ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第7回 11月20日 加藤 照之

津波

「水」は人間に大きな恩恵を与えるが、一方大きな災害を生み出す元ともなる。「津波」はその最たるものであろう。日本は特に古来から津波の襲来を受けてき た。講義ではまず、その語源に触れ、歴史的な側面から述べてみたい。続いて、なぜ津波が発生するのか、そのメカニズムに触れ、特に2011年に発生した東 北地方太平洋沖地震津波について、なぜ発生したのか、なぜ多くの人命が失われたのか、また、「津波災害」からの教訓を後世にどのように伝えていくべきなの か、等について理学的な側面や社会学的な側面など様々な角度から論じてみたい。

講師紹介

加藤 照之
東京大学地震研究所教授。 昭和27年11月21日生まれ。昭和55年東京大学大学院理学系研究科修了(理学博士)。専門は固体地球物理学。主としてGPSを用いてプレート運動や地 殻変動を計測し、その原因を探ることを研究テーマとしてきた。GPSをブイに搭載して津波を計測するGPS津波計を開発。著書「GPS測量の基礎」「地殻 ダイナミクスと地震発生」(いずれも共著)など。
授業風景

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コメント(最新2件 / 22)

福井    reply

日本は地震が多い国であるが故に、それに対する対策も非常に発達していて、地震対策に関しては世界で一番といっていいということがわかった。日本はこれまで地震に苦しんできたので、今後は同じように地震に苦しんでいるが技術が十分に発達していない国の地震対策を手助けすることで、世界へ貢献していくことができると感じた。そして日本自体もこれから起こるであろう南海トラフ地震への対策をしっかりしていかなければならない。

横山 怜太郎    reply

これからどの地域でどの程度の大きさの地震が起きると予測するために、どのようなアプローチがあるのかを知ることができた。地層を調べて堆積物を見たり、海底の標識の移動を音波で調べる方法など、初めて知ったことが多かった。
新たな技術を用いた計測も導入されつつあるとのことで、今後予測される南海トラフ地震での被害を最小限に食いとどめられるよう、一刻も早く実用化されることを願う。

M.A.    reply

津波を測定するための機械が、津波によって破壊されてしまうと聞いて、3.11地震の津波の威力というのは本当に恐ろしいものだったのだと改めて感じた。津波の様子は、機械を使うことで、データとして波の様子を知ることができるのですごいと思った。ただ、波の高さをはじめから知ることはできなくて、陸に近づくにつれて高さがどんどん高くなっていくというのは、こわいと思った。地震予測では、30年以内にM8~9クラスの地震が60~70%で起こるそうなので、もう今のうちから危機感をもって、行動しなければならないと思った。

T.H.    reply

海底の動きを確かめるために、幾何的に考え、精度が不安定な水中という状況でも高いのはすごいと思った。また東日本大震災のときに、広範囲が影響を受け、20数mも動いたことに、規模の大きさを再認識した。また検潮場、圧力センサーの小屋も壊されてしまったことに驚いた。津波を防ぐ手段はなく、今できる対策は普段から準備をしておいて、発生したら逃げるしかないということを再認識し、自然の大きさを確認した。津波の時、川の近くも危険である、30年という比較的長いスパンで見ると、発生確率は非常に高いというのは、驚き、不安になった。

塚崎 隆志    reply

先週に引き続き津波についての授業ということで興味深く聞かせていただきました。GPSを用いて地震の研究をするというのは初耳でした。地震の予測というものは現在30年スパンで確率が出ているものの、期間の長さ故にピンと来ず、対策がおろそかになっている木がします。自分を含めてもっと危機感を抱くべきと感じました。

koya    reply

津波を予測するシステムが日本だけでなく世界的に構築されていて、とても高度なことに驚いた。またGPSまで使って津波の大きさ、到達時間などを測れるのはすごいと思う。地震に伴う津波は滅多に被害に遭うことがないため日常的に対策することは難しい。だが襲われた時の人命、財産の被害は甚大なものなので、海岸線近くに住まないことや商業施設を置かないことを意識的に行うことが必要だろう。

しゅうへい    reply

地震の予測はある程度正確にできるようになってきているとは言え、まだまだ何月何日の何時何分に起きるかという精度では分からない。これから技術が進んで分かるようになるとしてもまだ遠い先のことであると思われる。そんな今、最も大事なのは人々の心がけはもちろんのことであるが、それのサポートとしていかに正確に地震・津波を計測し、警報をどれだけはやく出すか、であろう。3.11が起きてしまった今、人々は地震・津波に以前より敏感になっている。多くの教訓を学び残していく必要がある。津波の遺恨としては代表的な1つを残しておくべきだと感じる。原爆ドームは今も人々に戦争の痛みを感じ続けさせてくれている。それと同様の何かを後世に伝え続けるべきだろう。

山田 晃平    reply

現在の津波警報の努力とその限界が知れて良かった。私の実家は高台にあるので不安はないが、祖父母が海沿いによく旅行に出ているので注意を喚起したいと思った。
また、地元の防災活動にも積極的に参加してみたいとも思った。やはり、災害に対しては受け身ではなく、常に当事者としての意識をもつことが大切なのだと感じた。

W.S.    reply

今週は津波や海底の測定の話があったが私は実際にはどのように測定するのかを知らなかった。特に三角形の重心を利用する方法は思いもよらなかった。私は神奈川県に住んでおり、通学で毎日横浜駅を使うので地震が発生した際には気をつけたい。

Yamato    reply

津波の監視警報を行う場合、津波の高さに関する予測の値が小さすぎると警戒心を喚起できないが、値が大きすぎると人々の心に「思ったよりも規模が小さかった」「次回はそんな慌てる必要はないか」と油断させてしまう。正確な予測が出来てそれを提供すればよいが完璧に予測することは困難である。そこで、津波が来ることのみを伝え規模を伝えないようにすることで、人々の心の中で不安をかき立てるようにするのはどうだろうかと思った。

戸塚 啓介    reply

GPSでの津波計や、海底水圧センサーといった技術は、津波の被害を小さくするのにとても有効だと感じた。しかし、先週の講義の初めに先生がおっしゃったことが一番心に残っている。地震学において、地震の予知が最も課題だという内容である。いつか将来的に地震の予知が可能になったら、人類にとってとても大きな一歩となるだろう。

sawa    reply

どんなに警報を素早く正確にしても、逃げる意志がなければ意味がないという言葉が印象的であった。以前から津波に限らず警報は出るのが早いなと思っていたが、このように複雑で高度な技術が使われているとは興味深かった。

ikeda    reply

津波の大きさを察知する方法について詳しく解説していただいた。日本が中心だったが、インドネシアでの津波対策の部分は、特に新しく知ったことが多く、興味を持った。

S.M.    reply

避難の際は人々を本気にさせることが重要だと思うが、どうすれば人々をパニックに陥らせずに深刻な警報を発することができるのか、といったことには心理学的な問題として少し興味がある。いざ自分が避難しなければならない立場になってしまった時に冷静かつ迅速に動ける気はあまりしないが、正当に動いていれば助かった命も多かっただろうと考えるとどうしてもやるせなくなるので、そういった発令方法や人への知らせ方が確立されることを切望している。

miyakawa    reply

前回学んだことをもとに、津波による被害を軽減するための取り組みや、津波に対する心構えについて理解することができた。震災が「過去」のものとなっていくなかでどのようにして人々に津波に対する意識付けを行っていくか、ということは難しい課題だと感じた。先生の説明がとても分かりやすく、興味深くお伺いすることができた。

tagaya    reply

津波に備えるということで、津波を引き起こす海底の地盤の動きの観測や、津波自体の計測などについて知ることができた。地盤の動きを観測して得られたデータをもとに地震による津波を予測することや、防災施設や警報システムの整備、防災教育をすることが非常に大切だと感じた。

KEN    reply

前回の津波についての概論を経て、今回の授業では津波の観測・対策に言及されていて面白かった。
津波の被害の痕跡を残しておくことで、後生への教育材料とするという考え方による災害意識の維持はとても効果があると思った。ただ先生がおっしゃっていたように、被災者の心情に十分に配慮する必要があると思う。

tarou    reply

 日本には、地震や津波を検知する優れた技術が存在することを知った。それは地震が頻発するという特別な環境に日本が置かれており、そのような技術の必要性が高いからではないかと思った。 
 津波による災害を防ぐためには、地震や津波を検知する優れたシステムだけでなく、個々の人々が危機意識を持つことが必要だとわかった。しかし、そのような危機意識を持つことは、実際に災害を経験したことのない人にとって、困難な課題であるように感じられる。

大野    reply

地震、津波といえば、予測や観測などの技術的な発達が重視される(ように思う)が、「避難、防災」の技術にも研究分野として力を入れて行くべきなのだろうと感じた。市民に常に防災意識を根付かせ、災害時にはそれに対応できるだけのハードを準備しておく、いわゆる災害に強いまちづくりというのはわりと本腰を入れて取り組むべき事案なのだろう。

森山健太郎    reply

地震の観測や対策に関する技術が今日に至るまでに相当の進歩を遂げていることが分かり、非常に面白かった。
これから大震災が起こリかねないという東京に住んでいる時点でこれらの技術や被災者感情については他人事とは言えなくなるので、危機意識を持ちしっかりと心構えや実際の対策を行っていくことがとても重要なのだと感じた。

石川 大希    reply

関東にしても南海トラフにしても大きな地震が予測されており、今後危機感を持って対策していく必要があると思った。GPSや音波など、様々な技術が発展して地震が発生した際の津波の到達時間や規模、あるいはその予測がわかるというのはとても大切なことだと思うのでぜひ今後もこれらの技術が進歩していってほしい。同時に、人々が一人一人日頃から被害にあわなくてすむような行動、対策を心がける必要性も改めて感じた。

mochi    reply

津波の予測システムが広く世界で構築されていることは驚きを感じた。津波の予測には過去の観測データが有用だと思う(ある現象が起きたら地震が過去一定の確率で起きてきたという事実から統計学的に予測をする)が、そのようなデータの蓄積を待たなければ精度の向上も制限される以上、精度向上のために時間の経過を待たねばならな側面があることはもどかしく感じる。将来の備えのために、人に甚大な被害をもたらす地震がよきサンプルとなるからである。そのために、予測システムとは切り離された防災システムの構築を怠ってはならないと再確認できる講義であった。

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