ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第8回 11月25日 西成活裕

コロナによる移動とイベントの変容 ~渋滞学の観点より~

パンデミックの影響は我々の生活様式の様々な部分に及んでおり、特にソーシャルディスタンスの議論は人の移動やイベントなどのあり方を大きく変えようとしている。このような中で人やモノの移動についてのあるべき姿、そして群集イベントを今後どのように運営したらよいか等について、渋滞学の観点から様々な例を通じて議論したい。

講師紹介

西成活裕
1967年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)の学位を取得。その後、山形大、龍谷大、ドイツのケルン大学理論物理学研究所を経て、現在は東京大学先端科学技術研究センター教授。ムダどり学会会長、ムジコロジ―研究所所長などを併任。専門は数理物理学。様々な渋滞を分野横断的に研究する「渋滞学」を提唱し、著書「渋滞学」(新潮選書)は講談社科学出版賞などを受賞。2007年JSTさきがけ研究員、2010年内閣府イノベーション国際共同研究座長、文部科学省「科学技術への顕著な貢献 2013」に選出、東京オリンピック組織委員会アドバイザーにも就任している。日経新聞「明日への話題」連載、日本テレビ「世界一受けたい授業」やTBSテレビ「東大王」に多数回出演するなど、多くのテレビ、ラジオ、新聞などのメディアでも活躍している。趣味はオペラを歌う事、そして合氣道の稽古。
授業風景

2020年度第8回学術フロンティア講義では、11月25日に東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授にご登壇いただき、人流・物流という先生のご専門の観点から新型コロナウイルスの流行を議論いただいた。

西成先生は、従来の数学や物理学を融合させた渋滞学という学問のパイオニアである。人、車、物流という別々の分野を渋滞という一つの観点から一つの学問を作り出したのが渋滞学である。特に人流や物流について、西成先生は、専門家としてアドバイスやコンサルティングを行なっている。今もオリンピックの現場でコロナ対策が寛容になっている。

そんな渋滞学の祖たる西成先生から見ても、2020年は歴史に残る年だと語る。渋滞学的な観点からみると、「人の移動が止まったが、モノの移動は増えた。」という現象が起きた。渋谷センター街の人流は4・5月で平均の75%も減った。その後回復傾向にあるものの、経済活動と人の流れのコントロールは課題になっている。一方、物流においても大きな変化が起きた。企業間の物流は経済活動が止まったことで停滞した一方で、個人向けの物流は5月の宅配便貨物は巣ごもり需要で14%も増えている。感染防止と経済活性化の両立のために、人の安全な移動を実現する群衆マネジメント、モノの効率的な輸送を実現させる物流改革を進めている。

群衆マネジメントという言葉は、渋滞学の学問体系において重要なエッセンスの一つだ。群衆マネジメントという概念は2010年から始まった。群衆マネジメントについてサウジアラビアに招待されたのがきっかけだった。サウジアラビアのメッカ巡礼はかなりの人が密集する。群衆の中に数百人単位で死亡者が出るとしもあり、かなり重要な課題であった。

日本国内でも群衆事件は過去にたくさん起きており、明石の歩道橋の事件などはセンセーショナルに報道された。こうした動きから、2017年に群衆に関わる分野(チケット販売、建設会社、エレベーターなどの電気機器、電車等のモビリティ、東京ドーム、セキュリティ事業者)を包括的にまとめて群衆マネジメントを、実際に分野を越えた協同で解決しようというプロジェクトが始まった。実際に東京ドームに集まる人々のマネジメントを現場で行っている。

ここで改めて、群衆マネジメントの定義を考えよう。渋滞学のような新しい分野は定義から始まる。「群衆の行動円滑化を支援し、人々に安心と快適をもたらす予防安全運動」、手遅れな状態では意味がない、いかにリスクを最小化するか。群衆においては、いろんなステークホルダーがいる。群衆事故は、管轄するステイクホルダー間で状況把握にズレが起こるとその境界線で起こってしまう(例えば、混雑が限界に達しそうな歩道橋の中と、中の混雑がわからない歩道橋入り口付近では状況が違う。)ステイクホルダーをつなぐ「群衆マネージャー」の重要性が求められることが強調された。

西成先生は、群衆をマネジメントになるために、相手を知る、事故を知る、現在を知る、未来を知る、危険を知る、制御を知る、自分を知るという7つの知るを提言した。群衆とは何か、リスクアセスメントをどうするべきなのか、ステークホルダーはどうなのか。知るという行動を様々な対象に向けることで、群衆を全体的な視点からみる群衆マネジメントの姿勢を訴えている。また、群衆マネジメントの議論ででてきた結論の一つは予約社会が必要。サクラダファミリアは15分おきに予約を入れることができて、予約なしでは入場できないようになっている。人気のある場所、社会に対して人流を絞るには予約社会しかないと考えられている。箱に対してトータルで何人か決められるようになってしまったコロナ社会では、予約社会がさらに広まっていくだろう。

上記に載せてあるような、人数規制という点に加えて、コロナは距離という概念が群衆マネジメントで突如重要になった。群衆マネジメントにおいては密度が今までは大事だった。コロナ禍になって、密度だけじゃ不十分になってしまった。現在、ソーシャルディスタンスという概念が広まった結果に考えられるようになったことは密度ではなく、人通しがどれぐらい「距離を持って離れているか」を測る必要が出てきたことで学問の捉え方が変わった。密度から距離への変化は大きな変化である。

群衆マネジメントの群衆の捉え方を以上で述べてきた。実際に「マネジメント」をするという時に、人の動きを制限するだけではなくて人を誘導させるテクニックが大事である。人が無意識にそうしてしまう仕組みを生み出す必要があり、それをゲーム理論という枠組みで構築したのがナッジ理論である。例えば、光の明暗でも人間の行動は無意識に変化するように、自然に「そうしてしまう」仕掛けを作り出すことが「マネジメント」のポイントだ。

そうした「マネジメント」は東京マラソンの大行列についても適用されている。マラソンランナーをただ並べるだけではなくて適度に感覚を開けたほうが動きが早くなると言われている。群衆マネジメントは、意外に単純なことで効率化が測れる。エスカレーターの右に立つかどうかについても群衆マネジメントから見解が出ている。歩かないほうが7割で歩くのは3割。その結果、歩かない7割が渋滞して行列が長くなってしまう。だからトータルで考えると両側をたったほうが効率はいいのだ。

コロナ禍でも、群衆マネジメントの知見が社会に実装されている。待ち行列の感染リスクについて、行列にかかる時間と、全体を小分けにしてグループごとだけの接触に留まらせる形で並ばせることが大事である。こうした群衆マネジメントの見解からANAは優先搭乗をなくして、後ろから順々に座るようになっている。

以上が人流についての議論で、ここからは物流について論じる。コロナの時代で、個人間の宅配便配送が激増している。現在の宅配便の状況はかなりギリギリの状態で、当たり前のように宅配便が配送されるとは限らないのだ。問題点は山積みだが、ドライバーがまず不足している。そして配送の効率化も、再配送による無駄足で難航している。ドライバーの配送の2割が再配送で無駄足になっており、年間約9万人のドライバーの労働力に相当している。様々な業者が別々に配送していることで効率が悪くなっている。そこを一元化するためにプラットフォーム化が求められている。ビールメーカーも会社の壁を超えて流通を統合し始めた。「商品は競合して、流通は強調しよう。」というキャッチフレーズ通りに、生産性の向上を目指している。朝日新聞とパナソニックも提携を組んでいる。新聞配達と家電の運搬のコラボすることで、配達時間外に家電の配送をして運送プラットフォームを一元化することに貢献している。ここで大事になるのはいかにトータルで考えるかである。一元化は進んでいる一方で、交通・流通の接点が課題になる。情報の連携が接点で途切れてしまう傾向になる(人の動きを業界・会社を超えて共有することでもっと効率化される。)モビリティをサービスとして考えるMaaS(Mobility as a service)。人流・物流全体を管理し、一つのプラットフォームを作り出すのが、これからのモビリティの動きだ。

これからの物流は、物流のインターネットができるだろう。フィジカルインターネットの時代だ。物流というフィジカルな世界で、インターネットのようなネットワークシステムを構築するのだ。電子メールはどうのように流れているのかはわからない。物流もそうなるのではないだろうかということだ。これに関しては、日本国内ではヤマト運輸が動いている。

もう一つの物流の観点は、「ものを運ぶだけではなくて、ものを作る場所もモビリティだ。」という発想だ。欲しいと思う側に立って製造をするデマンドウェブ型の新しい物流を作れるのではないか。国が目指しているSociety 5.0と人流・物流、サイバーと環境・経済をつなげたマネジメントを目指している。

もちろん、プラットフォーム化は無条件にいいものではない。システムハッキングが起こると被害を受けるリスクが非常に高い。電力がなかったら全部が動かなくなってしまう。故障耐性も脆弱だ。プレイバシーの問題もある。全部の流れが一手に集中すると労働力が入らなくなるので雇用が減るかもしれない。

SDGsに関しても言及した。デマンドウェブと廃棄0を生み出したい。売れると思って作ったら売れる時代から、欲しいものを作ってもらって売れないものも再利用しようという循環型のシステムを作らないといけない。ESG投資の時代に合わせて、物流革命の動きも活発になってきている。

コロナ禍によって人やモノの移動が大きく変わった。それは今までの災害や社会情勢での変化とも違う内容だった。こうした危機的状況下で、競争ばかりで一社でなんとかなる時代は終わり、協調するべき時代がきた。個人と全体のバランスをマネジメントする必要性が出てきている。個人の利益や志向を優先しながらも全体として大きな危険や障害が起こらないようにする。そのためにはその個人の「流れ」、モノの「流れ」を全体として掴む必要がある。

参考図書

「群衆マネジメント総論」(東京大学社会連携部門 群集マネジメント研究会,2020年)

http://www.utp.or.jp/book/b509978.html

(文責:岩永淳志)

コメント(最新2件 / 26)

mytm1187    reply

講義ありがとうございました。最近は人の数もコロナ前に近くなってきていると感じています。しかし経済を止めるにももう日本の経済は衰弱しきっていて、緊急事態宣言も出すことができないと思います。その中で群衆の管理というのはものすごく大切なことだと思っていたので、飛行機の制度や列の作り方の話は非常に興味深く、面白かったです。特に列の感覚を開けた方が群衆の流れが早くなるというのはこれまでの認識を覆すとても衝撃的な事実でした。また、物流の増加についてですが、日本も配達員の労働環境を整えるという点や、環境に配慮するという点からも再配達を有料化したり、置き配をしてもいいと思いました。また、企業同士の協力体制も同様に環境や従業員への配慮という点では非常にいい動きだと思います。コロナ下でうまく経済を活発化させるためやこわれゆく環境を保護するためにも各個人や各企業の利他的な行動は難しいけど大切だと思いました。

mermaid592229    reply

コロナの時代にとてもホットな話題である渋滞と物流のお話を聞くことができ、大変考えさせられる部分が大きかった。まず渋滞に関して、誘導の仕方や場所の設計等を科学的なシミュレーションを用いて事前に人の流れを予測し、計画することが可能であるということがわかり、今後長期化するwith コロナの時代において、待ち行列の設計のようにリスクを最小化する設計や誘導を社会全体に広げていくことが大切であると感じた。一方で、例えばエスカレーターの効率の話や大行列の間隔などの話は、直感と実際のデータとで解離がある部分があると感じ、このようなデータに基づいた群集マネジメントの考え方を広めていくことによって、より群衆のマネジメントに対する理解が深まり、マネジメントが容易になるのではないかと感じた。
物流のプラットフォーム化に関しては、特にコロナ禍で感じた経験をもとに、非常に共感を覚えた。ECの中には、内部で在庫管理店舗が分かれているために、一度に購入したものも何度も別の注文として届いてしまうことはとても大きな問題であると感じている。今後も増え続けるインターネットによる購買需要に対応するためにも、また渋滞の観点で人の流れの把握・効率化を行うためにも、そういったECの内部はもちろん、分野を超えてあらゆるカスタマー情報を共有することで効率化を図っていくことが今後不可欠であると改めて感じた。

mizutatsu0116    reply

渋滞学という学問の存在を初めて知ったため、非常に新鮮味のある面白い講義だった。
コロナ禍で密を避けた人の移動のあり方を考える重要性が高まり、各企業は対策に出ている。例えば先日ディズニーランドに行ったが、ディズニーランドでは完全予約制を採用し、入場者数を制限するとともに、アトラクションに並ぶときには常時間隔を空けるように呼びかけられ、なるべく外で並ぶ時間が多くなるように工夫されていた。しかし先日のニュースでオリエンタルラジオで赤字が深刻化していると報道されていた。コロナ対策で入場者数は減ったことが大きな原因だという。やはり長いスパンだ考えればある程度入場者数を増やして行かざるを得ない。渋滞学の観点で、人が多い中でも感染リスクを減らす方法を考える意義は今後さらに増大していくだろうと感じた。
また物流が危機に陥っていることに衝撃を受けた。このような危機に陥っているのは配達業界全体である。まずは企業同士が連携し、配送の効率化を図ることが危機脱却に不可欠だと思う。さらに私たちもこのような現状を把握し、再配達を防ぐなどの配慮をしていく必要があるだろう。

1k_neru    reply

明石の花火大会では道の構造的なボトルネックが群衆事故を引き起こしたということですが、現在ソーシャルディスタンスが重要視され、かつオリンピックも控える世の中では、こういったインフラの整備から渋滞を減らして感染リスクを減らしていくという方法も考えなければならないのだなと感じました。また、物流のプラットホームの話にあった各部分を担当する団体が共同で戦略を練ることで無駄を減らしていくという話は、物流に限らず上に述べたインフラの整備をはじめとする群衆マネジメントにも応用できるのではないかと思います。また、エスカレータや待機列の話のように、この指向は会社だけでなく個人にも当てはまることだと思います。このような厳しい世の中だからこそ協力しあって全体の無駄を減らしていくという考え方は重要だなと感じました。

ultra100    reply

群集マネジメントの話を聞いて、いろんな例を教えてもらって、とても面白かった。エスカレーターの例では、意外と直感では、理解できない感じがしたが、冷静に考えると、確かにそうだなと思って驚いた。統計的観点や、所要時間や距離などいろいろな要素を考慮して、最適な群集マネジメントを考え、効率化を目指すことは面白そうだなと思った。COVID-19の現状も考えて、感染症と人々の動きの関わりを考えることも面白いなと思った。また、最後の物流の話に関しても、持続可能な社会の仕組みを作っていく、仕組みから変えていくということは、今がチャンスであり、自分だけが良ければよい世界は終わったということを認識する必要があるなと思った。

spring1359    reply

興味深い講義をありがとうございました。渋滞学については耳にしたことがありましたが、昨今の状況の中でどのように活用されているか詳しく伺う貴重な機会であったと感じます。群衆マネジメントやプラットフォームの考え方のように、実際に動く当事者ではなく全体を客観的にみる立場として効率化、リスク管理を行うことは具体例を聴くほど有用であると思いました。個人的には、プラットフォーム導入に関して情報のセキュリティが大きなネックになるのではないかと思います。異なる組織で情報が共有されれば、流出するリスクも増大するのではないかという短絡的な考えですが、仕組みそのものの可能性については大きな期待を抱きました。

minami373    reply

貴重なお話ありがとうございました。道を考え、群集を動かし、渋滞を解消するというのは、まるで昔流行したコンピュータゲームのようだと思い、渋滞学は多くの人にとって親しみやすい分野なのだろうと感じました。私は行動経済学に興味があったので、昨年実際にさいたま国際マラソンで実施されたという人の密度を変化させてスムーズに出発させる“急がば回れ”的な発想がとても興味深かったです。
コロナ禍における物流の問題は、私たち消費者の目に見えていないことが多く、もっとたくさんの報道が必要だと感じました。私も緊急事態宣言下において初めてAmazonを利用しました。本当に感謝しなければいけません。しかし、物流が大変だと報道したところで、感染が拡大していれば外出を控えなければならず、それが長引けば生活を成り立たせるために宅配を利用することになるのは現代では当たり前で、異業種同士の連携はこの先どんどん進んでいくのだろうと感じました。

musashi1825    reply


渋滞学という新しい学問のパイオニアの先生のお話が聞けて、非常に興味深かったです。実験などに基づいて、無意識の領域にあるような人間の行動が数理科学的に解析できることは、このコロナの状況の人間の行動を規制し感染を防ぎながら、人間を動かし経済をまわすために必須であるなと感じました。今年需要が急拡大した物流でも、さらなる工夫が必要であることがよくわかりました。

LP37    reply

全体を通して引き込まれる内容で、楽しく拝聴させていただきました。
まず、自ら渋滞学という分野を提唱され、群衆マネジメントを定義されたことに感銘を受けました。学問の世界は自分で切り拓いていくものであり、分野横断的な考えを大切にするため、様々な学びを大切にする必要があるということを感じました。
様々なプラットフォームの統合が実現されれば今より数段快適な生活が実現すると思う一方で、果たしてそれが「人間中心の社会」であるのかは少々疑問を感じました。また、例えばMaaSはレベルが進むにつれて官民でデータを統合するなど個人情報がかなり集約され、それに不安を感じる人も多くいることと思います。様々な恩恵やリスクを理解した上で、各人が望む範囲で情報を提供・共有し、サービスを受けられるように出来たら良いのではないかと感じました。

sandy67123    reply

身の回りの人の流れがいかに非効率的で改善の余地のあるものなのか、そしてナッジに代表される「人を動かす」仕組みが現代においていかに重要なものかを再認識しました。授業の最後でも関連する内容を質問させて頂きましたが、やはり最善の策は万人が等しく正しい知識を持って利他の意識を持つことだと思うので、今回の授業のような内容をより多くの人に知ってもらうことが大事だと思いました。非常に興味深い講義ありがとうございました。

kamiwafu8746    reply

コロナ禍では人の集団や人の移動という面にフォーカスされることが多く、これを多角的な観点で分析できる渋滞学に可能性を感じた。最も感銘をうけたのは、学問領域を創生する試みに勇気を与えてくださったことだ。学際領域や新領域に興味を持っている私にとって可能性を広げてもらえる観点だった。

kou0907    reply

渋滞と聞けば車の渋滞しか思いつかないし、車の渋滞なんて免許を持っていない自分にはあまり関係のない無縁のことだと思っていたが、花火大会の事故の事例を聞いて渋滞が身近に存在し、危険なものであると感じた。やはり、人が集まって人の流れが遅くなれば、何人かは先を急ごうとしてまたそれをきっかけとして渋滞が起きる。皆がそのことを理解していれば良いのだろうが、人が集まるところではひとりひとりの思惑が交錯してしまうのはしょうがないことなのだろう。だからこそ個々ではなく全体としての群集マネジメントがとても重要であると理解した。

Ugetsu5    reply

モノの動き方一つ、運送のシステム一つで社会が変化していくという視点が特に興味深かった。先日、AWS(Amazon Web Services)の大規模障害があり、IoT製品の停止などの問題が見られていたが、こうしたプラットフォーム化の負の側面を改善しつつも、社会全体で(資源や手間などの)無駄の少ないシステムが作られていくことに期待したい。ただ、そうしたプラットフォームが社会基盤となった際に、生じた事故などに関して誰が責任を負うのかといった倫理面での問題、プラットフォームを悪用した犯罪などの問題、雇用などの社会問題といった諸問題が生じるように思われるので、技術的な壁の先により大きな壁があるように感じる部分もあった。

aim180    reply

物流危機についての話は興味深く聞かせていただきました。コロナ禍の外出自粛で「巣ごもり状態」と言われ、さらに人と会わずに物を手に入れられる時代なので、目に見えない物流関係の人々に思いを巡らすことがさらに難しくなったと思います。コロナ禍で人が消えてもなお渋滞学の考え方が役立つことは面白く感じました。

kohei8192    reply

渋滞学という名前だけ聞くとニッチな学問に思えたが、メッカの群集事故の例を聞くと想像以上に必要とされる学問であることが分かり、社会のニーズに合わせて学問分野を立ち上げることに興味がわいた。ソフトアプローチは、「北風と太陽」のような話で既視感を感じる一方で、それを理論的に応用しようとするところに新鮮さを感じた。起業にも少し興味を持っていたのでその関連の話も興味を持って聞けた。

yasu1026    reply

講義ありがとうございました。COVID-19による大きな社会の見え方として「ヒトの流れ」という視点は今までないぐらい取り入れられていると感じました。これから大学を卒業した後もさまざまなプロジェクトについて考えていく上で群衆のマネジメントの7視点はきっとマネジメントをしていく上で大事な見方になると感じました。普段の生活の中でも「なんでこここんなに混むんだろう」だとか、「ここは人が多くて危ないな」と感じる時の仕組みを言語化した説明を受けることができ、大変興味を持てました。
その他にロジスティックスに関して最近の企業の取り組みなどを学べたのもとても嬉しかったです。運送業もCOVID-19で変革を求められている一つの業種であり、企業の垣根を超えた共同の取り組みがあると知ることができて、将来にそのような取り組みを推進できる社会の一員になりたいと改めて思いました。

TS34    reply

 イベントでの人の列の配置の仕方一つをとってもその方法を変えることによって感染確率が大きく変動することがとても印象的で、身近なところで人間の集団を動かすことに多くの創意工夫がなされていること、そしてこのようなことを研究する学問があることに大変驚きました。特に来年には新型コロナウイルスに対する不安要素がまだ多く残る中で東京オリンピックが開催され、無事な開催のためにもより一層集団の制御の重要性が増すので、そこでどのような工夫がなされるのか大変興味が湧きました。
 また、物流の視点での現在の配送業の非効率性は大変印象深かったです。企業同士で連携して配送することがコストの面でも人員の面でも最も効率的であることは素人目にも明らかだと個人的には思いましたが、それでもまだ配送の効率化が進んでおらず各々の企業が自らの利益を守れればよいという姿勢を保っている現状に、社会全体としての利他的意識の低さを感じました。

Polaris_737    reply

今回は、大変興味深いお話をしていただき、本当にありがとうございました。
いままで、渋滞学の存在は耳にはしていたのですが、「高速道路などでの渋滞を研究しているのだろうな」という漠然としたイメージしか持っていなかったため、今回のお話を聴いて、渋滞学は世の中のこれほど多くの物事を研究対象にしているのかと驚きました。自分が特に興味をひかれたのは、ウイルスの感染を防ぐような列の並べ方をシミュレーションを用いて考察する研究でした。提示されたもののうちの最適解であった並び方の斬新さに驚いたのももちろんですが、日常生活にありふれた「並ぶ」という行為をシミュレーションを用いて研究する、ということがとても高校までとは違う大学での研究らしく、自分をワクワクさせてくれました。
今回のお話を伺って、渋滞学に強い興味を持ったので、今度駒場に行ったときに書籍部で渋滞学の本を購入して読んでみたいと思います。

cf1133    reply

興味深いご講義をありがとうございました。コロナや環境問題が深刻になっている今の社会では、「すでに大量に集まっているヒト・モノをいかに効率よく処理するか」だけではなく、そもそも過度にヒト・モノが集まらないようにすることがより重要になってくると思います。この点で、たとえ利便性が落ちるとしても、予約中心のシステムや必要なモノを必要なだけ輸送するシステムなどの重要性が増すのではないかと感じました。また、配達員の負担の大きさや再配達の問題については度々聞いたことがあったので、バケツリレー方式の輸送は非常に効率的だと感じました。

fro1014cd    reply

渋滞学という全くあたらしい分野についての非常に楽しい講義をしていただき本当にありがとうございました。日頃多くの人が疎ましく思っていながらも妥協して過ごしている渋滞について、学問的な見地から研究し、成果を挙げられていらっしゃると言うのは非常に衝撃を受けました。授業ではエレベーターの登り方などや歩道橋から降りる時の密集の原因など卑近な例から渋滞学についての解説をしていただき非常に分かり易かったです。ANAの搭乗順番の変更など我々が見過ごしている生活の端々にこの様なアカデミックなことが織り込まれているのだろうと改めて気づかされる様な授業でした。

Tetsuya1221    reply

大変興味深い講義をありがとうございました。講義で述べられていた新しい物流体系や供給の体系は面白く、それらが実現した社会が来ることを想像するとワクワクします。
講義を聴いていてUber Eats のことを連想しました。各会社がそれぞれ行っていた宅配サービスが一本化されてさらにそれまで宅配を行なっていなかった店も巻き込んで宅配サービスが拡大される様子は新たな物流プラットフォーム(に似たもの)とその効果を表すと考えます。特に出発地から目的地までを一対一で一時的につなぎ、それぞれの運搬が独立して行われていることがインターネットと似ていると考えます。
このことは現在Uber Eats が直面している個々の運搬の管理がむずかいしいことや責任の所在などの問題が物流のインターネット化でも当てはまる可能性があることを示しています。管理と責任の問題はより複雑な網目上の物流を実現する時に大きな壁になると思います。

GFree59    reply

イベントにおける群衆マネジメントに関連して出てきた、自然と特定の行動に人々を誘導するような仕組みの設計がとても興味深く感じました。講義では群衆にとって有益な面が紹介されていましたが、多数の犠牲者が出た数年前の京アニの放火事件のように、何らかの悪意のある人により悪用されるケースも少なからずあるだろうなと思いました。講義終盤の話題にもあった利便性と安全性のトレードオフな関係はこれから先ますます顕著になるだろうし、リスクヘッジとなる手段の重要性も大きくなるように感じました。

yjiro1638    reply

今回は渋滞学という(僕にとって)真新しい学問分野とともにコロナ対策について学ぶことができました。群衆をマネジメントするということの面白さを感じ取りました。さいたま国際マラソンやエスカレーターの件、さらにはクイズの例など、様々な具体的な事象を提示してくださったので、とても分かりやすかったとともに、身近な現象に大きな変革をもたらしうるものなのだと実感を持ちました。エスカレーターの効率化について、もともと、2列で歩かずにいるほうが効率的であるというのはどこかで知っていたのですが、その裏事情に、大勢は歩かずに止まって上ることを選ぶということがあるとは知らなかったです。僕個人的には、それぞれの好みや予定に合わせて、歩く側と止まっている側分かれてていていいのではないか(そもそもエスカレーターで歩いてはいけないのかもしれませんが)と勝手に思っていましたが、大きな大会などがあった時の駅のホームの人数を考えて、全体としての安全性を保つ必要があるということで、広い視野の重要性を感じました。協調とともに訪れる便利で効率的な世界の一部として自分も役立てるといいです。

morita1016    reply

ちょうど先日空港を訪れて、6グループに分かれての搭乗を促すアナウンスを耳にしました。「渋滞」とは離れた取り組みだと感じたので、これにも西成先生が携わっているのかと驚きましたが、講義を聴いて納得しました。今後、経済を回すためにイベントが多数開催されることになると思いますが、群集事故を防ぐだけでなく感染を抑制するためにも群集マネジメントの必要性はさらに高まっていくと思います。群集マネジメントの知識は、イベント運営に携わる人だけでなくイベントに参加する側の人にも求められると感じました。

taki3    reply

渋滞という複雑な事象を物理学などを基礎とした学問で体系的に把握できるということは非常に面白く思えた。特に群衆事故は身近な事象に感じられ、勉強になった。また、物流の渋滞は取り組むべき問題であろう。荷物の再配達をお願いしないように注意したいと思う。具体的な内容以外にも先生の新しい学問を作ろうという心持ちには感嘆した。これから、先生を見習って頑張っていきたい。

nori1121    reply

講義ありがとうございました。僕自身も普段から車に乗っていて渋滞について考えることが多いため、渋滞を研究する学問と聞いてとても興味深く感じました。そして実際には、渋滞学といっても物流や人の流れまでも網羅した学問であることを知り、現代世界でなくてはならないとても重要な分野であることが分かり、その専門家の先生にお話を聞けて大変良かったです。物流については、自分自身amazonやubereatsを利用することが多く、気軽に頼んでしまっていた再配達がよくないという事に衝撃を受けました。群衆マネジメントに関してもコロナ対策に応用できる場面が多く、今後は渋滞学の分野にアンテナを張って、日々過ごしていきたいと思いました。

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