ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい
第7回 12月01日 廣瀬 通孝
コンピューターとVR(ヴァーチャル・リアリティー)Ⅱ
(1)リアルとバーチャル:コンピュータの進化とVR世界の創出
(2)ヒトと機械:デジタル化時代の人間とは
コンピュータ技術は格段の進歩をとげた。VR技術に代表される疑似体験技術は、第2、第3の現実世界を創出し、われわれは今やパラレル・リアリティの世界を生きている。VR世界はTVゲームなどですでにおなじみであるが、実際はもっとシリアスな存在である。本講義では、VR技術の現在に至る歴史を概観した上で、いかなるVR世界が創出可能で、今後それはわれわれにどんな影響を与えることになるのかを考えていきたい。
- 講師紹介
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- 廣瀬 通孝
- 情報理工学系研究科教授。 1954年鎌倉生まれ。1982年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、工学博士。東京大学工学部講師、助教授を経て、1999年先端科学技術研究センター教授、2006年より大学院情報理工学系研究科教授。専門はシステム工学、ヒューマン・インタフェース、バーチャル・リアリティ。著書に「バーチャル・リアリティ」(産業図書)、「空間型コンピュータ」(岩波書店)、「ヒトと機械のあいだ」(岩波書店)など多数。
コメント(最新2件 / 2)
- 2010年12月07日 23:42 reply
先週の講義に引き続き、VRの様々な応用の可能性について学ぶことができ、とても興味深かったです。
Life Logという形の応用についてですが、たまたまつい先日全額体験ゼミナールで、一週間腕時計型のコンピュータを付けて生活し身体の運動や心理状態を記録するという実習を行いました。同時に手書きで活動記録を付けていたのですが、自分の記憶を元に記録したものとコンピュータに記録されたもののズレが予想以上に大きくて驚きました。生活習慣病などの治療の一環として一日の活動や食事を記録しなければならないことが実際にあると思いますが、記憶に頼った記録は(人によるとは思いますが)かなりアバウトなものになりがちなのでLife Logの活用によってより効率的な治療が可能になりそうだな、と改めて実感しました。
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バーチャルリアリティの話とてもおもしろく伺いました。
今回の話で、予想以上に技術が進んでいていろいろなことができることがわかりました。授業でもこの技術は適切に使われなければいけないという話がありましたが、技術が進めば映画『マトリックス』のような世界が可能になるかもしれません。
そういう想定をすることは可能だと思いますが、そうなったときに身体とはいったいいかなる意味を持つのか不思議に思いました。独我論的に考えれば、バーチャルリアリティだろうがリアリティだろうが同じことです。人間は夢を見ますが、究極的なバーチャルリアリティが実現されることは、人間が見る夢がもう一つ増えるということだと思います。
『マトリックス』では、サイファーがエージェントと取引して「現実の世界」から「マトリックスの世界」に戻ろうとしました。このときサイファーは「マトリックスの方がずっと現実的だ」と言っていたと思います。
もし「マトリックス」のようなバーチャルリアリティが実現したら、世界は根本的にひっくり返ると思いますが、そのとき人類はバーチャルリアリティとリアリティどちらを選ぶのかが気になります。