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第10回 12月05日 刈間文俊

食の政治学―「鴻門の会」と「飯局」

講師紹介
刈間文俊
総合文化研究科超域文化科学専攻・名誉教授
授業風景

「鴻門の会」といえば『史記』にみえる有名な故事のひとつだが、考えてみると日本において宴会中に命のやり取りをした例はすぐには思い浮かばない。一方で中国には鴻門の会のみならず、会食の場での凄まじいエピソードが数多く伝えられている。どうも日中間では、「宴」というものに対する見方が違うらしい。2018年12月6日の学術フロンティア講義では中国映画を専門とする東大名誉教授・刈間文俊先生をお迎えし、中国における公的な宴会「飯局」について講義していただいた。

序列、権力の上下関係をそのまま表す席次は、中国において大きな意味を持つものである。これは飯局においても例外ではなく(というより最も強く意識される場ですらある)、それは鴻門の会の場面で誰がどこに座ったかの詳しい記述があることからも分かる。講義では2003年の映画『鄧小平』(丁蔭楠監督)の冒頭を例に、モノや人物の配置によって権力構造を描き出す様を見た。

飯局には当の中国人(厳密には漢民族)ですら覚えきれないほどの細かな規定があり、参加者はそれらに完璧に従い、自身の立場を弁えそれに相応しく振舞うことが求められる。そして抜かりがあれば、文字通り命にかかわる事態を招く。中国において宴会とは古来より、権謀術数が張り巡らされた上に設けられた、罠だらけの危険な場だったのだ。現在でも中国の官僚にとって飯局は、主人側でも(招く側の悩みを描いた話劇『飯・局』も紹介された)客側でも一瞬たりとも気を抜けない命がけのイベントなのである。

もちろん、この状況に対する中国人自身による批判もある。その例として講義では『中国文化の深層構造』の著者である孫隆基の考察が取り上げられ、またアン・リーとして知られる映画監督・李安による1993年の作品『ウェディング・バンケット』も、飯局をどたばた喜劇的に描いた中に、中国文化の抑圧性への批判的なまなざしを込めた秀作として紹介された。

講義では時事的な問題にも言及された。2018年12月1日ブエノスアイレスにて行われたトランプ大統領と習主席の会談は、まさしく現代版「鴻門の会」である。ここで誰が劉邦、あるいは項羽となるのか――それは今のところ誰にもわからないのであるが、世界中の食卓に影響するこの会談の後の世界情勢から、いよいよ目が離せない。

公の宴会、それもレベルの高いものとなれば厳しいルールがあるのはイメージとして理解できるが、これほどシビアなものと想像していた(日本人)受講生はいなかったに違いない。出された料理や酒が極上のものであっても味など分からなくなりそうな飯局のありさまに、非人間的という感想を抱いた人さえいたかもしれない。

しかしここで思い出すべきは、講義の冒頭で刈間先生の言われた「今目の前にあることが合理的である」という考え方であろう。先生が頻繁に引き合いに出したのは中国の官僚制だ。始皇帝の時代からの伝統に支えられたそれは、完璧なまでにシステマティックに機能し、例えば公文書紛失などという失態は決して犯さない。色々な点で批判もあるが、強固な官僚制があったからこそ、上層部に激しい混乱が起きても中国は国としての形を保って来たのである。どれほど不可解に見えるものであっても、そこには何らかの経緯・理由があり、一面で合理的なのだ。もちろんこれは現状を過剰に正当化し、批判を抑圧する方向に転化する考え方かもしれない。しかし筆者は、異文化・他者に対し敬意をもって接せよという意味に解しておきたい。長年中国の様々なレベルの人と渡り合ってきた先生だからこそ発することのできるメッセージでもあろう。

講義には刈間先生と関係の深い留学生たちも多く聴講に訪れ、常ならぬ賑わいをみせていた。文字化するのがはばかられるほどのスリリングな話題も豊富だった先生の講義は、色々な意味で受講生を刺激したに違いないのである。

(文・永嶋)

コメント(最新2件 / 31)

tomoko0422    reply

高校で鴻門の会を習った時は意味もよくわからずエピソードだけを記憶していましたが、実際に中国の宴会は危険で殺伐としたものであるという今回の話を聞いて、やっと意味を見出せました。この先自分がどういう職業や立場に就くか分かりませんが、中国の宴会に招待されるという場面はかなりの確率でありそうなので、今回のテーブルマナーの話は本当に興味深かったです。長い伝統を持つ国だからこそ現代まで続く苦労があるのだと知りましたし、座る席にも細かい意味があり、歴史に残るような有名な会談の裏では、一見宴会を楽しんでいるように見えつつも様々な駆け引きが行われているのだと思うと、これからニュースを見る目が変わってくると思いました。また、日本では最近「アルハラ」「パワハラ」と主張され始めていますが、中国では勧められた酒は断ってはならないといったマナーがネット上などで疑問視されてないのかと思いました。ツイッターなどSNSを見るとこういったことはすぐ問題視されて炎上しますが、そういうのを見ると今までは日本もまだまだハラスメントがはびこっていると感じていました。しかし、まだ問題視されているだけ幾分か見直されてきているのだという見方もできるようになりました。さらに、日本では食事中に政敵を殺すということは神道の点から馴染まないというお話も納得させられました。前に私は中国・朝鮮史ではよく毒殺を聞くのに、日本史では毒殺はあまり聞かないのを疑問に思ったことがあったのですが、そのことも関係しているのかもしれません。この講義の終盤に、孫隆基の「中国人の性意識の深層構造」という論文を読みましたが、きちんと全部読むと本当に面白くて続きが読みたくなりました。エディプスコンプレックスについては別授業で習ったのですが、性的自我が体制への自立に繋がり、ひいてはアイデンティティ確立に不可欠であるというこの意見にはとても納得させられました。これは昨今批判されている日本の性教育の不十分さなどにも同じような問題が見られると思います。わたしは、生物の本能的なものであるにも関わらず性的なものを一種の悪と考える風潮には以前から疑問に思っていたのですが、それはこうした文化的背景にも一因があるのではないかと考えました。

ilovefood2    reply

中国において、宴席での席次や車の車種・ナンバープレートなど、立ち位置を可視化するシステムが成立しているのが面白いと思いました。また、中国の宴席でのマナーや対中国交渉などについて実体験を絡めてお話ししてくださったので、中国のシステムについてより深く学ぶことができました。

m0e0g    reply

中国では公用車から官僚がその日の会合での自分の立ち位置を探るなど、人との関係性や立場の上下がとても大切で、その権力構造が食事の場にも影響を及ぼしていることが、飯局の例からわかった。罠があるかもしれないし、マナーも非常に多いし、アルハラもあるしで誰が好き好んでやるんだろうかと思った。普通に政治的な会合を開けば効率的だと感じたが、それはやはり現実にあるものこそが効率的だという考え方に従って伝統を保持しているのだろうか。

ren9muni    reply

多くの動画資料を見ることができ、直感的に中国のおける飯局や席次の重要性を知ることができた。歴史的事項である「鴻門の会」は(比喩的にせよ)現代にも見られる点が興味深かった。

tomii1227    reply

中国の食事作法は文化だけでなく、政治や歴史にも結びついていることを初めて知った。
また、日本は身分や上下関係などが比較的重んじられる国であるとはよく言われるが、中国はそれとは比にもならないくらいで、古くから歴史として脈々と権威主義が受け継がれ、それが今なお続いている。それは作法や順序という形式的なものであっても徹底的に守られており、すでに強固な慣習が生み出され、権力層から民衆まで波及し大きな影響力を持つことを感じた。
今日においてもその権威主義は影響力が絶大で、中国全体の秩序から一つの家族という小さな単位の秩序まで浸透することに驚いた。

Keisuke1014    reply

政治の世界では食事会でも気を張っていなければならないと言うのはとても大変だと思った。しかし、なんらかの交渉の際にはそういった最低限の習慣を把握している必要があるということも感じた。それは中国の話に限ったことではないと思う。外国にはそれぞれの国で会食のマナーや風習が独自に存在すると思うし、日本でも会食の時に普段はなかなかゆっくり話せない相手と会話をすることによって親交を深めるということがあるのだろうと思う。そういう時にマナーを守れないと場がしらけてしまうということもあるだろう。会食の前にはその会食がどの場所で、どのような目的で行われているのかを意識して最低限のマナーを学ばなければ外国で恥をかいてしまうことになりかねないので気をつけたいと思った。

Saki0204    reply

日本でも食事会の席順は重要であると考えられているが、それ以上に中国では円卓の並びを大事に考えているということがとても印象的であった。鴻門の会にも表れているように、中国は昔から食事の席を大切にしており、命懸けで交渉をする歴史があることがわかった。それぞれ国ごとに文化やマナーが異なるので、外国で交渉を行う際はその国のマナーをきちんと学ぶことがとても重要であると感じた。

s100Horn    reply

中国において、正式な食事の場でのルールがどれだけ大切であるかがよくわかりました。お酒の飲み方や食事をとる順番、食べるものなども細かく決まっていて、間違えることは断じて許されないというのは、食事は楽しむものではないという考えが如実に表れていると思います。私個人としては命懸けで気を張り詰めて食事をするというのはもったいないと感じてしまいますが、伝統的な文化である以上、現地へ行く時にはきちんとルールをわきまえて、その伝統を守っていくことも大切なことであると思いました。

hoku125    reply

 刈間先生のお話の中で、この社会である物事が起きているとしたら、そしてそれがある程度の期間維持されているとしたら、どんなに不合理に思えることであってもかならずその背後には合理性があるのだという言葉が印象的だった。例として、日本と中国のスイカの大きさの違いを挙げておられた。中国のスイカが日本のものと比べて格段に小さかったら、種類が違うのではないかと考えがちだが、そうではなくてその背後にある、「小さい方が運搬しやすく、しかも成長も早い」という合理性に気づいたという。異文化を体験する際には、ただ単純に自分が慣れ親しんだ文化との違いを見つけて比較するということだけではなく、さらに一歩進んでその違いの背景に何があるのかを考えるということによってより面白い経験となるのだと感じた。
 また、中国では昔から宴席は食事を楽しむ場というより政治の場という意味合いが強く、宴席で敵を暗殺するという日本の文化には見られない行為も起こっていたそうだ。その代表例が鴻門の会だが、中国では現代の社会情勢を語る際にも鴻門の会が持ち出されることがよくあるという。中国においては、一度起こったことをまた繰り返すという人間の歴史の性質がよく理解されているのではないかと感じた。
 日本には多くの中国人が住んでおり、毎年多くの観光客が中国から日本を訪れている。しかし、日本人の多くは中国の文化についてあまり知らない。お互いに対等な立場で良好な関係を築くためには、まずお互いのことをよく知らなければいけないということを改めて感じた。

ayane0212    reply

中国という国にあまり馴染みがなかったので、今回の授業はかなり難しかったが、映像などを見て視覚的に興味深い構成だった。

kyomasu0616    reply

中国では、会食の場における「序列」が非常に大切であることがわかった。中国は儒教文化であり、礼節を食事の場でも守る大切さを感じた。中国には4000年の歴史がある中華料理があり、医食同源という言葉もあったりと食に関する文化も豊富であったりするので、考察を深めていきたい。

nas123    reply

中国の宴席での細かな掟やその厳しさについてのみならず、先生が直接公文書を書かれたことなどの貴重なお話を聞くことができて非常に面白く、勉強になった。食事をするときが交渉などをする際に一番適しているとは聞いたことがあるが、中国ではそれが独特かつ極端に発展していったのだなと思った。偉い人がどこに座るかといったことなどという問題は日本でもよく扱われて、それを面倒そうだなとは思っていたが、中国ではそんなことは言っていられず遵守しなければならず大変そうだと思う。しかし、今後様々な機会で中国人と関わる機会も増え、食事会等をするときに相手の文化を知っておくことは大切なので、今回の授業を通じて少し学ぶことができたのでよかった。

fuya0469    reply

食事の重要性について政治的観点から考えることが非常に新鮮でした。一般民衆における精神衛生のメリットのみならず、国家単位においても重要な役割を果たしたことは「食」の大きな可能性を示していると考えます。「食」が国際的交流においても重要なものであると思います。

yokamoto9858    reply

日本史上の重要な事件で宴席において起こったものがほとんどない一方で中国の政治的、社会的な事件は宴席で起こるものが多いという点からも日本と中国における宴会の位置付けの違いが明白だと感じた。
両国における差異が生じた歴史的な経緯についても興味が湧いた。

2754@riben    reply

食という視点から中国に関してみる視点が興味深かった。
刈間先生ご自身の体験もとても面白かった。
中国でのビジネスに興味がある身としてはマナーなどの教科書が欲しいなと思いました。

lily722    reply

中学校の家庭科の授業で、食事は栄養を取るだけでなく精神的な充足を得たり家族団欒の場でもあるという話を聞いてなるほどな、と思ったことがあるが、今回の講義ではそれをはるかに超えて政治的な場面でも重要な役割を持つということが分かった。
高校の漢文の授業で習った文章から、つい最近の米中首脳会談の話まで、様々な話を通して中国の政治と食について知ることができてとても興味深かった。
まさに命がけという言葉がふさわしい、数々のルールには驚かされた。具体的には、酒の誘いは原則断れない、酒は飲んでも素面と同じ状態で居られるまででないといけない、などである。
他の国の、政治と食の文化についても学んでみたいと思った。

yutoun28    reply

映画を通して古代中国の情勢を学ぶ授業で苅間教授のお話を聞いたことがあったが、歴史的観点から食を捉える講義はこれが初めてであり、非常に新鮮であった。鴻門の会の逸話は高校時代に勉強したことがあったが、食に注目したことがなかったために、古代中国における食の位置付けを考えることは、現代の私たちの食事を相対的に捉え直す助けになったと思い、非常に興味深かった。

taku98    reply

中国は序列を非常に重視する文化で、公的な宴会について厳格なしきたりがあり、歴史的にも宴会は謀略の場であり緊張感を持って行われてきたことが分かった。「鴻門の会」や「酒を煮て英雄を論ず」のエピソードは知っていたが、その背後にある文化までは思い至らなかったので、講義によって知見を広げることができて良かった。
講義で紹介された「ウェディング・バンケット」のように、抑圧的な文化の反動で羽目を外す時は非常に激しくなるのが面白かった。

Umay9002    reply

食事会に人生がかかっているということは今まで考えたこともなく、「飯局」という言葉も初めて知り、興味深くお話を拝聴した。
先生の語り口が軽妙ですぐに話に引き込まれ、時折冗談なのか本当なのかわからない裏話を挟んでおられたのが印象的だった。中華料理のテーブルマナーについて、日本人は間違っている人が多いとおっしゃっていたが、自分もその一人であったことがわかり、恥ずかしく思うと同時に、中国の方と中華料理を食べる時に今回得た知識を生かしたいと思った。

iwa1023    reply

今回は飯局についての授業であった。先生は中国の映画を専門としながらも、実際に中国の宴会を経験したことがあるため、教授の経験と映画研究を絡めた話を聞くことができ大変面白かった。

僕自身は、鴻門の会のように、歴史的に宴会が重要な意義を持つことはないと考えていたが、実際にはそうではないことを知って大変驚いた。

また、食とは関係のない部分ではあるが、中国が礼儀を重んじる国であると言われる本当の意味が感じ取れたような気がした。官僚制が古くからあるがゆえに、整備が日本とは比べ物にならないほど進んでおり、席次や公用車、マナーにまでマニュアルや画一性が求められるようになったのは中国の官僚制の歴史の深さを感じさせるようだった。

daiki7141    reply

今回の講義は、題名だけを見たときに一体何の話をするのか想像がつかなかったが、食が政治などの場でも重要視されているということを再認識する機会となった。政治とは離れた例になるが、部活の新歓などでもよく食事が用いられるのは、食のもつ、人々をつなぐ役割が大きいと思った。政治などの国際的な場になると、食によってそれぞれの地域の文化をも理解することができるのだと感じた。

Gooner0919    reply

鴻門の会の話は知っていましたが、中国における宴席がここまで重視されていることは知らず、勉強になりました。命がけ、という言葉は最初は大げさに聞こえましたが、政界、経済界における宴席の成功や失敗の影響を考えると過言ではないのだな、と感じました。

n2018o    reply

お忙しい中講義に来て下さりありがとうございました。他では聞くことの出来ない興味深いお話をたくさん聞くことが出来ました。
公務員と一口に言っても、日本では安定した職業だと言われており、親を安心させることができる職業ではありますが、中国では一転して厳しさや緊張感を常に持ち、親の期待を背負う職業と、全く変わった相貌になるのだなと驚きました。
高度で強かな外交取引の一部も聞くことが出来て良かったです。
中国の宴会、飯局がここまで政治的で、厳格に定められており、そして人生や命まで取られかねないものだというのは驚きました。私たちが普段行うような、仲を深めるために酔っ払い、わけも分からず喋るようなものとは別物ですね。
先生の厳かな口調からも、その大変さ、辛さが伝わってきました。
宴会では酔うことも無く、間違うことも無く、自分の首を常に意識して、役人仕事は全てが記録に残っている。知っているようで分かっていなかった、歴史ある大国中国の一面を知って、見方が変わったように思いました。
また、「食」についても、人を結びつける生産・消費的な働き以外の働きについて知ることが出来て良かったです。
ありがとうございました。

naga2018    reply

政治的な交渉の場などとして、食事会が果たす役割、その命懸けの駆け引きがとても興味深かった。たかが数人が集まって食事をするだけではあるが、そこにいくつもの作法、主人の思い、出席者の思惑など、非常に複雑で様々なものが絡み合った「飯局」というものの世界を知れてとても良かった。

kensugawar@gmail.com    reply

中国の会食の場での政治のあり方、非常に面白かったです。中国では会食において食事の品目、順番、提供のタイミング、手をつけるタイミングといった全ての事柄が合理的理由を持って規定されているということでした。日本では講義で紹介されたほどの厳しさを持った食事会は存在しないように思うし、特に飲酒についてはアルコールハラスメントが社会で糾弾されるようになって以降食事の場での飲酒を強要するようなルールはほとんどなくなりました。その結果、食事も接待の場、すなわち政治交渉を進める場として使われることは少なくなっているのではないでしょうか。しかし、中国での、政治の動く会食=「飯局」のあり方は独特に過ぎるようにも感じます。しかし、「飯局」と同じく政治を動かすためにセッティングされた食事の場で、同様に多くの食事条の規定を持つようなものは、中国以外の国にも多く見られることでしょうか?ヨーロッパの国々では晩餐会と称したものが代わりを務めている歴史があるため、そちらにも政治的役割があるはずだと思います。この東西での食事会の持つ意味の違いが理解できると、政治の様子を見るのは一層楽しくなるのだろうか、と考えました。

toriimo0817    reply

「鴻門の会」は、高校時代に漢文の授業で読んだのを思い出して懐かしかったです。当時の授業で、先生が登場人物の席次についてかなり拘って教えてくれましたが、今回の講義でそれが重要なこと出会ったのだということをようやく理解できた気がします。中国では政治に関連する人々の間で様々な厳しいしきたりがあることはなんとなく知っていましたが、食事の場面も重要な政治の一場面なのだということが分かりました。それが「鴻門の会」の時代から変わらず受け継がれているということで、中国の政治の長い歴史に改めて感動しました。
中国では商談の場では酒に強くないと信頼を得られないと聞いたことがありますが、今の日本で同様のことを言ったら問題になりそうだと思いました。中国ではそのような社会の変化などないのでしょうか。

watson920    reply

随分前から楽しみにしていた授業だった。実際に、素晴らしく興味深い話を聞けた。中国という歴史ある大帝国の、官僚組織やテーブルマナーにいたるまで、映画が専門のはずなのに中国という社会・国家自体に精通した授業だった。外交に興味を持つものとして、中国という社会の性質(すべて書体など文書作法を決めている点など)を、東京大学の対中国の窓口を一手に引き上蹴ていた方からの話は大変興味深かった。
(コメントが大変遅れ申し訳ありません。)

akanexwx    reply

政治的な交渉の場として飯局が果たしている役割はとても面白かったです。お酒に酔うと(お酒が出ただけでも)命に危険が及ぶという意識は中国の歴史がそうさせたものだと思いました。相手の陣地に行けばそちらが主人であり、出す料理や手順、それからお客の方でも主人が箸を動かすまで食べてはいけないというのが非常に印象に残りました。世界に出たときに恥ないようにも箸を動かすタイミングは心得ようと思いました。

yariika26    reply

すべての物事は合理的であるから存在している、という一貫した考えのもと、理路整然となされるお話に釘付けっぱなしでした。特に、中国の会食「飯局」は役人にとって命がけで、守らなければいけないテーブルマナーが数多くあり、そこでの行動が政治的な意味を持つという内容が印象的でした。中国では常識のことでも、日本ではほぼ浸透していないことに驚きました。さらに、席次などによって権力関係が明示されたり、公文書が正確に保管されていたりと、始皇帝から続く完全に統一されたシステムで動く中国の政治的な側面に興味を持ちました。公的な場でしらふで飲めるまでが"飲める"量だというのが自分にとって新しかったです。ウェディング・バンケットの示唆する内容がとても難しかったです。

rika0817    reply

食が人と人との関係性を構築することに一役買うことはこれまでの講義でも触れられてはいましたが、どちらかといえば友好的な話で、戦闘的な話は新鮮でした。
鴻門の会で樊噲が二斗の酒を飲むシーンがあり、高校生の頃は何故このようなシーンが樊噲の豪傑ぶりを表すのかよく分からなかったのですが、今回の講義で分かりました。
中国の宴の作法を学ぶべきということは私も納得しました。それが相手への礼儀であるとともに自分にとっての護身でもあると講義を通して分かりました。
映画を見ながら、徹底的に序列化された社会の中で、宴の中でも完全に身体を関係性の中で統御していないといけない感じを受けて非常に生きづらそうだと思いました。それが数百年ではなく、数千年の重みを持っているから凄まじいと思います。一方で、その数千年と対峙して、自己反省を行おうと言う強靭さに感嘆します。(映画論を取らなかったことを後悔しました。)

mmm2018    reply

中国において宴会の席ではルールやマナーが極めて重要であり、そこでの振る舞いが政治的な意味をも持つというのはなんとなく知ってはいたものの想像以上の厳格さに驚いた。このような習慣は煩わしくも感じたが、存在する以上は合理的な理由があるのだというお話には納得させられた。
食の役割として中国の宴席のような、互いを牽制し合う戦いとも言える役割もあるというのは面白いと思った。

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