ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第8回 11月27日 渡邊 雄一郎

生命になぜ水が必要なのか

水はわれわれにとっては身近な物質であるが、化学の世界ではむしろ特殊な物質である。地球上には水が豊富に存在するために、海洋、大気、さらには地表のあ りさまも水の性質によって大きく支配され、変化もする。本講義ではこの流れをうけて、最初は水という物質について概説した後に、我々の生体内でその性質が どのように活かされているか、その中にとけている物質がどのように挙動するかを考察する。ここから生きているとはどのようなことかを、化学と生物学的な観 点からの表現を試みる。進化のなかで生命体は、水の性質の影響を受けながらも適応力を身につけたものが生き残ったと考えられる。巧みにその性質を利用して いる興味深い生物現象にも遭遇する。人類の誕生とその営みは、それまでの生命と水の関わりに新たな段階を生み出したと考えられ、人類が地球の水環境を守ら ねばならない時代に来ていると考えられる。

コメント課題
水が地球上の生命活動を維持する上での重要性を、授業で感じたこと、少し調べたことに基づいて自分の言葉で表現しなさい。
講師紹介

渡邊 雄一郎
植物を対象にして、生物が地球環境の中で生きていること、生き延びてきた仕組みを、遺伝子やRNA分子に注目しながら研究している。なぜ木は大きくなるのかといった目的論ではなく、どのようにして大きくなることができるのかという機構に興味があります。
参考文献
  • アズビー・ブラウン『江戸に学ぶエコ生活術』、阪急コミュニケーションズ、2011年
授業風景

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コメント(最新2件 / 20)

T.H.    reply

水というものは、その特殊性から生命の維持に幅広く使われており、水でないといけないということは、DNAが抽出できることからも、明らかであった。高温高圧という極限状態の深海の中でも、水というのはやはり重要であり、水が生命に不可欠であると認識させられた。また、他の食事や排泄にも水が不可欠であることから、生命と水の関係の深さについて知った。

M.A.    reply

生命重量の7割は水で構成されており、その水の特異な性質から、水は生命には必要不可欠であることがわかる。水は、他の液体ではとかせない物質をほとんどとかしてしまう。(例DNAmなど)また蒸発熱の大きさから、生命の体温を安定にたもつことができ、そもそも比熱が大きいので、多少の温度変化では体温を大きく変化させることがない。といったように、様々な面で、水は、生命を支えているため、大変重要である。

福井    reply

すべての生物が水を利用して生きており、水に栄養などを溶かしたり体内に水を保ったりするシステムを構築するように進化してきたことがわかった。生物が水を利用するように進化してきたという点で、水が生物にとって重要なのは当然であると感じた。

W.S.    reply

授業の内容ではあるが膜があるおかげで、溶質やその濃度に差異が生じ、異なる働きが行われているということは新しい発見であった。また、細胞が分割していくことはつまり新たな機能が加わっていく過程だという視点は面白く、これまでの高校生物で私は気付かない点であった。

しゅうへい    reply

水は生きていく上で欠かせないものであるから、常に生活上身の回りのどこかにある。特に周囲の環境を重視する、いとあはれなどと評す日本という国では水に関連する言葉が多く生まれているように感じる。またそれゆえに身の回りの水環境にはうるさいのが日本人であるようにも感じる。家を選ぶときなど水回りの設備、台所やお風呂、トイレなどどれもきれいに保っておきたい場所であり、その人の細やかさがあらわれる場所であるように感じる。そのように火とは水回りの環境に敏感なのであろう。

Yamato    reply

体を清潔に保つ、排泄するにも水は必要であることからも分かるように、人が生きていく上で水は必要不可欠なものであるが、原始的な集落(塊村)が水の得やすいところに発達していったように地理学的な視点で考えても水は必要不可欠と言えると思った。また、歴史上水が争いの事由となったことがあるように、政治的にも重要だと言える(モーゲンソーも国力を決定する因子に水も内容されうると思う。)

平井 悠登    reply

水についての色々なイメージが深まったと思います。
(課題)
改めて水という物質の特殊さを考えてみると不思議に思う事が多かったです。植物や動物が生きる中で水が重要だという当たり前の事も改めて見返してみると複雑な仕組みを持っているなと思いました。

かしわもち    reply

理系としては大変身近で重要な話題だった。水が生物にもたらす恩恵は数多くあるが、中でも溶媒としての重要性は液体の中でも群を抜いている様に思う。人体に必要な物質の多くが水に溶けた状態で摂取され、生命維持のための反応もその物質が水に溶けているからこそ行われる。これほど重要な役割と持っている「溶ける」という現象だが、どうにも説明がいい加減に思えた。次教える機会があればこれについて詳しく解説してほしい。

miyakawa    reply

授業では水がマクロからミクロまで、実に多様な次元で地球上の生命活動を維持する役目を担っていることが分かった。人間だけに限ってみても、歴史家ヘロドトスが「エジプトはナイルの賜物」といったように、水は作物の栽培に必要な栄養を運ぶ役割も果たせば、暦の役割も果たす、といったように歴史的に生命活動を幅広い面で支えてきたようである。その所有をめぐって水紛争までもが起きていることからも水の重要性が分かる。

sawa    reply

水が生物の生育に必要不可欠なのは自身を例にとってみて考えてもわかることである。また海や多雨地域の生物の多様性を見てみても、生物にとって水が重要だということがわかる。

横山怜太郎    reply

1. 水の得意な性質は、水分子が極性分子であることに由来する。そのため、クラスターと呼ばれる特殊な状態で存在しており、このことが同族の水素化合物との融点・沸点の大きな違いに結びついている。また、この性質はさらに、水が4度で最小体積となることや、水が他の液体に比べ比熱が大きいという性質に結実している。ただし以上の点は講義でも取り上げられた。
2. そこで思うに、水の比熱が大きいことから、大気中の水蒸気か持つエネルギーが通常の気体より大きいということが考えられる。水温の低い春の海で形成された台風が比較的短時間で消滅し、水温が高い夏以降の台風が日本まで到達することを考えると、水蒸気の持つエネルギーの大きさは気象の激しさと関連がありそうである。生命が誕生するためには、水中の高分子の反応が活発に起こっている必要があるので、気象の激しさは決定的な要因となる。
3. つまり、水の比熱が大きいことが苛酷な気候を生みだし、それが生命誕生の布石となったのではないかと私は考えた。(文科生であるため根本的なミスがあるかもしれませんが…)

KEN    reply

授業で聞いた内容と自分なりに調べてみた結果を総合すると、水の重要性は大きく2つあるように思う。1つ目は化学反応の場としての重要性であり、溶媒としての役割である。2つ目は水(水分)の存在によって与えられる弾性によって生命の形態維持を助けるというものである。
今回の授業では水と地球生命という直接的に繋がった内容であり、自分にとってはとても興味深かった。自分が思っていた以上に生命にとって水が基礎となっていることがわかり驚いた。

戸塚啓介    reply

水という存在が当たり前すぎて、その性質がいかに特異であり、そしていかに人間にとって重要であるかは考えたことが無かったので今回の講義でハッと気づかされたような気持ちである。水がモノを"溶かす" というなんの変哲も無い現象が人間に限らずあらゆる生命の維持に不可欠な現象である。母なる海とはよく言ったものだが、その言葉の意味するところをもっと奥深く聞いてみたいと関心をもてた。

tarou    reply

際立った性質がないように思える水だが、普段は私たちが当然のこだと考えている、常温では液体であり、様々な物質を溶かすという性質は他の物質にはないということを知り、水が生命の基礎として代替の効かない重要な役割を担っていることが分かった。

日本において全水消費量の約67%は農業用水であり、生物の中でも特に人類の生命活動維持に必要な食糧生産に要する水の量は、工業用水や日常用水などのある意味生命維持に不必要な用途に比べて膨大なので、水は人類生存の上で非常に重要だと思った。
 

森山健太郎    reply

水は溶媒としての特質が強いため、様々な物質の運搬や保存に活用することが可能であった。そのために地球の原始生物は海中に生息していたのだろうし、それを利用して生物が繁栄と進化を続けてきたのは間違いのないことであろう。人がプールや風呂に入るとき高揚感や安心感を得ることができるのはそのためだろうし、人間の生活維持と発展に水が大きな役割を持っているのも水の溶媒としての特質とそれに基づく生物の反映に起因するのだろうと思う。

大野    reply

生命活動にとっての水というと、母なる海、といった言葉が頭に浮かぶが、そんな悠長なハナシではなく、「今」まさに生命は水に依存して存在しているのだと思い知らされた。「ほ乳類は体の70%が水だから、水が重要」だとかいうレベルではなく、「水がなくちゃあらゆる生命活動ができない。故に水なしの生命はあり得ない」という次元で水は重要な存在だったのである。

s.m.    reply

日頃何気なく接している最も身近な液体である水が液体の中でも相当特異な性質を持っていることについて改めて知ることができ、とても興味深い授業だった。
性質そのものについては高校までの授業などで既に知っている部分も多かったが、それが実際に生命活動の中で果たしている役割についてしっかり学ぶのは初めてだった。特に水が凝固すると密度が小さくなり体積が増すことが、細胞内では致命的なダメージとなりうることを知ったときはハッとさせられた。

ikeda    reply

生物にとって水が不可欠なのは、生物の体が水でできているから。動物も植物も、吸収した栄養を見ずにとかして体全体に行きわたらせている。水分の放出によって体温を調節したり、不要なものを排出したりする種も多いため、外部からの水分九州も重要事である。

石川 大希    reply

人間の体の3分の2は水分とも言われ、血液等で全身を回ったり、排出物を出す際や、汗などによる体温調節にも使われており、人間の生命維持には不可欠だ。酵素等の反応も水分に溶けた状態で行われるのでやはり水がなければ体が機能しなくなるだろう。
今回の授業は生物を多少かじっていた私としては非常に興味深かったし、思っていた以上に生命活動と水が関わっていることに驚いた。

送信に10年かかりました。    reply

普段当たり前のように使っている水は化学的な観点から見ると実に不思議で、生命活動を維持する上で非常に重要な性質を秘めていると学んだ。特に水の比熱の大きさが体内の恒常性を維持するのに役立つ一方で、気化熱の大きさにより熱を奪いやすいという性質もあるので体温調節において水は非常に都合のいい物質だったというのがとても面白いと感じた。
水分子には極性があると高校化学で学んだが、その極性が水素結合、イオン結合、疎水性相互作用の3つの弱い力を作りだし、それがイオンの溶解(電離)、触媒作用、細胞膜の形成を可能にしている。極性が水の唯一無二である固有性質に起因しており、その結果生命は水に依存する道を選んだ。
水の中でしか形成されない水素イオン濃度勾配をエネルギー源としてATP合成が行われているというのも非常に興味深い事実である。
宇宙にはメタンの湖がある衛星が存在しており、前々からメタンの湖でも生命は発生するのだろうか?と個人的な疑問を抱いていたので今回水の特異性について学習し、思慮を深めることが出来たのはとても有意義であったと感じる。

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