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とらわれない思考を身につけたい

第4回 10月16日 関谷雄一

信頼関係の成り立ち──「囚人のジレンマ」の先に何があるのか

知らない人と仕事をしなければならない時、その人を信頼するか否か私たちは大いに迷う。職場や社会で信頼関係を築いたり、人から信頼されたりするようになる等、理想的な人間関係を構築するには弛みない努力と時間が必要だ。そんなに待っていたら何も始まらないではないか。そんな疑問も出てくるだろう。講師が経験した異文化のフィールドにおける2つの実話(開発 & 災害復興)に基づいて、信頼形成の動態的様相について考察する。

講師紹介
関谷雄一
東京大学大学院総合文化研究科・准教授専門分野:アフリカ地域研究・応用人類学
授業風景

2019年度第4回学術フロンティア講義では、10月16日に東京大学大学院総合文化研究科にてアフリカ地域研究・応用人類学をご専門とする関谷雄一先生をお迎えし、「囚人のジレンマ」のモデルを用いながら、文化人類学的視点から信頼関係の成り立ちについて講義いただいた。

前半部分では「信頼」をつなぐためにおこなわれる実際の社会的行為として、贈与という行為とそれの下敷きとしてある互酬性(制)といった理論的な枠組みが最初に紹介された。まず、ラポールやポトラッチといった儀礼的交換についての説明があり、マルセル・モースの『贈与論』といった人類学における古典的な書籍の紹介があった。M・サーリンズの『互酬性の3タイプ』では互酬性と一口に言っても一般的互酬性・均衡的互酬性・否定的互酬性など、細かい類型に分けられることが説明されている。人類学の分野で発見された多種多様な贈与が、互酬性を築き上げるためになされていることがわかってくる。

冗談関係・忌避関係や社会における信頼関係の築かれ方が個人と集団とで異なることにも言及されたあと、後半につながる理論的枠組みの一つとしてゲーム理論が紹介された。これまでの講義でもふれられたことがあったが、関谷先生はフラッド=ドレッシャー実験を取り上げてゲームを反復することで見えてくる信頼の様相の変化にも着目した。ここから、人口に膾炙した「囚人のジレンマ」のみならず「行き詰まりゲーム」「チキンゲーム」「シカ狩りゲーム」と4種のタイプに分類できることが説明された。

前半の理論編で贈与や互酬性、ゲームから見えてくる4つの類型の解説が終わると、後半では氏が実際に青年海外協力隊や被災地支援の現場で経験したジレンマについて、前半の理論を交えて紹介がなされた。1996年に青年海外協力隊活動においてニジェールの小学校で実施されたプログラムをめぐる問題が取り上げられ、相手側の要求と自分たちの希望とのあいだに合意を見出していくことの難しさや新たな選択肢を増やすことで解決したという後日談が述べられた。このほかにもケニアの地域社会組織やおける信頼のパラドックスや災害復興における研究者と被災者のあいだの協働関係に横たわる問題についても考察がなされた。こうした実社会における信頼にかかわる問題は一見個別的なように見えるが、実は前半で紹介されたゲーム理論の4種の類型のいずれかに合致すると氏は指摘する。

ご自身の体験を交えながら情感たっぷりに語られる関谷先生の今回の講義は、学生からも笑いが起こるなど和やかな雰囲気でおこなわれた。氏の前置きにもあった通り、ゲーム理論を深く扱いながらも数理論理学ではなく、あくまで文化人類学の視点から実体験を材料として紹介される問題の数々は、私たちの実生活での信頼の問題と地続きにつながっているものだと各学生にも深く感ぜられたのではないだろうか。

(文責:朱宮)

コメント(最新2件 / 26)

Tyuki23    reply

囚人のジレンマについてはSセメスターの心理Iにおいてゲーム理論と関連して学んだが、その時は理論の確認にとどまり、実践的な理論としての活用については触れられていなかった。今回本講義で囚人のジレンマについて、前半部分において理論を確認しジレンマを4種類に分けるとともに後半部分において理論に基づいて種々の事象に当てはめて考えていくというプロセスは理解しやすいものであった。開発現場におけるジレンマと信頼というトピックでは地域の現状と理論とをリンクさせた考察が興味深いと感じた。また信頼のパラドックスということで、他人をすぐ信頼する人ほど実は人を見る目がある、という説は掘り下げて考えていきたいと思うようなテーマであった。講義でも言及されたように私たちはこの手の思考法をゲームのようなアクティビティとして小学校や中学校で考える機会があったが、論理的に整理して考えてみると非常に奥深い理論であり、今後物事を考える際の位置手法として有効であると思った。

martian5    reply

貴重なご講義ありがとうございました。
 ゲーム理論における囚人のジレンマの理論とその実践がテーマだった今回の講義は、文科二類の学生であり経済をすこし学んでいる自分にとって大変興味深い内容でした。驚かされたのは、理論として有名な囚人のジレンマの理論が、現実世界のあらゆる場面で応用されうるということであり、またその汎用性と有効性の高さこそ理論を有名たらしめている要因なのではないかと思いました。
 現代社会は単位としての個人、集団が主体となり複雑な関係を織り成す予測不可能、制御不可能な社会であるとよく耳にしますが、今回教えていただいた囚人のジレンマの理論はそんな複雑な現代社会においても、意思決定主体が誰になるのかをよく考えればそのまま応用できる内容であったため、大変有意義でした。
 また、「贈与」というテーマで展開された授業の序盤はとても興味深かったです。人に物を贈り、受け取り、お返しをするという段階に大きく分けられるということ、贈与にもいくつかの種類があること、また贈与という行為は時代、地域を問わず人間の共同体があるところには発見しうるということなど、今までスポットライトを当てていなかった「贈与」という行為に対して考察ができたのはとても良い機会でした。
 人を信じるのと、信じないとで、どちらの方が楽しく生きられるかについて、よく答えはわかりませんが、基本的に信じた方がいいという先生の意見は新鮮なようで納得ができました。これから人生の方針というわけではありませんが、基本的には人を信じて、それで失敗するのもまた一興といった具合でいきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

youcan19    reply

ゲーム理論あるいは囚人のジレンマについては全く知らないわけではなかったが、今回の講義では二者の間での協調と裏切りの組み合わせによる利害関係の違う複数のパターンを現実世界のプロジェクトや政策例などを交えて説明していただいたので、現実世界にどのようにゲーム理論を落とし込むのか知ることができた。フレッド=ドレッシャーの実験結果ではある程度まとまった回数お互いが協調を選び続けた後、片方が裏切るという変化があるとそれがきっかけとなり不信感を持つようになるというのが興味深かった。この結果から長期的な協調関係を構築するためには自分から裏切ることはせず相手が裏切ったらすぐに報復して相手に自分の行動を分かりやすくすることが大切だという結論が述べられていたが、これは現実世界でも成り立つことであると感じたので、自分が他者と協調関係を構築する必要があるときにはそのような態度をとろうと思った。

baya0903    reply

・信頼概念を考える上で、ゲーム理論を利用することは有効ですが、このとき多くが協調/裏切という二項対立の形で行動を選択しなければいけない、という点については、理論的限界と、一方でそこから見えるコミュニケーション的意味があるのではないかと思いました。つまり、各人が取りうる選択は、囚人のジレンマのような、二者択一的なものだけではなく、中庸的なものや、(特にこれは重要であると思われるのですが)アウフヘーベン的なものというのも、現実社会においては一般的に存在します。やや敷衍して言えば、ゲームの設定段階での選択肢を所与として、新たな選択肢がコミュニケーション的相互作用の中から生起することは、理論的に捨象されているのではないでしょうか。しかし一方で、このように選択肢を限定的にすることによって、「囚人のジレンマ」のような状況を図式化して示し、コミュニケーション的行為の中で他者に協調を促すという効果は十分に期待できるのではないでしょうか。つまり、雑多に提起された選択肢や折衷案をあえて捨象し協調/裏切りという二項対立の中で行動するよう仕向ける効果が、ゲーム理論のコミュニケーションとしての効果として考えられるのではないでしょうか。

Suzu0705    reply

まず初めに信頼の理論について学んだが、そのときに紹介された『贈与論』の内容に強く関心を持った。贈り物をし、送られたものを受け取り、お返しをすることは「道徳的義務行為」であるということは、私も日常生活でよく感じていたことであった。友達への誕生日プレゼントやお土産、バレンタインデーの「友チョコ」などは、正直大して欲しくないものをもらい、それに対して多分相手もそこまでほしくないであろうものをお返しすることの代表例である。私はこれらの慣習を煩わしいと感じたことは何度もあったが、それをやめたことはほとんどなかった。それは、この儀礼的とも言える行為を通じて、友達との関係がますます強固で安定したものになることを本能的に知っていたからである。贈り合うという行為が重要なのであり、贈り物自体が何であるかはそこまで重要ではないのだ。そしてこのような意味を持たされた、一見非合理的にも感じられる贈るという行為が、世界各地で見られるということをとても興味深く感じた。
また、信頼をめぐるジレンマが、アフリカの開発現場や災害復興の場でどのような形で現れているかということを学んだ際には、現地の人びとと支援者の間の複雑なせめぎ合いが、2×2のマスである程度整理されるということに驚いた。実際にはそこまで事態が単純ではないとしても、迷ったときに対処方法を考える上で役に立つのではないかと思った。人間関係、特に信頼に関わるものは、得てして複雑で、面倒で、泥沼化するものである。それを解決する一助となれば、このジレンマの表は強力なツールとして機能するのではないかと思った。

lyu39    reply

囚人のジレンマは経済学・政治学で頻繁に登場する概念で、今回はそれについての人類学的視点からの分析や実生活における囚人のジレンマのあり方のお話を聞かせてもらい、大変興味深く感じた。囚人のジレンマが扱うのは二者間の利害関係で、自己利益の最大化を目的に合理的に動くプレーヤーが前提として想定されている。繰り返し囚人のジレンマというモデルでは、複数のプレーヤーがしばらく共同生活を送るなど長期的関係を築く場合、一回きりの最大利得ではなく、双方協力で将来に得られる最大利益を狙うほうが合理的戦略となってくる、ということが示唆される。その時、自分が裏切らない限り裏切られないという期待があり、《協力・協力》という状態が続くことになる。しかし、このような状態にある二者間の関係は信頼と言えるかどうか、私にはやや疑問に思う。もし長期的関係を断ち切る時がきたら、最後に相手を出し抜いて自分に最大利益となる裏切りを選ぶことが合理的になるわけだ。囚人のジレンマでナッシュ均衡に到達したり、パレート最適が実現されたりしても、そこから生まれるのは利益配分のあるバランスだけで、真の信頼関係はやはり経験・道徳や感情など不確かで非合理的である意味では「人間的」なものに依存しているのではないかと思います。

k00oosalt    reply

雑談を挟みリズムをとりつつのわかりやすい講義、ありがとうございました。
4種のジレンマに実際の事例を当てはめながらその内実を考察するという手法は刺激的でした。
ゲーム理論という手法を信頼関係の考察に用いることの有効性を感じることができる講義内容で、非常に有意義でした。
しかしながら、事例の研究ではなく、信頼関係の形成その場における理論の応用は、困難なようにも感じられます。
その点に関しては、少し疑問が残りました。
とはいえ、全体として素晴らしい内容の講義でした。改めてありがとうございました。

satoshi31    reply

M.サーリンズの「互酬性の3タイプ」は相手との親密度によってタイプ分けできるなと感じた。親しい友人なら一般的互酬性が、知り合い程度なら均衡的互酬性が、社会的な交流のみがある人には否定的互酬性があてはめられそうだと思った。囚人のジレンマに関しては経済学の勉強をしているときに少し勉強し、ナッシュ均衡やパレート最適なども理解はしていたが、経済以外の場面であの図を見ることはあまりなかったので新鮮であった。途上国の開発現場において先進国から来た従事者の人の裏切りという側面をまったく考えていなかったので囚人のジレンマにあてはめて考えることは難しかった。しかし、現地の人にとって、考えていたよりも支援がすくないとそれは裏切りという性質を帯びてくるのだなと思い納得できた。両方の立場に立って考えるというのは対話の基本であるが、自分が先進国側の考えしか持てていなかったことを反省した。

tanyn0580    reply

関谷先生が短い時間で特に理論のところを非常に分かりやすく説明してくれてありがたいと思った。ゲーム理論・囚人のジレンマという言葉はもちろんよく耳にするが、今回反復ゲームやジレンマの種類までの説明もあり、理解が深めたと思う。ひとつ気になったのは、4種のジレンマ(そして紹介してくれた応用の例)が全てCCで終わらないということであった。人間は、どうしても協調する関係が成り立たないということになるのか。それは少し悲観的すぎるのではないかと思った。
また、囚人のジレンマという形で分析を行うのは、その時点でやったのか、あるいは事後そうやって整理したのかというところは少し理解できなかった。普段、選択をする際に、人々は賛否両論や利害得失のリストを作り、そして行動を決めるが、二つの行動者が関わっている場合は囚人のジレンマは役に立てると感じた。しかし二つ以上の行動者が関わる場合どうなるのかであろうか。
そして、東日本大震災後の状況の話は一番印象的であった。わたしは日本人ではないので、(そして災害があまり起こらない国の国民なので)、いつも震災時の様々な側面の問題に少しびっくりする。生きるために考えないといけない、心配しないといけないこと、それから必要な援助などなどがあり、災害は本当に恐ろしいと毎回強く感じる。

chihi0315    reply

ゲーム理論は高校の時に授業で少し勉強したことがあったので、大体の理論は知っていましたが、初めて聞くようなものもあって、すごく興味がわきました。自分自身でさらに詳しく理論を勉強したいと思いました。後半部分で講義されていたゲーム理論を実際の政策に当てはめるという考え方は私にとってすごく新鮮なものでした。囚人のジレンマゲームを始めに勉強したときは、状況設定などが現実的ではないため、この理論があまり身近に感じられなかったのですが、今回の講義を聞いて、囚人のジレンマゲームもより身近な政策の分析などに応用できるのだと感心しました。今後、自分がなんらかの政策を提示していく中で、自分と相手の利害をより分析的に、視覚化して考えることで、より良い結果が得られるのではないかと思いました。

ryo7a    reply

結論の見えづらい話だった。特殊意思の集合としての共通意思では社会をよくすることはできず、一般意思のみが社会をよくする。この程度のことが言いたかったのだろうか。教養が足りずあまりものが読み取れなかった。

yka710    reply

本講義の主題であったゲーム理論については、国際関係論等の授業で何回か聞いたことがあるくらいだったが、実際に現実の事象に照らして解説していただいたのは今回が初めてであり、2×2マスの表で物事が整理され全体像が可視化される過程は大変興味深かった。「信頼」の概念の理解において今回の講義をどう位置づけるかは人により幅がありそうだが、個人的には、世の中には信頼が発揮されやすいシステムと発揮されにくいシステムとがあり、二者間の複雑な駆け引きを単純化することをもってそのシステムの良し悪しを見極めるためのツールがゲーム理論なのではないかと考える。例えば、まさにラポールのような厚い信頼に貫かれた二人であれば、囚人のジレンマを打破してお互い強調路線を選択するかもしれない。しかしながら、より現実的な信頼とは、前回学んだルーマンの定義によれば、『未来における他人の振る舞いによる利益を見越して、未来における他人の振る舞いによる害が生じうることを認識しつつも、現在において決定を行うこと』であり、人間はこの「利益」と「害」を衡量して(すなわちある程度ゲーム理論の通りに)決断を行う。鈴木教授がおっしゃるところのリスク社会における信頼の弱体化とは、「害」の不確実化・巨大化によって人々が非強調路線へと傾きやすくなった状態だと理解できる。それでは、人々が協調へと向かうにはどうすれば良いのだろうか。関谷教授のおっしゃるように、裏切りへのペナルティを設けることが報復の応酬という最悪の帰結を招くのであれば、両者にとって(相手の態度にかかわらず)協調が第一選択肢となるような絶妙なプランを用意するか、長期的な対話を通して少しでもラポールに近い関係を築くよりほかに方法は無いのかもしれない。余談だが、前者の発想は、自分が東大の講義で学んだ環境倫理学におけるプラグマティズム(多元的な主義主張を認め、お互いの利害の一致するところから始めて、倫理的な議論を現実の環境問題の改善に還元しようとする立場)に通底すると思った。これからの社会はプラグマティズムの時代を迎えるのだろうか。

kfm1357    reply

ゲーム理論に基づく囚人のジレンマを、これほど多くの場面に用いて、物事を考察できるとは思いも寄らなかった。世界の様々な事象が似た構造で機能していると感じさせるものだった。囚人のジレンマを、表にして表すと、一般的には4通りの場面を想定することになる。このように簡潔なモデルは、「行き詰まった時に先に進める一助」となりうる。一方で、世界の様々な事象が似た構造で機能しているとはいえるとしても、4通りで抽象化すると、なんらかの捨象してしまった部分が存在するに違いない。このようなモデル化を通じて議論の俎上にないものにも目を向け、考慮する必要性を吟味することも大切な力である。簡便に作られたものの力を借りることもあるかもしれないが、その背後に隠れたものにも注意を払って思考したい。

Tsyun94    reply

信頼関係の成り立ちということで人間に対する信頼をテーマに話していただきましたが、信頼と密接な関係にある裏切りという行為から信頼を語っているのがとても面白かったです。そこで囚人のジレンマという話題になったと思うのですがフレッド=ドレッシャー実験に関しての説明で裏切られたらすぐやり返すという人間の本能的な行為に基づいて囚人のジレンマを考えていて懲罰というのは本当に協力ではなく報復に向かわせる力があるのだなと考えさせられました。今回は講義ありがとうございました。

ayana2630    reply

あらゆる事象やプロジェクトにおける当事者間の関係性について、ゲーム理論を用いて考察するというのがおもしろかったです。自分でも、考えるときの1つの方法として当てはめて試していきたいと思いました。災害復興について関心があり授業もとっていて、特に原発関係では夏休みに福島を訪れたので、まなび旅の視点にも興味を持ちました。参照文献で挙げられているものについても読んでいきたいと思います。ありがとうございました。

4geta6    reply

すみませんが、今回は一貫性のない文章を書きます。囚人のジレンマ(とその類型)のお話が中心でしたが、これと信頼の関係を考えてみると、囚人のジレンマを脱するには信頼が必要、ということになるのでしょうか。前提破壊以外の何物でもありませんが、コミュニケーションが重要ということにもなるのでしょうか。現代社会において信頼の信頼性が著しく低下しているのも、信頼というものを、相手とのコミュニケーションなく、自分本位に成立させてしまっていることに起因しているかもしれません。/囚人のジレンマにさまざまなタイプがあるというのは興味深かったです。現実社会の諸現象をこうした囚人のジレンマの類型に当てはめて理解する手法にも興味を持ちましたが、そうした分析が諸問題の解決にどのような示唆を与えるのかについてもお話を聞きたかったです。自分でも考えてみます。

吉村龍平    reply

フラッド=ドレッシャー実験で、AAとJWの取れる得点に差があるのはなぜでしょうか?それから、被験者は100回行なった後の合計点数を伸ばすのが目的なのか、1回1回の試行でより良い点数を出すことが目的なのかによっても多少プレイングに差が出ると思うのですがどうでしょうか。

sanryo1335    reply

今回の講義では、前半に文化人類学とゲーム理論による「信頼」理論、後半に先生ご自身の体験の事例を「信頼」理論に当てはめて考察するという多角的な内容で、これまでのどの講義とも全く異なる「信頼」の見方を得られました。「囚人のジレンマ」については概念的な知識はありましたが、「行き詰まりゲーム」「チキンゲーム」「シカ狩りゲーム」といった見方や、実際の現場での事例にどのように適用できるのか、といったことは知らなかったので、非常に興味深かったです。また、農村開発や災害復興に関わる先生ご自身の体験談も貴重なものでした。ゲーム理論はそもそも自分の利益を最大化する方法を模索する数学的モデルと認識していましたが、それを人間関係上の「信頼」というコンテクストで扱うと、単に合理的な決断をするだけでは成立しない信頼構築の難しさがかえって浮き彫りになるように感じました。自分は経済学は未習でしたが、今回の講義を経てゲーム理論に興味を持ったので、最後に示されていたフォン・ノイマンの基本文献などを読んで掘り下げてみたいと思います。

Satoshi1024    reply

信頼をゲーム理論から捉えるという当たり前のようで、斬新とも思えるような観点での授業がとても興味深かったです。身近な例を用いてくださることは理解の一助になりましたし、「4種のジレンマ」は初めて学びましたがより深く探究したいと思えるような内容でした。
また、関谷先生自身の実際のご体験を基にしたお話、特にアフリカの農村開発現場でのお話はとても貴重なものだと感じました。

phu884    reply

信頼関係の一例として、アフリカでの現地のトラブルをゲーム理論の視点から分析しているのが、興味深い視点だと思いました。またトラブルの解決策として、相手を個別に訪れて一人ずつ説得するという方法は、多くの場面で役に立つであろうやり方として、印象に残りました。

shiori0310    reply

「囚人のジレンマ」は心理学の講義で勉強したことのある内容だったので、親しみやすい話題から実践的な話題へと繋がっていてとても分かり易かった。今までの講義では、科学や薬学など特定の分野における信頼あるいは信頼一般につての形而上学的な内容だったが、今回の内容は職務上の信頼形成という、自分自身に直接関わる話題だったため大変興味深いと思った。ただ、今回の授業で扱ったような場面においてもやはり、最初の授業で学習した信頼の三要素、つまり、「価値共有」のもとの「能力」と「意図(人柄)」が大事であると考えた。科学とは異なる開発や災害復興といった分野においてもやはり本質は変わらないのだなと感じた。

goto114    reply

今回の講義は、何か一つのプロジェクトを成し遂げようと思う時にそれを成功に導くための、力関係のバランスについて、ゲーム理論のモデルを用いてわかりやすく提示し、またその応用として、先生が関わったプロジェクトでの信頼関係とジレンマについて解説いただいた。
信頼を得ることとそれを持続させることの難しさを痛感し、また心理学用語である「ラポール」という語について触れた際の「私でも、心の底から通い合っていると思える友人は両手の指で数えられてしまう」との先生の言葉に、では自分は一体どれだけの友人のことを信頼しているだろうか、また、どれだけの人に信頼してもらえているだろうか、と考えて、厳しい気持ちになった。

shooji68    reply

ゲーム理論の現実への応用がどのようなものか学び取れました。
特にヤギの話は印象的でした。以前高校の英語の時間に当該の話について書かれた文章を読みました。その文章内ではヤギを貸す側、地元住民がウィンウィンの関係にあるとして締めくくられていました。
ですが、先生のおっしゃる通り結局は両者裏切りに走るのが最も可能性が高いことを理解しました。

yuto0813    reply

囚人のジレンマについては多少知識があったが、今回様々な事例を通して、囚人のジレンマがどのように起きているかを知ることができ今までの知識をさらに深めることができた。信頼というテーマと、他人を信頼できないがゆえに起こってしまう囚人のジレンマはとても関連性が高く、興味を持って講義を聞くことができた。海外のプロジェクトや原発の例などここまで様々な例で囚人のジレンマを適用できることを知らなかったのでとてもためになった。

reon2012    reply

囚人のジレンマという興味深いテーマを題材にした授業でとても面白かった。ゲーム理論についてこれまで耳にする機会はあっても学ぶ機会はなかったのでこのように授業で扱っていただけたのは良かったと思う。ゲーム理論は社会の様々な場面で登場していることが知れたのでますます興味を持てた。今後判断に迷った時はこの理論を思い出してみたい。

pulpo10    reply

人を信頼するということが幸せに対してどう影響するのかという議論が面白かったです。

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