ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

南京大学集中講義
(南京大学生対象)
2014年度「排泄」

2016.Mar.08

概要

生の営みの中で、欠かすことのできないものの一つとしての「排泄」。食物の摂取と並んで個体を他者に向かって否応なしに開くこの契機は、「自律」を旨とする近代的人間の理念の枠組みのなかでは二次的な地位に追いやられていた。こうした主要な活動の意図されざる/望まれざる副産物の産出が表だって問題にされてこなかった背景には更に、その自然性の認識がある。すなわちそれは「自然に任せることで」「自然に」解決するはずのものと考えられてきたのだが、今日われわれは、その自然性がさまざまな水準で揺るがされる事態に直面しているように思われる。そもそも人間 がその「自律的」な存在に達する前後の時期に、一定の――「自然」な――仕方で解決されるはずであったこの問題は、現代においては「発達障害」や「介護」といった異なった文脈に組み込まれて提起されている。またマクロな水準に目を転じてみれば、人間の活動から生まれる排出物の問題が――二酸化炭素やゴミ、さらには核廃棄物にいたるまで――現代ほど真剣に問われた時はなかった。これらの問いは、しかし同時に、人間の「自然」と「理念」を根底から考え直すようわれわれに迫っている。以上のような観点から、本講義では狭義の「排泄」から出発しつつ、さまざまな水準と場面における排出や排除の問題を通覧することで、近代的な人間観を問いに附すための視座を提供することをめざす。

日程
3/2 3 4 5 6 7 8
  原和之   古米弘明  
9 10 11 12 13 14 15
  ジョン・オデイ   横尾英史  
  第1班学生派遣週  
16 17 18 19 20 21 22
  田中知   渡邉正男  
  第2班学生派遣週  
23 24 25 26 27 28 29
      森山工  

 

【注意】この授業は、開講日の都合上成績が進級・進学要件に反映されないことがあるので、履修にあたっては十分に注意すること。

本講義は、海外の大学で駒場の授業を現地の学生とともに受講し、共同研究を行う新しい自由研究ゼミナールです。東大の教員によるオムニバス形式の集中講義として、2014年3月に中国の南京大学で開講されます。履修者は、この集中講義に1週間参加し、午前中は講義、午後は南京大生との共同研究を行います。

なお、派遣前に駒場キャンパスで開かれるプレ講演『排泄』に参加し、インターネット中継によって、南京大生との討論を行い、レポートを提出することが必須となります。学部生から大学院生まで、学年を問わず参加を歓迎し、国際交流とあわせて、東大内部の縦の交流を進めることを目的としています。 

単位登録についての説明は、ガイダンスで行いますので、学部学生の履修希望者は、必ずガイダンスに出席して下さい。

ガイダンス
 日程:10月23日(水) 18:10~
 場所:1号館101教室

選抜され、単位を登録した学生は、12月に行うプレ講演『排泄』に必ず参加し、当日課すレポートを提出して下さい。大学院生の履修希望者は、プレ講演『排泄』より参加し、同様にレポートを提出して下さい。大学院生の選抜はプレ講演レポートで行います。

 前期課程:全学自由研究ゼミナール/後期課程:表象文化論特殊研究演習III
 受講人数:学部生、大学院生あわせて20名
 開講場所:プレ講演は駒場情報教育棟、集中講義は南京大学
 開講期間:プレ講演の開催日はLAPホームページを参照のこと。集中講義は2014年3月9 日~23日に、2班に分けて1週間ずつ派遣する予定。
 参加費用:旅費及び滞在費について、一部学生負担とする。負担額等を含む南京大学での集中講義の概要についてはガイダンスで説明する。

ガイダンスで配布した履修方法に関する説明はこちら

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