ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第6回 10月31日 吉内一浩

食行動の異常を伴う疾患:摂食障害を中心に

食行動異常を伴う疾患の中に、摂食障害がある。摂食障害は、西洋化した社会の方が有病率が高く、文化や社会の影響を受けることが示唆されている。また、日本においても、年々患者数が増加しているという報告があり、女性の罹患率が高く、不妊のリスクとなることから少子化との関連でも重要な問題となっている。代表的な摂食障害は、神経性やせ症(Anorexia Nervosa)、神経性過食症(Bulimia Nervosa)、過食性障害(Binge Eating Disorder)であるが、その病態・症状は、一般的にも医療者にも理解されていない。そこで、本講義では、まず、摂食障害がどのような疾患であるか、という紹介を行い、さらに、社会や文化からの影響、そして、その治療法に関して具体例を交えながら紹介する。

講師紹介

吉内一浩
東京大学医学部附属病院心療内科科長。心身症および摂食障害の専門家。薬物療法だけではなくエビデンスに基づく様々な心理療法を併用した治療を行う。
授業風景

「食」は生命維持に欠かせない営みだが、時に病と関係を持つこともある。2018年10月31日の学術フロンティア講義では医学系研究科の吉内一浩先生を迎え、食にまつわる病気、特に摂食障害を中心に講義していただいた。

吉内先生が専門とする心身症とは、身体疾患のうち、発症や経過にストレスが密接に関係するもののことである(ストレスと病気の関係が解明されてきたのは、実はごく最近のことである)。様々なものがあるが、中でも摂食障害は、身体面と精神面両方に関わる病であり、両面からのケアが必要となる。

摂食障害の実態については、現在でも調査・研究が続けられている。目下の分類については上掲の先生による概要を参照いただきたい(ただし近々新たな名称に変わる可能性があるとのこと)が、講義では世界や日本の様々な統計的データが紹介され、また万引きや違法薬物など犯罪との関連にも言及された。

その後、話題は摂食障害それぞれの診断や症状、治療へと移行した。食事制限のみの状態であれば高確率で回復するが、無茶食いと排出を繰り返す状態では予後が不良になることが多い。栄養不良、また自殺で死に至る場合すらある。ゆえにRからBPに移行する前に治療を行うことが重要だが、摂食障害では往々にして患者本人に(たとえ明らかに治療が必要な状況であっても)病気であるという自覚がないのが難しい点である。授業では様々な合併症も紹介された。低体重の身体は極めて危険な状態に陥るが、体重を戻そうといきなり栄養を与えると死に至る危険すらある。すでに飢餓状態に適応してしまった身体を回復させるのは容易ではない。

最後の内容は摂食障害の治療であった。摂食障害に長期的に効く薬はなく、栄養管理や心理療法(特に認知行動療法、さらにそれを摂食障害に特化させたCBT-E)を併用することになる。実際の症例も紹介されたが、その後のケアも含めて非常に長い時間と根気を必要とするのが現状である。

カーペンターズのカレン、フィギュアスケーターの鈴木明子など、著名人が悩まされたことでも有名になった摂食障害。筆者が大学に入った当時からすでに心理学の授業などで積極的に取り上げられていた。受講者の中にもある程度の知識を持った学生がいたに違いないが、それでも現役の医師からもたらされた最先端の摂食障害研究には新鮮な内容が多かっただろう。摂食障害に自分自身や身の回りの人が陥らないようにするためには、そして陥った時に適切に行動するにはどうすればよいか――それを知る重要な機会になったはずである。

(文・永嶋)

コメント(最新2件 / 34)

m0e0g    reply

一見真逆な神経性痩せ症も過食症も、認知の歪みを伴う同質な病気で体重が違うだけというのは驚きだった。接触制限型の人は認知の歪みが原因で過食も代償行動もとってない上に予後も比較的いいので他の神経性摂食障害とは違うようにも見えた。
縁遠いと思っていた病気だったが、日本でも経済力に関わらず200人に1人おり、AN-BPだと10年以内に2割が亡くなっていること、若年層に多くて骨などへの甚大な影響は成人してからではどうしようもないことなどを踏まえると、もっと若いうちに注意がなされてもいいような取り返しのつかない病気であるように感じた。

tomoko0422    reply

私は今回の講義で初めて心療内科と精神科の違いを知りました。心身症というのは聞いたことはあっても、うつ病などと一緒だと考えていましたし、自分がいかに精神疾患や心身症に対して理解がないか気づきました。誰にでもかかる可能性のあるものだし、もしかしたら自分の身近な人がかかっているかもしれないものだと私は思っていたけれど、自分の無知に驚きました。今回の授業で驚いた話は、摂食障害の人たちがインターネットで情報交換を行っていて、指を口に突っ込むという私の思い描いていた方法ではなく、園芸用のホースで胃洗浄を行っているという話です。その方法が流行していることによって、吐きダコができなくなるので診察してもわからないこともあるという話を聞いて、インターネットのデメリットは医療現場にもあるのだと知りました。

n2018o    reply


面白い講義をありがとうございました。これまで心理の講義をいくつか受けてきて、摂食障害等のストレスと食に関わる病気には興味がありましたので、とても楽しみにしていました。
心療内科に当たるものが日本とドイツにしかないと聞いて驚きました。ストレスや心身症は世界共通なはずなのに、なぜ必要とされないのか不思議に思いました。
心療内科が何を診ているのかということは勘違いしやすいところで、私も、身体の病気を診るということは知っていたのですが、うつ病による身体症状等も診ると思っていたので、勘違いを正すことができてよかったです。
しかしながら、「東北大学病院心療内科」のHPの「ストレス関連疾患」の項目のところに『患者さんは体の症状を心配して、精神科ではなく内科の診察を受けます。例えば頭痛を訴えてやってきた患者さんに頭痛薬を処方したがなかなか良くならない、よく話を聞いたら実はうつ病とわかったりします。このような体の症状を伴う精神疾患のいくつかを、心療内科では治療するのです。』というところがありまして、混乱してしまいました。結局のところうつ病に関連する身体症状は心療内科で見ていただけるのでしょうか。「妄想・幻覚や自傷・他害」は精神科で、そのほかの「器質的ないし機能的障害」は心療内科で診ていただけるということでしょうか。質問の返事をいただくことはできますでしょうか。
バセドウ病の名前は、以前にアイドルがバセドウ病で公演を休演するというニュースで小耳に挟みました。バセドウ病は芸能人には意外と多いという話を聞きますが、患者数自体は30−40万人ほどとのことであまりメジャーでないように思いましたが、心療内科ではそうでもないのでしょうか。
講義の中で、食に関連する病気というので、私は食物アレルギーや摂食障害、かっけや壊血病などの栄養不足に依る病気を想起したのですが、「お腹がいっぱいにならない症状」がはじめに出てきて驚きました。
私は、以前は少食だったのですが、一人暮らしを始めてから一食で米2合を食べてしまうようなことがあって、お腹が膨れて胃が気持ち悪いのに食べてしまいます。これもストレスによるものなのか、と思いました。
摂食障害について、医学的側面から話を聞いたのは初めてでしたので、とても難しかったですが勉強になりました。
新しい自己誘発性嘔吐の方法には衝撃を受けました。園芸用のホースを口から入れると聞いて、胃や食道を傷つけるのではないかと思い、また、胃の洗浄とはどういうことなのか気になり調べて見ました。「チューブ吐き」というのですね。彼女らの書くものを見れば見るほど悲痛で恐ろしく、狂気のようなものを感じました。明らかに健全な精神状態ではないと思わずに入られませんでした。痩せたくても痩せられないことを深刻に捉えて、精神的に追い詰められた末にその手段を取っているようでした。また、やはり胃や食道を傷つけたり、ガンなどの胃や食道の病気を誘発したりするともありました。
その後ダイエットの悩みから過食性嘔吐をしている方々の悩みを打ち明けたサイトを見たのですが、想像もしていなかったような悩み苦しみが告白されていました。男性の私にはダイエットは縁遠い話のように思っておりましたが、それを差し引いても、ダイエットの問題というのは深刻で大事なものだと思わされました。
飢餓状態から急激にカロリー摂取することが危険だという話もとても勉強になりました。思った以上に簡単にカロリー摂取から危機的状況になるのだと知りました。
個人差が大きく治療に時間がかかるストレス関連の疾患への有効な治療マニュアルが提案されたことは素晴らしいと思います。

s100Horn    reply

摂食障害には、神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害の三種類があるそうですが、どの病気についても何らかの形で見聞きしたことがありました。私も自分の体型について悩むことがたまにあるので、自分がとても太っているように感じて辛くなってしまう神経性やせ症になってしまう人の気持ちが特によくわかりました。自己誘発性嘔吐を繰り返す方のエピソードはとても痛ましく感じました。摂食障害は身体だけの問題でも精神だけの問題でもないので、治療が難しいのだと思います。女性では低体重の人の割合が上昇しているそうですが、痩せている人が増えることでより自分の体型にコンプレックスを抱く原因になってしまい、もっと低体重の人が増えるという悪循環になってしまっているのではないかと思います。簡単に改善できる問題ではないと思いますが、健康的な食生活を送ることのできる人が増えて欲しいです。

ilovefood2    reply

摂食障害はしばしば聞く病名ですが、そののとについてほとんど何も知らなかったので、摂食障害に付随する問題も含めて様々なお話をしていただき、ありがたかったです。まず、拒食症や過食症というのが正式名称ではないということが驚きでした。そして、摂食障害患者には女性が多く、治療法が確立しておらず、万引きなど他の犯罪行為とも関連しているということでしたが、摂食障害はその本人だけの問題・病気ではなく、家族を始めとした周囲の人間に影響を受け、周囲の人間に影響を及ぼすものなのだと思いました。

松本剛    reply

これまでの食の講義では、民族、文化に関するものが多かったので、医学に軸を持つ今回の講義は新鮮でした。摂食障害の患者には自分から食べたものを吐く人がいるということが印象的でした。心のケアは体のケアとは違って、個人差が大きかったり特効薬の製造が難しいと思うので、時間がかかるのだと、納得しました。ここまで困難な治療でも、諦めずに解決法を模索する医学関係者には脱帽です。

yokamoto9858    reply

これまで摂食障害については過食症や拒食症などについて漠然とした知識があるだけであったがそれ以外にも意外な疾病が食と関連していると知った。
また摂食障害は現代特有のものでなく江戸時代などにも記録が存在することを知り意外に感じた。

たつき    reply

摂食障害という言葉を聞いたことはあったが、内容や起源については初見だった。また、犯罪との連関のついてはデータも明確で大変驚いた。有名ファッションブランドが、広告で過度に痩せたモデルに、その体型に合う服を着せて売り出すことで消費者に過度に痩せることを目指させている傾向があるように思う。

2754@riben    reply

摂食障害に関しては、教育臨床心理学という授業で社会問題の一つとして学んでいたが、今回の講義として症状として詳しく学ぶことができた。

Umay9002    reply

「美人画」では痩せているというよりもむしろ肉付きが良い女性が描かれているものが多い印象があったので、江戸時代の人々はいわゆる「拒食症」とは無縁だと思っていたが、そうではなかったことに驚いた。また、患者の9割が女性と、男女比が現代と変わらないことはとても興味深いと思った。

nas123    reply

元女子マラソン選手が摂食障害であり万引きをしたという事件から、摂食障害について少し知りたいと思っていたので、今回の授業は非常に良い機会になった。まず、一口に摂食障害といっても、神経性やせ症や神経性過食症、過食性障害など様々な症状があるということを改めて知った。原因がボディイメージへの固執などだということだが、体重管理が徹底していてより少ない体重が求められる長距離選手にとって、こうした原因が深く関わっていたのかもしれないと思った。そして、万引きなどの犯罪に至るケースが多いということで、授業の最後の方に出てきた認知行動療法により再犯を防いでいくことはもとより、「痩せているのが美しい」などといった人々が思い込んでしまうようなイメージを植え付けないように、摂食障害を発症する人がそもそも少なくなるための社会の取り組みが必要だと思った。マラソン選手などといったアスリートにも、栄養学的にも正しくストレスのかからない食事の取り方が普及していくべきだと思った。

ren9muni    reply

心療内科、心身症など聞き慣れない言葉の多い中でも食にまつわる病気の概論的な知識を得ることができた。沢山のデータを見ることでより理解を深められた。

iwa1023    reply

今回の講義では、自分に馴染みのなかった摂食障害について知識を得ることができた。
特に、僕自身は摂食障害が単なる食への欲求によるものだと思い込んで、体型の認知の歪みと結びついている心身症であることは知らなかったので、驚いた。

また、摂食障害による低体重が、体全般におおきな害をもたらすということがよくわかった。摂食障害では、自身が気づかないことが多いのも重大なことである。だから、自分もアンテナを張って、注意しておきたいなと感じた。

tomii1227    reply

私たちが認識している摂食障害の姿や治療法を再認識させられ、新たな知見を得る講義だった。摂食障害の治療や症状は医療従事者にもあまり理解が浸透しておらず、慎重な対応が必要であるとともに、より多くの人に知ってもらうことが必要だと感じた。
治療法は未だに確立されておらず、さらなる研究の必要性を感じた。

ayane0212    reply

摂食障害ということで,若い女性に多い(よくテレビでも若い女性・アスリートの方の特集がされていたりしたのを見た)ということぐらいは知っていたが,「可哀想だな」という感想で終わっていたので,今回の授業は摂食障害における食文化の影響,実際の治療法,疾患の判断基準など,より広範に学ぶ機会となり,大変勉強になった。摂食障害の中でも「拒食症」という言葉のイメージが強く,過度なやせ願望を持った人がかかる病気,というようなイメージは短絡的すぎることを知った。また,摂食障害はそれだけで完結するのではなく,深刻な合併症を引き起こしたり,罹患者と犯罪行為との関わりなど,様々な部分に影響を与えるというのは,驚きだった。自分が思っていたよりも,ずっと大規模な問題であり,治療にも最新の注意が必要だということを認識した。

411haruki    reply

「摂食障害」は近代医学における便宜的な区分とばかり思っていたが、江戸期のように前近代的な時代にもかかる症状がみられたというのは初耳であった。
 医療技術が高度に発達した現在の日本でも、未だ摂食障害に苦しむ者が男女を問わず存在し、骨粗しょう症や無月経との身体合併症、更には犯罪(とりわけ万引き)や自殺といった深刻な事態をもたらす場合もあると知って驚愕した。
 かかる病状に対して、薬物・心理療法のほかに、CBT-Eという、マニュアル化されたいくつかのステージに沿って、患者目線から現状を客観的かつ具体的に把握するシステムがすでに構築されている。
 画期的な取り組みだと感嘆する一方で、これほど精緻に分析を重ねなければ治癒されないほど、摂食障害は多くの問題点を内包している事に気づかされた。また、自身が無意識のうちにマニュアル上の条件をほとんど充足しており、健康のありがたみを改めて実感した。

naga2018    reply

「過食症」や「拒食症」と言った言葉は知っており、なんとなく心理的なストレスなどが原因で食べすぎてしまったり、食べたくなくなるのかな程度に考えていた。しかし、それらの原因は非常に多岐に渡り、また、過食と嘔吐などの排出の繰り返しによって低体重に至る病型もあるというのは非常に衝撃的で意外であった。また、摂食障害の治療はとてもデリケートで難しいものであることが分かり、段階を踏んだ粘り強い継続的な治療が大切なのだなと思った。

Gooner0919    reply

摂食障害の概要は知っているつもりでしたが、生物学的側面での詳しい数値の変動などは初めて聞くことが多くありとても興味深かったです。また、犯罪との関連という視点から摂食障害を考えたこともなかったので、今後自分でも勉強していきたいと思います。

daiki7141    reply

以前に、心理学の講義でも聞いたことがあるが、摂食障害の原因が痩せ型の体型がその人の優秀さを反映しているという欧米的価値観であり、また、自分自身は太っているものの、その価値観に大いに影響されていることを改めて意識する機会となった。一方で、アメリカでは芸能人などはやはり痩せている人が多いが、欧米諸国の中で肥満体型の割合が高く、その事をあまりコンプレックスにしていないように思える。これがアメリカ独自の価値観が存在し、その影響なのかどうか気になった。また、欧米的価値観が移入する前の、例えば平安時代などの日本人は体型などに関してどのような価値観をもっており、どのようにして価値観の変化が起こったのかにも興味を持った。

Saki0204    reply

摂食障害は欧米だけでなく、日本や中国に広まっているということは、やはり食の欧米化や近代の技術革新に影響すると思った。近代の科学技術の進歩により生活が豊かになると、お腹いっぱい食べることは当たり前となり、むしろきれいな体型維持のために気を使うようになることが関わっているのだろう。摂食障害と万引きや麻薬の犯罪に密接な関係があるというのは初めて知る事実であった。摂食障害は様々なことが原因として考えられる厄介な病気である。治療のためにはその人にとって何が原因か正しく見極めることが大事であると学んだ。

bnk258gi    reply

今までの講義は食の中でも食事についてのものが多かったので、摂食障害についての今回の講義は新鮮だった。摂食障害というと拒食症と過食症という名前でしか聞いたことがなかったので、摂食障害に神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害という名前があると知って驚いた。

taku98    reply

心療内科が日本とドイツで発展したもので、心療内科がない国もあるというのは初めて知った。
摂食障害には、拒食だけでなく過食など様々な症状があることが分かった。
摂食障害のように、社会や文化からの影響など様々な原因が複雑に関係して起こる病気に対して、精神的ケアと身体的ケアの両方を行なっていく必要があること、細かく分類された病名を特定するよりも共通の精神的病理に対処していくことが有効であることが分かった。

hoku125    reply

 現在は、ストレスが私たちの健康状態に影響を与えるということが広く認識されているが、30年前はストレスが身体的病気と関わりがあるという考えはあまり受け入れられていなかったという。このように、今常識とされていることが数年後にはひっくり返されていたり、どんどん新たな見解が出てきたりするのだということを感じた。
 また、今回の講義のテーマである摂食障害について、世間一般的な認識と実際の病気の性質は必ずしも一致していないと知った。摂食障害は単に食欲に関係する身体的な病気というわけではなく、心理的な影響が大きい疾患だと吉内先生はお話してくださったが、いまだに薬による治療に頼っている病院もあるそうだ。そうかといって、摂食障害は根本的な治療法はまだ見つかっておらず、心理療法にも改善の余地が大いにあるという。
 今回の講義の中で印象に残ったのは、摂食障害の人の中には万引きに走る人がいるということ、罹患者は女性の割合が高いということ、江戸時代から摂食障害と思われる記述があること(日本昔話の『食わず女房』も摂食障害の記述ではないかと吉内先生はご指摘なさっていた)、などである。また、摂食障害についての正しい知識は医療関係者にも浸透しているとはいいがたいそうだ。例えば、摂食障害の患者さんでは甲状腺ホルモンの分泌が低下することがあるという。これは低体重の影響で代謝が抑制することにより起こるのだが、中には甲状腺ホルモン製剤を処方する医師もいるそうだ。しかし、薬によってホルモン生成を促進すると、ただでさえ低体重で代謝のエネルギーが不足している患者にさらにエネルギーを使わせることになってしまい逆効果だ。どのような職業についているとしても、知識を鵜のみにせずに自分の頭で考える力をつけなくてはならないと感じた。
 最後に、摂食障害の患者さんは体重や食のコントロールが自己評価の主軸となってしまい、他のこと、例えば家族や趣味などが顧みられないという傾向がみられるという。食は日々の生活の中で非常に重要なものであることは私も重々認識しているが、それは食べることを楽しんでこそのものである。誰かと食事を共にすること、時間を共有することは、私たちの生活の中で大きな意味をもつ。摂食障害に陥ってしまうのは、一人で食事をする機会が多いからではないかとも思う。日々一緒に食事をとってくれる家族や友人に感謝しつつ、正しい食生活を送るところから健康な生活を作っていきたい。

becky828    reply

私も中学2年生のころに摂食障害になり、心療内科や内分泌科の病院に加えカウンセラーに通いました。通院しなくてよくなったのはそれから5年後で、とは言え現在も完治したとは言い切れません。未だに肉の脂は取り除くし、揚げ物にも抵抗はあります。でも自分の生活の中で食べ物や体重、体型について考える割合が治っていくにつれて減っていくというのはその通りだと思います。万引きなどの犯罪と摂食障害の合併もあるのには驚きました。以前に新聞で刑務所内での摂食障害患者の治療がとても大変だという記事を読んだのを思い出しました。

fuya0469    reply

これまでの講義において肥満が現在大きな問題となっているという内容のお話がありましたが、摂食障害といった心身症についても深く考えねばならないと思いました。また最近の傾向として様々なダイエットの方法がメディアで取り上げられ、特に女性が健康を害するような方法で理想の体型を目指すといった問題についても目を向けるべきだと思いました。

Keisuke1014    reply

食という生活の根幹に関わるものに関する病気は当然生活に大きな影響をもたらすものだと考えることができるが、摂食障害は食事そのものが正常にできなくなってしまうということで、特に恐ろしいものだと感じた。摂食障害は万引きや自殺などを引き起こし社会的にも影響が出るものであるということがわかった。だからこそ原因が様々にあり誰もがいつかかかりうるものだということが恐ろしいと思った。私自身も中学三年生の時期に食事が喉を通らなくなる時期があった。身体に問題はなく、その証拠に夕食は普通に食べることができたのだが、なぜか朝と昼だけ食べられず、無理に食べると吐き戻してしまうという日々が続いた。精神的なものだとは思ったが、主に当たるようなこともなく原因がわからないままで辛い日々がしばらく続いた。それから少しづつ食べることができるようになり、今では完全に治っているのだがその日々を主に返すと今でも当時の辛い気持ちが蘇ってくる。だからこそ、治療がしっかりとできるように原因の究明や患者へのサポート体制の充実、そして私たち一人一人が摂食障害はという病気を正しく理解し、苦しんでいる人に対して誤った認識に基づく対応をすることが決して内容にするべきだと感じた。

yutoun28    reply

摂食障害について医学的知見からの実践的知識を聞くことができて参考になったが、投薬治療や栄養管理にとどまらず、摂食障害がメンタルの病気でもあることから認知行動療法といった精神面からのアプローチが有効であることは少し意外であり、興味を持つきっかけとなった。臨床の場で認知行動療法の効果に興味が湧き、それが実践されている場面と、患者の容体経過を実際に見てみたいと思うようになった。

kensugawar@food2018    reply

今まで摂食障害について深い知識がなかった自分には得るものの多い講義でした。摂食障害が太りすぎや痩せすぎ、と言った分類ができるようなものでなく、神経性やせ症、神経性過食症、過食性障害のように分かれ、特に神経性過食症は過食ではあるものの自ら嘔吐するため、普通の体重の人もいるというのには驚きました。治療に関しても、心理的なカウンセリングによって容易に治るようなものではなく、むしろ症状によっては有効な治療法が見つからず死に至ることさえあるという事実にも驚きました。摂食障害がここまで深刻な疾患ということはまだあまり知られていないように思うので、一層の啓発活動が求められると思います。

toriimo0817    reply

摂食障害は、身近なようで思ったよりも何も知らない病気だと思います。まずこの講義では、摂食障害が「心身症」のひとつであることを知りました。身体とこころが繋がっていることは実感として分かっていましたが、「発症や経過に心理的要因が深く関わっている身体的な病気」という限定はあるにせよ、それが心身症として医学的に定義されていることは初めて知りました。
また、摂食障害はそういった心身症のひとつである為に、治療にも心理的な要素が多くありました。特に印象に残っているのは「認知行動療法」です。薬物や計算で算出した分の栄養を摂取するような治療法とは異なり、患者が能動的、自立的に行うことができる治療法で、こうした治療が可能なのも摂食障害が心身症であるためだと思いました。一方、摂食障害は心理的要因が大きいために、自分の考え方が変わらない限り完治することはないという点で、治療が他の病気よりも難しそうだとも思います。
ただ、やはり他の病と同様に早期の治療が有効であるということで、身の回りに様子のおかしい人がいたら早めに声をかけることが重要だと改めて感じました。

akanexwx    reply

摂食障害については自分が考えていたのと違うものもあって、認識を改めることが出来た。万引きが摂食障害とつながっているのも意外であった。青少年がコンビニなどで食べ物を盗んでしまうのも一時的な摂食障害なのだろうか。

rakim1099    reply

カーペンターズのボーカルが拒食症だったと聞いていたので、その存在は以前から知っていましたが、専門的な話を聞いたのは今回が初めてだったので面白かったです。また、心療内科が日本とドイツくらいにしかないというのも驚きでした。日本人の性格上、心因性の病気は他国より多そうなイメージがあるので、心療内科が日本にあるのも納得できます。

watson920    reply

摂食障害という、私個人からはとても遠い話題の講義だったが、その分とても興味深いものだと感じた。非常に細かく分かれ、症例ごとに特効薬がない中で、対処療法的治療で個々に寄り添い解決を目指す現場があると知り、素晴らしいと感じた。一方で日本やドイツなどを中心に、科学的なアプローチで体型だった判別法や療法の確立も試みられており、まだまだ深く発展する分野でもあると感じた。

lily722    reply

一口に摂食障害といっても実に様々なタイプがあり、その発症の仕方も治療法も様々であることが分かりました。芸能人やアスリートなど、有名人の摂食障害はメディアでよく報道されていますが、単に不安を煽るような報道の仕方ではなく、治療法などについて正しく詳しい知識が理解できるような報道の仕方をすべきだと思いました。自分もストレスを感じたとき、つい食べすぎてしまったり逆にあまり食べなくなったりするのですが、同時に、食事をとる時間がバラバラになって生活リズムが乱れてしまったりすることもあります。今回の講義では、一日にとるエネルギー量を基準にして病気について見ていたと思うのですが、食事をとる時間なども何かしら関わりがあるのだとしたら知りたいなと思いました。

rika0817    reply

摂食障害が所謂食欲の問題でないということは、中学生の頃に「鏡の中の少女」を読んで知っていた。しかし、この講義で聞かせていただいたお話は、その時に抱いたイメージよりもずっと過酷だった。また、ネットを介して吐き方などの情報が組織的に共有されていることは衝撃だった。
よく、痩せすぎのモデルを起用すべきでないという話があるが、それだけでは解決しないような気がした。世間の美人観が変わる必要はあるかもしれない。日本人女性は本当に痩せている。BMI値22が健康的には理想であってもやや太って見えて、感覚的には20が標準。ネットのダイエット記事の中には標準体重ギリギリの18を目指すなら健康的に問題はないし綺麗にもなれるというような雰囲気があるものもあって病的だと思う。このような風潮はない方がいい。ただし、それだけでは十分ではなくて、個々人が例えば承認されていると感じられるような環境までできないとなかなか摂食障害の根は断てないと思った。
にしても、7000キロカロリーの過剰で1キロなんて、体重は意外と増えない!初めて知りました。そう思うと、おやつが食べたい時に袋の裏のカロリー表示を見比べて、数十キロカロリーの差に執着するのって本当に不毛。食べたいものがあって、美味しく食べられられることが幸せだと思った。

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