半島との交流によってもたらされた技術や美術品であると考えられている。その後日本独自の発展を続け、今では多くの絵画作品が遺されている。ここで使用されてきた彩色材料は、主に天然の素材から作られたものであり、現在のチューブに入った絵具とは材質も使用方法も異なるものである。日本の絵師たちは、彩色材料を巧みに使い、様々な技法を生み出し、確立していった。
しかしこれらの技法は、工房内や弟子などの絵師間での秘伝・口伝として一般に伝わることはなく、16世紀頃から数名の絵師によって書かれた技法書がわずかな手掛かりとして現代に残っているだけとなった。
古典絵画を精密に写す行為の一つとして、「模写」がある。模写は、原本資料の保存に一役を担っているだけでなく、日本古来より伝わる失われた技法を取り戻し、継承する行為としての意味もある。原本の制作過程を体現しながら行う模写は、彩色方法だけでなく、彩色材料を探ることも必要な工程の一つである。模写の技法を知ることで、日本の伝統的な絵画の彩色材料を理解し、考察することができるだろう。
講師紹介

村岡ゆかり
東京芸術大学大学院美術研究科保存修復技術専攻修士課程修了。東京大学史料編纂所史料保存技術室に所属。古典絵画を精密に写す模写の専門家。
授業風景

村岡ゆかり先生は、史料編纂所史料保存技術室に勤務なさっている模写の専門家です。本講義では、30万点にも及ぶ歴史史料の収集・保存を行っている史料編纂所について説明いただきながら、村岡先生のご専門である日本の古典絵画の模写についてご紹介いただきました。現在の絵の具とは異なる天然由来の彩色材料は、色の混ぜ方によって違う色合いを見せます。しかし、その技法は、口伝のような形で伝承されてきました。村岡先生は、模写を行いながら、そうした技法の継承を担っています。同時に、顕微鏡写真やX線分析など最先端の機材や方法を用いての非接触、非破壊調査も行っており、多角的に古典絵画の保存や復元が行われていることがわかりました。

コメント(最新2件 / 55)

iroww55    reply

どのようにして過去の資料が補修されているのかなど興味深い話でした。現代では塗料が何から作られているのかなど考える人はそう多くないと思いますが、歴史的に使われてきた顔料などを知ったことをきっかけに関心がわきました。

ヨシyoshi4    reply

店頭では買うことのできない絵具など、普段ほとんど触れることのない顔料や色を多数知ることができた。また、古くから使い続けられている色も多くあることが分かった。色の溶かし方なども知らなかったことが多く、興味深い講義だった。

ユウキa525    reply

模写をする意義について、やはり古典的な技術の継承という側面は大きいのだなと感じた。(一度失われてしまえばもはや伝承は半ば不可能なので)また前回の「色の講義」で、日本画が五行説の色に影響を受けているという話がされたが、実際どれほどその影響が見られるのか興味を持った。

paripi48    reply

美術作品の多くは修復されている、という当たり前の事実のさらに先の、どう復元修復しているのかという点を知れる興味深い授業だった。また今まであまり考えを巡らせてこなかった画材の原料についても知れて意義深かった。膠がどのように顔料になるのかやどんな石から様様な色ができるのかという知識が新たに得られた。

こう6d1d    reply

模写という仕事があること自体を初めて知ったので、とても興味深かった。
色やその他の絵画技法を通じていにしえの画家たちと心を通わせるというのはロマンチックだと感じた。

わかなwk29    reply

絵具について、黄土と言っても様々な色が存在するというお話は興味深かったです。岩から色が作られていたということにも驚きました。

オグ666A    reply

今まで美術館に興味はありませんでしたが、今回の講義を聴き美術館も見方を変えると面白そうだと思いました。来週は実習もあるとのことでしたので非常に楽しみにしております。

hiroki21T    reply

膠の製造過程を知ることができて面白かったです。今でも川で作れるというのが驚きでした。でもきれいな川じゃないと不純物いっぱいの膠になりそうと思いました。百叩きを以前少しやってみたことがあって懐かしくなりました。ただ、日本画の色材はどれも水っぽくなって、描いたときに滲んでしまう感じがします。単に水を入れすぎなんでしょうか、それとも筆の水をもっと切ってから描くべきだったんでしょうか…。日本画って難しい印象です…。

やまふじTF92    reply

先週の西洋絵画に続けて、今週は日本の伝統的な絵画についてのお話だった。村岡先生が普段どのようなお仕事をされているのか、ということや、大和絵に使われる色はどのようにして作られるのか、ということをお話してくださった。お話を通して、日本古来の絵にまつわる面白い知識とともに、昔の絵画などの資料の保存・修復が、多くの手間を要する作業であることを知ることができた。

fujiiTK48    reply

本来独創的であることを求められるはずの芸術家としての技量を駆使しながら、一方では自らの個性を極限まで抑圧し他者の模倣に徹するという、一見強烈な矛盾をはらんだ絵画修復師なる職業それ自体にまず強く関心を抱いた。絵画の原材料については、精製から調色に至るまでの緻密、危険かつ多様な工程に、先人たちの色を描くことに対する一種の執念のようなものすら感じられた。

SAYA83    reply

絵画の補修技術という分野は、私にとって今まで未知のものでした。日本の彩色材料については、少し聞いたことがありましたが、改めて専門家からの講義を聞いてとても興味がわきました。このような日本の伝統技術についてもっと知りたいと思いました。ありがとうございました。

motoaki308    reply

色という観点から見ると、今回は絵具の原料から誕生する色の多さに着目するべきだろうと思う。例えば、レジュメの「色の種類」というページでは11種の色が紹介されているがこれを構成する原料はわずか9種である(さらに、実際にはこれらの原料だけでもっと多くの色が生まれるのであろう)。こうした数百年間語り継がれてきた技術が失われないようと史料保存に努める機関が東大にあるのは今回初めて知ってまだ全容は掴めてはいないが、実際にこの組織がやっていることを来週体験できるそうなので非常に楽しみである。

S1N1O2W3    reply

普段当たり前のように目にしている色、その色を描き出す絵の具が元を辿れば一体何から作られたものなのかという、なかなか意識の俎上に上がりにくいことを授業を通して一度に学ぶことができてよかった。また、講師の先生が就いていらっしゃる模写という資料保全に欠かせない職業の存在を初めて知り、興味深く思った。

aobababa    reply

これまでの人生で全く触れたことのない世界について知ることができた。来週の実習が楽しみです。

nakamura12ab    reply

絵の具の材料がよく知っている物質から意外なものまであり興味深かったです。

かずひこPN09    reply

原料の視点から色を考えたことは、これまでなかった。この材料というテーマ自体にはあまり興味をそそられなかったが、色の名前は面白いと思った。例えば、素人からは「黄色」と一言で表されてしまいそうな色にも様々な名前があることや、「草汁」といった、色そのものだけではなく、何かそれらしい色を持ったものを想起させる呼称などは非常に感性をそそり、自然と情景を思い浮かべてしまうものであって楽しかった。

しんすけtj16    reply

今週は日本の伝統的な絵画とその模写についての内容でとても興味深かったです。自分は小学生の時によく絵を書いていたのですが、久しぶりに好きなマンガのキャラクターでも書いてみたくなりました。来週の実習が楽しみです。

マイmk01    reply

資料を保存するということに今まであまり焦点を当てて考えたことはなかったので、初めて知ることが多く、面白かったです。色の名称や成分、昔の絵の具の作り方など、改めて知ると、古典絵画を見る視点が変わりました。模写についても、とても科学的に分析した上で再現しているとは初めて知りました。

ゆ3y26    reply

模写技術そのものもそうであるが、日本画において使われる絵具の色の名前や絵具の溶かし方など知らないことばかりであった。元の絵具の色数が想像していたよりずっと少なかったが、組み合わせた色にも名前がついていたり、白色という色にもいくつか種類があったのには驚いた。また、先生が模写の際に作品に入れ込んで作者の気持ちも想像していると仰っていて、「色」にこだわりながら絵という接点でつながりを得られるというのは、模写を実際に行っている人にしか味わえないものなのだと少し羨ましく思った。

matii29    reply

色というとデジタルな数値で決められているイメージが強かったので、原料に注目した話は新鮮でした。植物や鉱石などの自然物から作られた色で描くというのは非常に素敵だと思います。有毒な鉱石が原料であることもあったというのもなんか良い。

mirai63dc    reply

実際にその色の絵の具を使って描いたことのない(模写、修復はもちろんのこと)人間には、黄色は黄色、緑は緑と、ある意味で主観的な「色」しか見えてこないが、研究者は顔料、さらにその原材料として扱っているということがとても興味深かった。

mdk216    reply

絵の修復について全く知見がなかったが、今回の講義でその奥深さや様々な色があることを知ることができて興味深かった。

浩行yh21    reply

色と絵画の関係ということで、前回に引き続きかなり直接的なテーマでした。内容としては模写や、補修ということがどのように行われているか分かり、なされているとは知っていたが詳しくは知らなかったので、興味深かったです。次回は実習らしいので楽しみです。

yone36    reply

現代において色は色相・明度・彩度といった明確な尺度に基づいて認識・利用されているが、それはおそらく科学的な顔料やコンピューターのおかげであって、限られた原料を組み合わせて色を作り出していた当時は、色彩に対する感性も現代とは大きく異なっていたことだろうと思うと、失われた色彩文化の存在が浮かび上がってきて興味深いと思った。

tutysp30    reply

今回は日本の古典的な絵画に使われている道具や絵の具について学んだ。絵の具の色がどのような物質から生じているのかや絵の具の溶き方、実際の絵画にどのような色が使われているのかなどを理解できて大変興味深い講義だった。

Chikaka05    reply

今回は模写についての講義でしたが、先生が模写をする際に作者はこんな風に考えてこの線を描いたんじゃないかなどど思っているという話が印象的でした。模写は作者との対話なのではないかと思いました。また、色の種類の多さに驚きました。今と違い顔料は鉱物や動植物から作られているので一つ一つの色に違う材料が使われていることがすごく面白く感じられました。

marina00204    reply

過去の資料がどのように補修されているのかなど、とても興味深かったです。特に岩からでも色をとりだせるというのは驚きでした。来週も楽しみにしています。

うどtyd41a    reply

今回は日本古来の美術作品についてであり、古来の色から模写技法まで学ぶことができました。史料編纂所の存在をこの講義で初めて知ったので今度本郷に行く機会があれば寄ってみたいです。

ust91    reply

日本画については教科書で見るくらいしか触れる機会がなかったため、興味深かった。似たような色であっても多彩な材料を用いて表現されていて、昔の人々が様々な工夫を凝らしていたことが感じられた。色の名前の読み方にわからないものが多くある点から、限られた手がかりの中から、当時の絵を再現する苦労の大きさを感じた。

rion0408    reply

まさにこの講義のタイトル通りに「色」と真っ直ぐに向き合うような講義だった。ラッカカイガラムシを絵の具にするという話が衝撃的で、帰宅途中ラッカカイガラムシを検索してその見た目が脳裏に焼きつき、私自身物忘れが激しいタイプであるにもかかわらず初めて聞いたラッカカイガラムシという名前が約一週間を経た今でも瞬時に思い出せたほどであった。
今週の講義も新たな世界を知り、また実習でそれを体験できるということが大変楽しみである。

syu7727    reply

一見同じような色でも同じものはひとつとしてなく、芸術家の方々がそれらを繊細に使い分けるのは豊かな感性と経験が成せる技だと思いました。実習が楽しみです。

NANA0524    reply

小学生の頃絵の具を混ぜて色を作ることがありました。しかし昔の日本画家は2色の混合で何種類もの色を作り出していたのだと知り、親近感が湧くとともに感服しました。日本画の色は人工的でなく、自然な美しさがあって私は好きですが、それは日本人の感性を持っているが故なのだと思います。この感性を守っていくためにも科学技術なども用いた可能な限り正確な「色」の復元が続いていけばいいな、と思いました。

ひろきju25    reply

よく知った色でも地域や素材によってわずかに色が違うのが以外で面白かった。

taka0904    reply

模写することで当時の色が現代にまで残るという模写の重要性を初めて理解した。授業のわ最後に色を出すのに最高でも4色しか混ぜていないと言っていたが、4色混ざった時の色はどのようなものなのかすごい気になる。

dpedr01a    reply

今までは色に込められた意味、色の象徴するものを読み解くなど極めて人工的なアートに関する授業だったが、色の原料を題材にした講義はなかなか自然味があって少しだけ、ほっこりする授業だった。

トシ2t2k    reply

絵画を材料の視点から見ることはほとんどなかったので、興味深い内容の講義でした。ひとえに「赤」と言っても、材料は様々であり、思い通りの色を求めた絵師たちの苦心が感じられます。思えば、すべての「色」はそれを伝える媒体(画材)の制約を受けるものであり、「色」を作る技術というものはとても貴重なものだと感じます。その技法が残していくことは大切なことだと思います。

hakka23    reply

今まで全く触れたことない分野である模写についてお話を聞くことができ、とても面白かった。特に、模写をしながら過去の作家の思いを感じ取るという先生のお話は印象深く、次回の実習で少しでもそれを体感出来るといいと思った。

syuya0216    reply

模写というものが実際に職業の一つになっていることが驚きだった。自分が知っているよりもはるかに多くの種類の色について触れることができ、困難な絵画の修復作業をしていかなければいけない理由も教わり、大変勉強になった。

gosh120    reply

日本の伝統的な絵画の補修についてこれまで深く考える機会はなかったが、芸術的な価値よりも歴史的な価値において重要な美術品の保存・復元の話を伺うことができ、有意義に感じた。数百年の歴史の中で失われてしまう色が存在することは興味深かった。

ren    reply

絵の具としての色の種類がこれだけたくさんあることに驚いた。違う原料を使うことで、同じ赤でも、微妙な色彩の違いを出し、それを絵画に利用しているのだから、非常に高い技術だと思う。
模写という技術は、過去の作品を未来に伝えて行くために必要不可欠な技術だと思う。彩色材料や画法など、昔の人の技術に触れることで、今生きる人たちを感動させることができる仕事だと思う。

海f208    reply

今まで触れたことのない世界だった。現代の模写においても似たような色のチューブの絵の具を使うのではなく、原本の制作過程をなぞるという手間をかけていることに驚いた。

小三元4vj8u5    reply

 日本史の資料集か、あるいは美術館、博物館の或る一コーナーの展示物としてしか出会ったことのなかった日本画を色という視点から見たことが無く、ご講義は新鮮であった。無論、素人でも確かに西洋画と日本画には筆致や技法という次元とは別に、色遣いの違い、あるいはそもそもの材料の違いがあるのだろうということは想像はついていた。しかし、具体的な顔料の作り方、組成、そして膠と絡めての使い方を知るのは初めてで、その多様性、手間、そしてそれに見合うだけの綺麗な発色に驚かされた。無機顔料の中にも、特定の鉱物を含む石や土を適度に潰して作るものもあれば、胡粉などのように貝殻を利用して作るものもある。簡単に手に入る原料もあれば、特定の地域や特定の国から取り寄せる高級原料もある。潰し具合によって色合いが変化するものもある。有機顔料は植物等からの液を、綿や石灰や胡粉に吸着させて売る、等々。どれも知らないことばかりで、同時に西洋風の絵の具についてすら、私はしっかりした出所を知っているわけではないのだと気付かされもした。
 史料編纂所の職掌についても驚かされるばかりで、中でも影写という技術は驚異的な緻密さが要求されるものだろうと推察する。学問探求の道へ進もうと考える者として、直接に日本史資料と触れ合うことは無くとも、そうした知的な営みを支える技術の存在、技術者の匠の技に敬意を持ち、またそれを知ろうとするのは当然であり、なおかつそうする責任もあるのだろうと感じた。

riou774    reply

日本画と模写のお話でした。
日本特有の色の呼び方など知らないことが多く、また一つの色を取っても派閥によって呼び名が違うなど、初めて聞くことが多かったです。
模写をする際に、作者に入れ込むという先生の決意は、美術作品を作る人間の理想的な姿であるように思えて、僕は美術の道に進むわけではないですが、ものづくりに携わる人のあり方として、参考になりました

takeab1415    reply

今回の講義は今までの中で一番色そのものを考えさせられたと思う。今までの義務教育で書いてきた絵に色をつけるとき、絵の具を使って色を塗っていたわけであるが、その絵の具自体は昔はこういう顔料や溶媒を使って作っていたという当然のことを思い出させられて良かったと思う。

あのにますqwerty    reply

文化財保存のための模写の仕事は繊細で、私には到底できないような仕事だと思った。現在のようなデジタルアートとは異なり、一度失敗したら修正が効かない。まだ失敗の余地が許されている学生の立場を有効に活用したいと思う。

もぎー5696    reply

現代に生きる私たちの塗料は、ごく簡単に手に入るものだと思っているが故にあまり意識しないが、実際に昔の人々は作る材料からしっかり吟味しなければいい絵は描けなかったのかと思うと、その素材の重要性が垣間見える。とても興味深い授業だった。

bananana77    reply

日本古典絵画に関しては触れる機会がほとんどない。しかし、日本の色彩というのは虹の色分けに象徴されるようにとても豊かなものだというイメージがあった。日本独特とも言える言える発色、浅葱色などの色をどのようにして作りあげていたのかを知ることができた。と同時に、今でこそデジタル化などで様々な色を作り上げられるが、材料ありきで色が出来上がることを実感した。

dar816    reply

歴史的に重要な絵画などを残すという考え方は今までで馴染みがあったが、色を残すということはあまり馴染みがなかった。今回、模写をするときに色も再現するというような話の中で古典的な日本絵画は自然にある多様な色を利用しているということを聞き、自然の中にも多くの、またそれぞれに特徴のある色がたくさんあるのだと感じた。

aruku238    reply

模写という仕事はあまり馴染みのないもので、その仕事に実際に従事されている方からお話を聴けるという貴重な機会でした。特に彩色塗料についてのお話は、その塗料の精製方法や使い方が色によって異なり、ペンキを何色でも気にすることなく扱える今との差に思うことがあり、興味深かったです。

color81    reply

今回は「彩色技術と模写技法」がテーマで、史料保存技術室では普段どんなことをしているのか、色を作るためにどのような原料が使われていたか等、あまり身近ではないことについて詳しく学べ、大変興味深かった。その中でも、川を利用した伝統的な膠の製造過程の写真が特に印象深かった。

u2ae4w    reply

絵画の模写や修理といった行いは、単に展示と保存をより確実に両立させるというだけでなく、手掛かりから技法を復元し継承する試みでもあり、そのために、単に美術の技術のみならず、歴史的な研究や科学的な分析をも総動員する必要があるとのことだった。
日本画に使用された彩色材料は、原料はもちろん、保存時の形態や絵の具として使用するための手順も様々で、また混色のための技術書なども残っており、当時もまた、美術的な技術の追究だけでなく、材料そのものの研究にも力が注がれていたのだろう(あるいは、それらは切り離せないものだったのだろう)と感じた。

ryu35    reply

単に模写といっても技術的な領域にとどまらず、歴史的・科学的な手法を用いるという点が新鮮だった。普段は意識にのぼらないトピックだったので、興味深かった

HAL9000    reply

模写は単なる芸術保存の一形式なのではなく、それによって作品についてより深く学ぶことができるものであるということを知った。今まで絵の具を当然のように使ってきたが、「色を作る」という行為の意味に触れることができた気がした。

Kai0508    reply

日本の模写について、歴史や方法、材料まで、詳しく教えていただけてとても貴重だったと感じる。これまで、そしてこれからも中々知ることがなかっただろうことをたくさん教えていただいた。現在は日本の伝統的な模写をせずとも、進化したテクノロジーによって簡単にコピーができてしまうので必要はないと思っていた。しかし、日本の伝統的な色彩感覚があることを学んで、継承していく必要性を感じた。

rik0916    reply

個人的に、美術に興味があると言っても、それは西洋のものに自然と限定されるところがあって、(こう言うのもなんですが)日本絵画などにはほとんど興味がありませんでした。
ただ、絵画そのものではないが、それを復元・模写する技術というのは今までで一番興味がわいた。そこに反映される歴史・ある意味職人とも言える技法・材料・色彩感覚に圧倒された。色を「真似る」「保存する」だけではなく「作る」という工程に面白さを感じた

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