跳出思维框架

第6回 11月19日 菊水 健史

排泄コミュニケーション

人を含めた動物は、栄養を口から摂取し、その不用物を排泄する。一般的に排泄は「不用物」とのイメージがあるが、視点を動物の世界に広げると、排泄 物を用いたコミュニケーションが、おどろくほど重要な要因をなしていることに気づく。カバは糞便で自分の縄張りを主張し、犬は脚を高々と上げて、マーキン グする。これらの排泄物にはオスメスの雌雄情報に加え、年齢、社会的地位、食物、、血縁、個体、感染状態までもの情報が含まれているという。排泄されたも のの多くは匂い物質として受けての動物に受容され、行動や内分泌を変化させる。このような情報は個体間の関係性を構築するため、あるいは維持するため、に 重要である。また動物には糞食をするものもいる。例えばウサギやコアラ。これらの動物では糞便を用いて、腸内細菌叢を伝搬させ、特異的な代謝機構を獲得す ることもできる。代謝にとどまらず、免疫、疾患などの情報が腸内細菌叢にも現れることから、排泄物には「情報の宝」ともいえる私達人間の予想をはるかに超 える貴重な情報資源としての役割が見えてくる。

今回の講義ではこのような動物の世界における排泄物コミュニケーションを紹介しよう。

讲师介绍

菊水 健史
麻布大学獣医学部教授。 東京大学農学部獣医学科卒。獣医学博士。東大農学部生命科学研究科助手を経て、2007年麻布大学獣医学部准教授、2009年同教授。動物の社会認知機 構、行動発達メカニズムの研究に従事。日頃は愛犬のスタンダードプードルと出勤、休日は散歩、という犬好き。著書に「いきものの散歩道」(文永堂、 2011)、「犬のココロをよむ——伴侶動物学からわかること (岩波科学ライブラリー、2012)、「観察する目が変わる動物学入門 (ベレ出版、2014年)」など。
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评价内容(最新2件 / 9)

てつ    reply

人には、糞尿以外で線引きをする方法が数多くあったために糞尿を使う必要はなかったが、動物は、手軽に体から切り離して自分の存在を知らしめろ方法が糞尿のほかになかったために多くの動物が糞尿を使っているのだろうと感じた。
また、これからボーダーレスの社会の構築を世界が進んでいくことになるが、先生もおっしゃっていたように、動物としてのヒトはやはり完全なボーダーレスでは生きられないであろうと思う。ボーダーはボーダーとしてしっかり決めて、それぞれのテリトリーを保障した上で、ボーダー間の交流をより活発にしていくようにしないと、好き勝手にヒトが入り混じる文字通りのボーダーレスの状況は作りえないと思った。

せし    reply

コアラが母の便を食べるということに驚いた。その理由は赤ん坊が葉を消化できないから、とのこと。

post    reply

糞食に最も衝撃を受けましたが、現代人が通常価値のないものとみなす糞には、予想以上に重要で多様な用途があることを知りました。特にウサギの例は意外でした。
また一夫多妻や一夫一妻をめぐる議論にも生物学的な要因が絡んでいたことには驚きでした。やはり人間はいかなる面でも生物学的な側面からは逃れられないように感じました。

あつし    reply

牛などが食事の時に、反芻を行っていることは知っていましたが、まさか一度排泄したものをまた食べる動物もいることには驚きでした。けれどたしか、ある特定の木の実を食べるリスの糞からとれる木の実は美味しいという話をどこかで聞いた覚えがあったので、糞食も案外普通のことなのかもしれないと思いました。

taro    reply

涙の中のフェロモン物質や、糞尿を使ったコミュニケーションなど、この講義でしか聞くことができないものが多くて面白かった。特に父と子の関係の話は、母と子の話に比べて聞く機会が今まで余りなかったので興味深かった。

かずき    reply

排泄と言っても広義に捉えられ、様々な動物の排泄がかくも様々に機能を持つのかということは驚きでした。もっとも糞尿だけを特別視するのは相対化して考えれば人間だけなのでしょうが。特に、ネズミの性行動に涙が影響する事例などが非常に印象的でした。大変おもしろい講義でした!

うひろ    reply

排泄物は、本来的には身体にとって不要であるとして体外に放出されたいわば無益なものであったにもかかわらず、実際には多くの情報を内包した価値ある物質として機能している、という視点が印象的であった。一方で、例えば植物の場合に花の香りが受粉を媒介する虫たちを呼び寄せる働きを担っているということを考えると、人間(あるいは動物)から発せられる臭いが花の香りのように有益な情報を内包していてもおかしくないというようにも感じた。実際に調べてみると、植物のなんの変哲も無いように見える植物の緑の葉っぱもまた、葉を青虫などに食べられないように臭い(香り)を発しているのだということがわかった。体外に放出される以上、何らかの価値を持つように人間(動物)は進化したのではないかと考えさせられた。

たこ    reply

人間以外の殆どの動物が自らの領域を糞尿によって、線引きをしているが、人間だけは極度に糞尿を忌み嫌い(この点自体もかなり特殊に思えるが)、意識的かつ恣意的に境界を設けている。現在人間社会ではボーダレス社会化が進んでいると言われているが、人間を動物集合の要素と捉えればボーダレス化は可能でないように思えるが、人間の特殊性を考えれば不可能でないように思える。

なな    reply

アリが自分のコロニーと他のコロニーの差を臭いで判別する事が興味深かったです。アリは、同一種間で組織的に戦う、動物界では珍しい種族であるという話を聞いた事があります。そういった事にも臭いや排泄が極めて強く関係しているという事が、この分野の重要性を示しているように感じます。

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