ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

学術フロンティア講義
【Aセメスター】
2024年度「装う」

2024.Oct.09

概要

「装う」ということは、いつも何らかの仕方で他者を前提にしている。見られたい誰かを抜きにしてファッションは考えられないし、制服は他者たちのあいだでその共同体への帰属とそこでの地位を明確にするためのものだ。また昆虫の擬態や、所謂「仮装としての女性性」をめぐる議論を想起するなら、「装う」ことは他者の脅威から身を守ることをもまた可能にする。それはよそよそしい、さらには敵対的な環境に入り込み、生き延びる手段を与えてくれるものでもあるのだ。

 さらに「装う」ということは、われわれに虚実をめぐる問いを突き付けるものでもある。たとえば誰かが「平静を装う」と言う時、そこにはその人が本当は平静でないということが暗に述べられている。ただここで前提されている本当の姿と仮の姿の区別は、見かけほど自明なものではない。これはそうした区別が外側からは分かり難いという以上に「装い」の本質に関わる。たとえば私が自分のなりたい姿を「装う」とき、それは虚実のいずれに属するのだろうか。そもそも私が他者とは無関係にはあり得ないとすれば、われわれが「私」と呼んでいるものはむしろ、われわれが他者を前にして取るさまざまな姿の集積であり、つまりは「装う」ことそのものであると言えはしないか。

 本講義では文理双方の教員が、こうした「装う」ことをめぐる問題が明らかになるさまざまな場面をとりあげ自らの専門分野から照明をあてることで、受講者がそれらを手掛かりに、この主題について独自の見方を培うことを目指す。

日時・教室

2024年10月2日-2025年1月15日

水曜日5限(17:05-18:35)@駒場5号館 511教室

  • 対面開講(※初回のみオンライン:URLはUTOL上で受講者にご案内します)
  • 10月23日のみKOMCEE West K101で授業を行います。(当日は動きやすい服装で、白足袋か白靴下を持参してください。)
  • 11月13日と27日はお休みです
  • 履修に際しては履修確認・訂正期間を利用して登録してください
  • 期末レポートについては、授業時にお知らせします。

問い合わせ先

東京大学リベラルアーツ・プログラム(LAP)
Email: admin@lap.c.u-tokyo.ac.jp
ホームページ:http://www.lap.c.u-tokyo.ac.jp/ja/

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