ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第6回 11月04日 高橋哲哉

コロナ禍のなかの沖縄 ―― 「犠牲のシステム」をめぐって

新型コロナウィルスによるパンデミックの影響は、地域、階層、年齢、職業等により、一様でないことが知られている。日米安保体制という「犠牲のシステム」のもとに置かれた沖縄では、パンデミックの脅威でさえも「構造的差別」の影を帯びて現われる。歴史と現状の両面から、何が問題なのかの基本を押さえておきたい。

講師紹介

高橋哲哉
総合文化研究科・教養学部教授。1956年生まれ。専攻は哲学。授業では、社会哲学、現代思想、表象文化論、人間の安全保障などの科目を担当。今回のテーマに関連する著書としては、『国家と犠牲』、『犠牲のシステム 福島・沖縄』、『沖縄の米軍基地 「県外移設」を考える』などがある。
授業風景

2020年度第5回学術フロンティア講義では、11月4日に総合文化研究科・教養学部教授の高橋哲哉先生にご登壇いただき、学者の立場から今まで関わってきた沖縄についてご講演いただいた。

現代フランス思想をベースにして、日本および国際社会について論じて来た高橋先生、その中で米日問題から沖縄についても論じるようになった。沖縄の問題は人間の安全保障という概念と深い関わりがあり、複数の著書でもその文脈から沖縄を論じている。特に、沖縄について論じる上で高橋先生は「犠牲のシステム」という言葉を用いている。『或る者(たち)の利益が、他の者(たち)の生活(生命、健康、日常、財産、尊厳、希望、等々)を犠牲にして生み出され、維持される。犠牲にする者の利益は、犠牲にされるものの犠牲なしには生み出されないし、維持されない。この犠牲は、通常、隠されているか、共同体(国家、国民、社会、企業等)にとっての「尊い犠牲」として美化され、正当化されている。』犠牲というものがシステムと呼べるような機能的な形で強いられ続けることを指摘している言葉だ。

日米安保体制は沖縄を犠牲としてのみ存続し得ている「犠牲のシステム」であると言えるだろう。

高橋先生が沖縄を論じている理由とその概略について説明ののちに、そもそもの「沖縄」を知るべく、戦後沖縄の変遷から確認した。太平洋戦争末期、1945年に沖縄にアメリカ軍が上陸し、沖縄戦という凄惨な戦いが勃発した。沖縄戦は6月23日に終結したとされている。その後、アメリカ軍が占拠したままの戦後すぐの沖縄について、吉田茂内閣のもとで昭和天皇からメッセージが送られていた。内容は、「沖縄の米軍をそのまま駐留させてほしい」というものだった。戦後すぐの日本では、国防をアメリカ軍に頼らざるを得ないことによるものだったのだろう。こうして沖縄に米軍基地がある現状が作られることになる。

1951年のサンフランシスコ講和条約や日米安保条約が承認された後も、沖縄は日本の外に置かれ、米軍は駐留し続けた。1971年に沖縄返還協定が結ばれ、ようやく沖縄は日本の国土として返還される事になる。その時、沖縄の主席を担当していた屋良主席は「復帰措置に関する建議書」をもって、米軍基地の撤退を含めた沖縄の人たちが望んでいる形で返還して欲しいと中央政府に働きかけた。しかし、その甲斐なく返還協定はすでに結ばれており、建議書が効果を発揮することはなかったとされている。結果として返還後も米軍基地は沖縄に残り続けている。しかも、本土の米軍基地が整理・統合されることで土地面積を縮小しているにもかかわらず、沖縄の米軍が保有する面積は減らず、結果として国土の1%もないはずの沖縄に米軍基地の面積でも、駐日米軍兵士の構成比でも、70%以上が集中しているという自体になっている。割合で言えば返還後の方がむしろ沖縄の負担は大きくなっているのだ。1995年に米軍兵士のレイプ事件をきっかけに県民総大会が行われるなどあったが、現状としては大きな変化がなく今日に至っている。

こうして日米安保体制のもとで、沖縄が長らく日本の外におかれたり、沖縄の人たちの意思に反した返還が行われるなどが起こっていたのだ。

こうした背景を踏まえて新型コロナウイルスが拡大してからの沖縄を見てみよう。沖縄の感染者数は第一波と呼ばれる2月から4月にも増加しているが、5月以降は長らく1人も感染者が出ない時期が続いた。しかし、7月に入ると急激に感染者数が増え、9月に一度落ち着いたものの10月以降は感染者数が増え続け、10月初めから講義が行われた11月4日まで10万人に対する感染者数が日本全国で一番高い状態が続いている。

高橋先生は、地方新聞である琉球新報の一面の内容がどのように変化したかに注目した。

4月9日付の新聞で来県の自粛について、4月21日には緊急事態宣言に合わせて特別警戒県に指定されたことが報道されていた。

そして、7月、県内二人が感染したというニュースに合わせて普天間基地軍属から5人感染したという情報が一面に掲載された。7月10日にはハンセン基地で複数人感染したが、米軍は詳細な情報を非公表にしており、県が感染情報開示を要請しているというニュースが掲載された。そしてその二日後、ハンセンの感染者数が61人に登ることが明らかになった。海兵内でクラスターが発生しているようだが、詳しい情報が米軍から出てこない状態がその後数日に渡って続いている。15日に20人が基地外に行動歴が残っていること、その翌日には米兵の感染が136人まで膨れ上がっていることが判明した。沖縄県は米国からの移動中止を要請し、新聞社は在韓米軍は感染者数を公表している事実を伝え、早期公表を訴えている。県民もgo toトラベルなどで県外由来の感染拡大が疑われている中、米軍基地内で爆発的な感染拡大が裏で起こっていたことが判明し、強い不安と不信感が芽生えた。

そして8月20日付の琉球新報に衝撃的な情報が掲載された。空母や軍艦内で発生した感染者を沖縄に移送する案が米軍内で浮上していたという情報である。グアム島が緊急事態宣言のために受け入れが困難である事に加え、立地する基地の規模的にもアメリカ軍が感染者を取りまとめる上で沖縄が最適だったからである。諸々の事情で最終的にグアムへの移送になったが、このニュースはセンセーショナルな形で発信され、沖縄では大きな議論になった。

このような状況になっているのもそもそも他の父権とは比べ物にならない負担を沖縄が背負っているからだ。その根底にあるのは、1961年の日米地位協定によるものである。日米地位協定第9条によって今もなお、治外法権的な米軍の駐在は正当化されている。米軍に日本の法律が適応されないために、最大の感染者数を出しているアメリカからやってくる米軍たちをパスポートでの管理もなしで出入りを許さざるをえない状況である。結果として、沖縄県は米国からの移動中止を「要請」することしかできず、実際に何人の米軍兵士が駐在しているのかも正確に把握することはできていない。

そこで沖縄県は、他国で米国軍が駐留している国々の地位協定を独自に調査している。本当だったら外務省が取りまとめなくてはいけないことを沖縄県がやっているのだ。調べてみると日本のように治外法権的な状態の地位協定を結んでいる国はなかった。それぞれの国が憲法に定めたり、法律を作るなどして駐在国の法律が適用される形で米軍は駐在していた。

日米安保体制についての姿勢も全く違っている。本土では日米関係を現状のまま維持する事について、7割から8割が賛成するのに対して、沖縄では1割しかおらず、多くの沖縄県民は日米地位協定を改正し、平和条約化するべきだと考えている。外交的な憂慮から、地位協定の運用面の改善にとどまる日本政府の外交と、沖縄に住む人たちの思いは大きく乖離していると言わざるをえない。

コロナを通して、「変わったもの」ではなく、「変わらなかったもの」を考えよう。第四回の「〈コロナ的還元〉から見えてくるもの」にて鈴木泉先生が取られたアプローチだ。今回の高橋先生の話も、コロナで沖縄がどう「変わったのか」ではない。むしろ、コロナで浮き彫りになった沖縄の「変わらなかったもの」である。だから、今までの沖縄の歴史が重要なのであり、その沖縄の経緯がダイレクトに沖縄と日米の国際関係、そして新型コロナウイルスをつなげているのだ。ここで、その繋がりが実際にはコロナウイルスへの脅威や近隣の米軍基地内状況がわからないことからくる、沖縄に住んでいる人、一人一人が今まさに抱える不安こそが根底にあることを強調しておきたい。

(文責:岩永淳志)

コメント(最新2件 / 28)

1k_neru    reply

このような災禍において特定の地域が犠牲になる、行ってしまえば「切り捨てられる」とも捉えられるような行政の行い方はやはり許されるものではないなと感じました。アメリカとの国交関係については詳しいことはわからないのですが、それについて今まで割を食ってきたのはいつも沖縄だったと思います。コロナ禍では自分の生活変化についていくのが精一杯で他の地域にまで目を向けることが出来ていなかったなと思います。本土で感染が一段落したあたりから沖縄での感染者数割合が増え始めたのは気が緩んで観光に出かける人が増えてしまったこともあるかと思います。ただ、こちらが緊急事態宣言やら外出自粛を訴えている中でも米軍基地関係者は簡単に国外まで移動できたという状況はやはり安全性を大きく欠き、政府によって制限されるべき事例だったと思います。我々も、対米関係は人ごとでなく、また今まで人ごとにしてきたから沖縄にしわ寄せが行っているのだという事実を忘れずに政治参加していくべきだなと感じました。

mermaid592229    reply

沖縄でのコロナの詳しい状況や事情について詳しく知ることができ、大変参考になった。
沖縄の基地問題は、何か事件や今回のコロナウイルスのような出来事が起きるたびに問題になり、沖縄の知事が改正を訴えているにもかかわらず、政府は相手にせずに軽く流されてしまう様子を何度も見てきた。日本が建前上は軍を持たない国であり、また日本にとって米国との関係維持は非常に重要な問題であるということが関係しているのであろうが、やはり改めて現状を捉え直して、また諸外国での協定との差異を実感して、このまま放置されるべき問題ではないと強く感じた。私個人の考えや行動によって何か変えることのできるような問題ではないが、普段自分たちには見えづらい問題であるからこそ、世論を動かす1人としてきちんと法の現状や改正について考えたいと思う。

minami373    reply

沖縄県内で起こった米軍関連の様々な事件・事故のたびに問題視されてきた日米地位協定が、このコロナ禍でも問題になるとはとても興味深いことでした。コロナウイルスが流行し始めた当初から「水際対策」などといって入国を制限してきたにもかかわらず、今でも米軍関係者はパスポートコントロールなしで入国できているとは大変驚きました。このような緊急事態においても例外が認められないほど、日本政府の力は弱いのかと落胆しました。そして、この事実は首都圏・全国規模では注目度が低いように感じます。多くの声が届いても動かないものは動かないかもしれませんが、まずは声を上げ、その声を拾い広めていくことの重要性を再認識しました。

ultra100    reply

沖縄の話を今日は主に扱って、沖縄の大変さと沖縄と米軍基地の関係の問題点を認識させられた。コロナ禍という特殊な状況においても、感染者公表をしないなど、不信感の募る部分がある。また、他国との比較においても、沖縄と米軍基地の関係は良好なものではないし、米軍基地の情報公開のなさも良いものとは思えない。沖縄の権利というものを感じられなかった。自分たち本州にいる人たちは、そのような現状を身近に感じないから、日米安全保障に軽く同意してしまうが、沖縄の現状を密接に感じ取って、何が最適なのか考えていかないといけないと思った。

spring1359    reply

興味深い講義をありがとうございました。コロナ禍では感染者数の多い都道府県が注目されがちですが、人口当たりの感染者数や感染拡大の経路などを鑑みると沖縄の特殊な事情が垣間見えるのだなと気づきを得ました。沖縄に限らず、あまりに深刻な事態でありかつ世界中が当事者となっている中で、どこか一か所の事情を注意深くひも解くことは難しいように思いますが、逆にこうした状況であるからこそ浮き上がる国家間の関係や地域独自の事情があると思います。機会を見つけて考察したいものだなと感じました。

mytm1187    reply

講義ありがとうございました。米軍基地の議論や米軍兵による沖縄での事件はよくニュースで耳にしていましたが、これほどまで米軍による沖縄の扱いだったり、沖縄と日本の地位協定が酷いものだということは知りませんでした。先生もおっしゃっていたように全然沖縄の現場と言うものが見えていなかった、知らなかったです。他の国はほとんど米軍兵の管理をしていて、しかも米軍兵に対して国内法を適用できることを聞くと日本も地位協定を改善しなければならないと感じます。コロナウイルス に関しても3月28日の感染者を沖縄へ移送する案を聞いて米軍に対して不快感を抱きました。アメリカでは感染拡大がいまだに続いている状況を見ると、米軍基地に第二波、第三波が生じる可能性も十分にあると思います。せめて情報開示や米軍兵の行動規制ができないと沖縄は仮に本土で感染が収束しても沖縄県民がコロナの危機に晒され続けてしまいます。以上のことを踏まえると日本政府は真剣に沖縄県の訴えに耳を傾けるべきだと思いましたが、基地を移転するにも移転先はないし日米安保条約はほとんどの国民が賛成しているという事実を考えると解決の難しい問題だと思いました。

kou0907    reply

沖縄問題、これまでの人生で何度か聞いたことのある言葉だが深く考えたことはなかった。しかし、今回の講義で多様な側面からのデータを実際に見せられて、言葉ではうまく言い表せないが、沖縄の理不尽さだとかそういったものを強く感じた。いままで意識してこなかったが、確かに沖縄にアメリカ軍基地があるのが当たり前になっているし、他国の米軍基地と比べてもあまりにアメリカの権限が大きい。コロナが流行している昨今、政治家たちは明白に日本領の感染リスクのある人民をしっかりと制御するべきであると思う。だが実際のところ、アメリカの権力が強すぎるのが事実なのでこの先どうするべきなのだろうか。正解のない問題というのは難しい問題である。選挙権が与えられた今、こういったところにも目を向けて日本の将来に1票を投じたい。

水谷起基    reply

今回の講義を通じて私が1番感じたことは沖縄に潜む「犠牲のシステム」の存在を私たちは十分に認識していないということだ。今回のコロナ禍を例にとっても、1週間の人口10万人あたりの感染者数は長い間沖縄が一位となっている事実を、私は今回の講義で初めて知った。ニュースで東京や大阪の感染者数の多さは連日取り上げられているが、沖縄についての情報はほとんど耳にすることがない。元々沖縄でコロナが流行ったのは米軍基地でのクラスターが原因であり、そもそも沖縄に異常な数の基地が集中し、地位協定により米軍の動きをしっかりと把握できていないことに原因がある。私たち本土に住む多くの人はその現状を知らずにいる。まずは沖縄が不当に犠牲の対象となっていることを知り、国に対して関係改善を試みるよう声を上げる必要があるだろう。沖縄の人々だけでなく、本土に住む私たちも疑問の眼差しを向けない限り、改善は難しいと思う。

yasu1026    reply

講義ありがとうございました。
沖縄にアメリカ軍基地にある理由とコロナとの関係性、ここまで関係が深いとは思いもしなかったです。今までの日本の歴史の中での沖縄の立ち位置、改めてこのような俯瞰的立場から見て、本土のバイアスがかかっていない、沖縄内部の情報を考えると沖縄がどれだけ日本の中で「犠牲」を払ってきたのか、ということを改めて気づかされました。歴史的な戦後の歴史だけでなくて、現状のCOVID-19の中でも罹患者の人口の中での割合で極端に沖縄が高かったという事実、あまりに偶然では重なりすぎている事象であると感じました。
日本のこの本州に対する沖縄という構図。大陸に対して日本という構図とさほど変わらず、地理的要因で言えば差異はないはずであるのではないかと思いました。しかし、構図としてはあまり変わらないはずなのに沖縄をネグレクトしてしまう本土の人間、欧米にネグレクトされる日本、こう同じようにもいかないのが現実です。この構図は経済力など実際考慮すべき事象をあまり考慮していませんが、日本人はあまりに沖縄を「遠い島の話」と捉えすぎではないか、と改めて考えさせられました。

musashi1825    reply

沖縄を例にとり、特に米軍基地問題に関して、日本という国家のいわば犠牲になってしまっている状況を知ることができました。あえて、本土の方では明示的な報道もなされないため、その現実には蓋をされてしまっているように思われますが、そこに目を向けていかないと、本当の意味での戦争は終わらないような気がします。
民主党政権の時に、鳩山さんが県外移設を掲げたものの、全くうまくいかず、だんだん目標が下がっていったこの時の体たらくぶりには小学生だった私でもあまりにも酷いと思って見ていた記憶がありますが、沖縄の人たちにとっては、自分たちに直接関わってくる問題であったと思うので、本当に残念に思われたのではなかろうかと思いました。日本国民全体として当事者意識を持っていくことが重要なのだと再認識させられました。

yjiro1638    reply

沖縄の現実について、コロナ感染症含め幅広く学ぶことができました。僕自身本州出身かつ沖縄に一回も行ったことがないかつ身近に沖縄とつながりがある人がいない、といった沖縄と縁の少ない人間ですが、こういった人間こそ沖縄の現状に目を向け考えていかなければならないのだと強く感じました。辛い、と声を上げる人の存在が見えにくいからこそ、私たち(僕のような沖縄との距離感がある人)はそれに甘えてしまっているのかもしれません。米軍基地の問題など、他国との関係にかかわりを持つものもあり、日本人として沖縄の人々のために何ができるか考えていく必要がありそうですが、その前にまず、私たちの暮らしが実は何らかの「犠牲」の上に成り立っているかもしれないということを常に考えなければならないように感じました。本来自分たちが抱えていたかもしれない問題を誰かが成行き的に抱えてしまっている、という可能性に敏感になり、行動できる人間になろうと思いました。

TS34    reply

今までコロナ禍における沖縄特有の問題は印象にありませんでしたが、今回の講義を通して知ることができてよかったです。日本国内の米軍の治外法権的な状況は以前から問題視されてきましたが、コロナによって米軍の情報の不透明さや近隣住民への実害といった問題点が再確認されたと思います。しかし依然としてこの状況が改善されないのには国民や政府の意識が原因だと思いました。沖縄県以外の国民は米軍に対する不安を感じることなく生活しているので当事者意識がなくその問題性に気づかない上、仮に気付いても沖縄の状況改善を試みれば全国に米軍基地が分散することになり今度は自分たちが米軍による実害にさらされる可能性があるため、国民全体がが声を上げて沖縄の状況を改善する動きが見られないのだと思いました。また、政府はアメリカとの関係性を重視するため国民の約1%を犠牲にしてでもアメリカに対して強く出られないのだと思います。これらのことから沖縄は日本からも味方されない状況で奮闘し続けるしかなく、またこの状況が変わるきっかけも今のところないので、とても歯痒さを感じました。

LP37    reply

沖縄の在日米軍の問題はよく聞くものの詳細はあまり理解していなかったので、非常に勉強になった。今回驚いたのは、アメリカとの地位協定の内容が他のヨーロッパの第二次世界大戦敗戦国とはかなり異なるという点だ。敗戦という事実による立場関係によって、どの国も地位協定改正が阻まれているものとばかり思っていたので、いくら沖縄がアメリカの海外戦略や日本の国防戦略上重要であったり、日本が建前としては軍隊を保持していないという複雑な事情があるにせよ、毅然とした対応を取らないできた日本政府には情けなさを感じた。
沖縄の在日米軍問題は犯罪、航空機事故、基地移転などでしばしば問題となってきたが、今回、出入国管理の甘さや危機意識の違いなどによる新型コロナウイルス感染症の拡大という新たな切り口から問題が浮かび上がってきた。ちょうど現在の沖縄担当大臣は行政改革で注目を集めている河野太郎氏であるから、問題解決の進展に期待したい。

fro1014cd    reply

コロナ状況下における沖縄の現状を知ることができたのは貴重な体験であった。本州に対する沖縄の犠牲の構図というのは考えさせられるものであった。COVIDー19の問題にしても現状沖縄の観戦の状況は周知されているわけではなく、むしろ感染者数の多い都市圏ばかりが取り沙汰されるのみである。米軍基地の問題にしてもそうだが、やはり沖縄について遠い存在と考え、「犠牲」となる事を無意識に黙認する意識がある様にも感じた。この様な事態を察知し考えることができる敏感さを見についけたいと思った。

cf1133    reply

貴重なご講義をありがとうございました。今回のコロナウイルスの問題やオスプレイ問題など、沖縄の米軍基地の問題はたびたび取り上げられますが、十分な措置が一向に取られていないと感じます。我々も、地理的な距離のせいか沖縄の問題に目を向けることが少なく、どこか他人事のように感じてしまいがちです。当事者意識を持ってこの問題を捉え、行動に移さなければ、犠牲のシステムを変化させることはできないなと気付かされました。

1mae61    reply

自分の故郷をこれまで何回も見つめ直してきたが、他国における米軍の扱いという情報は調べたことがなかった。しかし、生まれてから上京するまでの短い期間ではあるが、それでも内地の人間の多くが沖縄に対する不平等な扱いについて無知かつ無関心であることははっきりと分かっていた。観光地としての印象が大きいため負のイメージはなおさら意識されないのだろうか。そうはいうものの、沖縄県内においても当事者意識の格差は確かに存在していると思われる。北谷などの中部、北部には基地が集中しており、夜になると兵士や軍属やが街に出てくるため半分外国と言ってもいいほどの様相を呈している。このような状況において米軍基地を意識しないのは難しいが、那覇など中南部以下では特に米軍基地を意識させる事象は発生しない。せいぜい米軍ヘリの音くらいだろう。
沖縄の義務教育課程では現在の米軍基地や米軍の状況やについてよりも、過去の沖縄戦の悲惨さを学ぶ機会の方が圧倒的に多い。それにより当事者意識がどうしても薄れてしまう地域の児童や生徒はそのまま育つと沖縄の過去ではなく、現状に関心のない人間となるのではないだろうか。基地問題についてそんなに騒ぐことかと質問した私がいい例だ。基地建設、新設による生態系の破壊は大問題だが兵士がおこす事件には目をつぶるしかないと思っている。基地の負担は確かに大きいが、沖縄内にも犠牲のシステムがあると私は思うのだ。

nori1121    reply

講義ありがとうございました。沖縄の基地問題に関しては、コロナ禍の前からある程度のことは知っているつもりでした。沖縄の人々が米兵の横柄な態度に悩まされていたり、事故による被害を受けていることも問題視していましたが、私個人としては、日本は敗戦国であるし、米軍が日本を軍事的脅威から守ってくれているという点である程度は受け入れるべきだとも考えていました。しかし講義を聞いて、日本では米軍が治外法権のような状態になってしまっていること、他国ではきちんと法律で縛られていることを知り、現状を変えなければいけないという思いと、日本政府への不甲斐なさを感じました。また、コロナ禍に際し、米軍関係者は入国規制が緩いというお話を聞き、なんだかコケにされている気がしました。安倍政権から菅政権に代わり、アメリカ大統領も変わろうとしている今、私たち日本人一人一人が政治に参加し、現状を変えていく意識を持たなければいけないと痛感しました。

tetsuya1221    reply

国政に意見を届けることができない状況で沖縄の基地負担が増えていったことは非常に大きな問題であると考えます。現状では政治による調整の機能がある程度働き、多数決のパラドクスが特に地域間の不平等の問題に関しては起きにくい状況であると思います。しかし、起きてしまった不平等にうまく対応できていない実情を実感しました。同時にコロナの問題を顕在化させる力を感じました。この機会に改めて地域間の不平等という視点を持つことは重要であると思います。

yuki28    reply

沖縄の基地問題は自分が思っている以上に複雑だと感じた。沖縄で米軍基地も含め感染者数が増えていて、8月には県で緊急事態宣言がだされたというニュースをぼんやりとは知っていたが、米軍から情報が公開されていないことや、人口あたりの感染者数が全国最大であることなど今回の講義で初めて知ることが多く、沖縄が日米安保体制の犠牲になってきたということを理解できていなかった。多くの本土の人々は自分のように、米軍基地があることで沖縄が犠牲になっていることを理解できておらず、他人事だからと深く向き合ってこなかったのが現状なのではないかと感じた。自分に影響がないからと沖縄の人々があげている声を無視するのではなく、自分ごととして捉えないと状況の改善にはつながらないし、沖縄を犠牲にして利益を得ている本土の人間として、この問題に向き合わないといけないと思った。

Ugetsu5    reply

実際に犠牲を押し付けている側としては、構造的な犠牲の問題は、機会がないと特段の問題に感じない部分があるので、今回のコロナ禍問題から辿る沖縄の犠牲の指摘は、問題に向き合う良い機会になった。

所謂内地と沖縄の認識や状況のズレが、地位協定の問題解決の阻害要因になってしまっている現状であるが、教育や発言による問題の認知にも限界があるのは事実であるので、制度作りなどによって、知識としてでなく問題を肌で感じられる状況を作り出すことが望ましいかと感じた(無論、問題を社会で取り上げることは依然として重要であるが)。

morita1016    reply

沖縄における米軍基地の諸問題について、自分は言わば外側から見ている人間である。最近ではニュースなどで話題になることも少なく、コロナに感染したアメリカ兵を沖縄に移送する計画があったことや地位協定が他国と大きく異なることは今回の講義で初めて知った。自分がたまたま当事者でないからといって静観してよい問題ではないだろう。また、沖縄のケースと同じように、他国においても国内のある地域が犠牲のシステムのもとに置かれているということがあるのか気になった。

taki3    reply

貴重な講義ありがとうございました。沖縄では米軍からコロナ感染が拡大した印象を持っていたため、それも今までの構造的な差別によって間接的であるにせよ引き起こされたものであるという意見はしっくりきた。島国の中でさらに孤立した沖縄は本土と切り離されて考えられやすいのだろう。琉球併合の頃からそうした関係の中で沖縄は捉えられるが近年も若干軽視されていると言えるだろう。オール沖縄などの標語も近年は力を失ってきているように思えるため、状況改善に向けて県民が一致団結するのもなかなか難しそうである。地道に努力をして少しでも基地負担などを減らせれば良いと思う。しかし、仮に本土に移設先を見つけたとしても地方を中心に移設されるであろうため、都会と地方という対立が新たに生まれてくる可能性は高いだろう。本土対沖縄の図式を解消しても都会対地方という対立が発生するだけで本質的な解決にはならないように感じる。

GFree59    reply

沖縄で感染拡大が進行していることは、又聞きで知っている程度だったのですが、その度合いが見方によっては全国で最もひどく、またその原因が駐留米軍であるということは恥ずかしながら今回の講義で初めて知りました。沖縄が、地政学的な意義が失われた現代でも日本で唯一駐留米軍基地のある県であり、それによる不利益をただ1県だけが受けていること、社会構造上の問題により当事者の意見が反映される可能性が低いということについて、その事実関係の確認も含めて軽々しく考えられるべきことではないように感じました。講義を担当した高橋教授の言葉の通り、こういうことは何か具体的な行動を起せない(あるいは起こさない)身であってもそういった背景があるということを知ることが第一に大事であり、そこから全てを始めなければならないと思いました。

aim180    reply

「誰かの利益は誰かの犠牲が生み出している」ということは、問題を多く含む話題であり、コロナ禍でもそれが現れていることを実感できました。今回のお話を聞いていると、核の最終処分場の話を思い出します。世の中には、「犠牲にされる人」はもちろん、犠牲のシステム自体からも目を背ける風潮があるのを感じてしまいます(利益は自然に湧いてくるものだ、とでもいうような)。自分には関係ない、誰かがやってくれという考え方は、ある人々の苦しみを生み出すということを理解しなければと思いました。

somanypeople    reply

沖縄に米軍基地がある問題がコロナウィルスとも関連していたことに驚いた。感染者がいないから地方に行く都会の人々の動きがコロナ禍では問題視されていたが、それとは別の大きな問題を孕んでいたことに驚いた。そのことに気付けなかったのはあまりメディアで大きく取り上げられないのか、自分がちゃんと注目していなかったかはわからないが、沖縄には米軍基地があるという背景を理解し、そのことが非常に理不尽なことであることをよく理解すべきだと思った。私には沖縄に居住している家族がいるので一層当事者意識を持ってこの問題を考えたいと思った。

Kon1019    reply

今まで度々問題になってきた沖縄の米軍基地問題が、新型コロナウイルスというパンデミック状況下においても良くない影響を及ぼしていることは知らなかったです。米軍人の感染者数が開示されないことや移動が規制されないことによってクラスターが発生していたことは驚きでした。このことによって不安を感じている沖縄の住民は少なくないだろうし、無視できない問題だと感じました。ただ本土の反対もあって移設はなかなか叶わないだろうし、仮に移設したとしても今度はその移設先で問題が起こると考えられるので簡単には解決しないことだと分かりました。本土の人間として、これから社会の中心を担う一若者として、この問題に対して関心を持ち、意見を発信することが自分にできることかなと思います。またこのような誰かの犠牲のもとで他の誰かが利益を得ている沖縄に限らない「犠牲のシステム」についてもっと理解を深めようと思いました。

Hiroka Ito    reply

沖縄の基地問題について時折考えることはありましたが、戦略的に重要な拠点だから、とか、沖縄は基地に経済を依存しているから、などとその犠牲を正当化している自分がいると気付きました。日本の法律に縛られずにアメリカ軍属人が自由に行動できてしまう、沖縄県の中にアメリカ軍基地という、当局の法治や規制の行き届かない部分が多すぎる、という脆弱性が、今回の沖縄県でのコロナの拡散につながってしまったのかなと感じました。
アメリカ軍基地が沖縄に集中的に残存しつづけているのはもちろん問題ですが、一番問題なのは日本政府が沖縄県の基地負担軽減に消極的なことだと思います。西ヨーロッパ諸国が交渉の末基地内での自国主権や、基地負担軽減を勝ち取っていたこと、僕は実は講義を聞くまで知らなかったです…他国の米軍基地との付き合い方は知らない日本人結構多いと思うので、もっと世に広まっていいと思いました。原発などと同じで東京などの大都市から遠いことも、関係省庁のやる気を削いでいると思います、この犠牲のシステムに抗うため、少しでも声を上げていきたいと思いました。

kamiwafu8746    reply

沖縄は発展途上国の様相を呈している……これはインフラや出生率などの特徴からきた感想であった。これが、歴史的経緯からきた要因が大きいことは知識からの推測がついていたが、これを犠牲のシステムという考え方が強固にした。コロナ禍などの有事に真っ先に犠牲となる地域の生活に目を向けていくべきだ。

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