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第3回 10月20日 淺間一

サービスロボットのニーズ・研究開発・社会実装

 近年,人工知能とともにロボット技術が再び注目されており,様々なサービス分野でのロボット技術の需要が高まっている.ただし,様々なサービスロボットが開発される一方,それらは必ずしも社会に普及していない.サービスロボットには,人との共存が求められる.本講義では,サービスロボットのニーズ,必要となる技術と研究開発について紹介するとともに,社会実装において重要となるロボット技術と人・社会との関係について述べる.

講師紹介

淺間一
1984 年東京大学大学院修士課程修了.1986年より理化学研究所.2002 年東京大学人工物工学研究センター教授.2009 年同大学院工学系研究科教授.2019年同研究科人工物工学研究センター長.サービスロボティクスの研究・社会実装等に従事.日本学術会議会員.IFAC会長.工学博士(東京大学).
授業風景

 第3回では、工学系研究科教授、同研究科人工物工学研究センター長の淺間一先生にご登壇いただき、サービスロボティクス理念や、コロナ禍におけるサービスロボットの有用性とその課題についてお話いただいた。

 製造分野を中心に発展した日本のロボット産業は、今後はサービスロボット部門において成長が見込まれるという。サービスロボットとは、医療や介護を中心としたパーソナルサービスのほか、保守点検や災害対応といったインフラ維持にも関わるパブリックサービスを担うロボットを指す。とりわけパーソナルサービスロボットは、おもてなしの心を重視する日本の医療・介護業界にはなかなか浸透してこなかったという実情がある。

 しかし他方で、現代の日本社会では、サービスロボットへは熱い眼差しも向けられている。実際、災害大国である日本においては、福島第2原子力発電所で行われている廃炉作業のような、危険な作業を担うことのできるパブリックサービスロボットへの需要が高まっている。さらに、新型コロナ対策として社会のさまざまな「接触」機会が制限されるなかで、パーソナルサービス分野(医療・配達・コミュニケーションなど)において、ロボットの社会実装に向けた導入実験が進みつつある。

 コロナ禍における対面機会の制限は「情報的インタラクション」と「物理的インタラクション」の制限として整理することができる。これらはデジタル化の推進や多様な働き方を実現した一方で、人間が社会生活をおくるうえで重要な、さまざまな機能に少なからず悪影響も及ぼしているという。ふたつのインタラクションの制限によって失われた機能の実例として、淺間先生は前者について「視線・ノンバーバルコミュニケーション」、後者について「体性感覚」と「実時間性」を挙げる。

 オンライン・コミュニケーションに付随する違和感は、「場の雰囲気」の欠如はもちろんのこと、視線の共有やノンバーバルコミュニケーション(表象・例示といったはたらきによって細かく分類される)の制限にも起因するようである。とりわけ、視線が合わないことや、指差しや視線の共有を含む「共同注意(私たちはこれに似た行為を生後9ヶ月の頃からやっている)」が失われたことで、オンラインでのコミュニケーションは幾分ぎこちないものとなっている。

 体性感覚は、皮膚感覚と深部感覚(身体内部で、臓器感覚とは区別される筋・腱・関節の感覚)からなる。前者が触覚や痛覚といった知覚に関する感覚である一方で、後者は身体の位置情報をもたらす。親しみを感じるひととの身体的接触には、脳に神経伝達物質のオキシトシンを分泌させ、ストレス軽減のほか、不安や恐怖心を減らす作用があるという。触れるという癒しもまた、コロナ禍によって制限され、ロボット技術者がその再現に向けて努力を重ねているもののひとつである。

 実時間性については、ある操作に対して即座に応答が返ってくる状態を指す。例えば、オンライン会話で通信環境が悪く、会話が噛み合わない場合、このような状況では実時間性が失われているといえる。操作と応答の時間的ズレは、コミュニケーションの妨げになるだけでなく、運動主体感や身体保有感といった人間存在の根幹的な認知機能にも悪影響をもたらすようである。

 実時間性が身体の所有感に影響を与える例として、講義では「ラバーハンド錯覚」という興味深い事例が紹介された。実験では、テーブルの上に置かれた被験者の片手を本人から見えないように隠して、本来の手の位置には模型の手が置かれる。隠された被験者自身の手と模型の手の同部位に対して同時に刺激を与えていくと、被験者は模型の手を自分の手である感じるようになる、というのが実験の主旨である。この錯覚状態で模型の手を思いきり叩けば、被験者も激痛を感じてしまうほどに、同時性(脳内の物理・視覚フィードバックの迅速さ)はわれわれの身体の感覚に強くむすびついている。

 以上の性質は、「対面」の減少によりその機能が低下してしまうことが危惧されている。しかしこれらすべては、人間の生存だけでなく社会生活に大きく関わる重要な役割を担っている。サービスロボティクスは、こうした状況とどのように向き合っていくのか、その事例として講義では「起立支援ロボット」が紹介された。

 介護現場で様々な肉体的負担を抱えながら働く介護士のために開発されているのが、この起立支援ロボット(人体に装着するスーツではなく、独立して人間を持ち上げることの出来るロボット)である。開発過程では、複数の筋肉が同時に関係し合いながらはたらく「筋シナジー」解明のために、立ちあがり運動の細かな解析が行われた。さらに、一人ひとりの被介護者にあった持ち上げ方が可能となるように、理学療法士の実際の持ちあげ動作も分析対象となった。こうしたロボットは現在、社会実装に向けて開発が進んでいる。

 サービス工学においては、一人ひとりの要求への「適応」、価値観への「誘導」のほかに、サービスに対する「実感」がもっとも重要であると先生は言う。デジタル化によって人びとの手をすり抜けてしまう「実感」があるという状況は、例えばインターネット上で飛び交う誹謗中傷の言葉からもうかがえる。

 しかしサービス工学は、たんに失われた「実感」をデジタル技術で代替すればよいという結論を支持しない。人びとが理性を失わないために重要な「実感」を技術に装備する(人の心を癒す、ケアロボット等)一方で、現実世界で互いに顔を合わせ、交流することの重要性を忘れていない。そして、こうした課題を乗りこえるためには、先生曰く、何よりもまず人間への理解が重要である。

 今回の講義を受けて、技術に万能性を求めず、その限界を引き受けながら模索しつづける技術者の考え方に誠実な姿勢を感じた。互いに顔を合わせることの大切さを噛みしめざるをえない今日、安全や快適さを守りながら、人間とロボットが心地よく、生き生きと共存することが可能な社会の到来に思いを馳せている。

(文責:TA松浦)

コメント(最新2件 / 23)

taisei0303    reply

運動主体感という概念が非常に興味深かったです。ラバーハンド錯覚は、感覚は私たちの身体を超えうるものだということを示唆していていると思います。また、オンラインでの交流には体性感覚や実時間性が欠けているということに強く共感しました。目が合うことやお互いの身体的距離は、コミュニケーションを取る上で非常に大切で、オンライン上でしか会ったことがなかったクラスメートに、オフラインで会ったら一気に仲良くなったことを思い出しました。

face1030    reply

サービスロボットについての知見が得られました。コロナ禍において注目されている技術のようなので、非常にためになる内容でした。実感について説明されていたところが特に興味深かったです。機械の使用下で実感が欠けてしまう問題は、コンピューターなどを扱うことが多くなった今身近に感じられるものでした。ラバーハンド錯覚のように、簡単に実感を失えることには驚きました

q1350    reply

対人コミュニケーションにおいて、表現と感受のバリエーションが多様にある中で、ロボットが人間とのコミュニケーションを完全に遂行する事は、非常に難しいと改めて思った。しかし、コロナ禍で失われる体性感覚と、そこで生まれるロボットのニーズの話を聞いて、ロボットは物理的に人々の生活を助けるだけでなく、結果的には精神面においても有用であるとも思った。人々の生活をロボットがその道具的側面によって支えることで、直接的なコミュニケーションの支援が困難であっても、間接的にそのニーズを満たせる可能性があり、その点ではロボットのニーズはより幅広いものであると実感した。

samiru618    reply

介護で介護士や看護師の方の多くが腰痛を患っており、腰痛のせいで辞めていってしまうというお話を聞いてとても悲しくなりました。介護士が不足しているとよく言われているのに、解決策として現場にロボットを導入するという案を温かみがないからと一概に解除してしまうのは残念だと思います。今後日本でもノーリスクが普及するといいなと思いました。また、今回の授業で驚くようなロボットがたくさん挙げられていてとても興味深かったです。今後さらに驚く技術が使われたロボットがどんどん登場するのかと思うと少しわくわくしました。

sk0515    reply

サービスロボット技術と聞くと、効率の良さ(動き、大きさ、経済面など)が重視されるものだと思っていましたが、人の「実感」が非常に大切になるという話が非常に興味深かったです。コロナ禍で対面での交流が制限される現在、私はある程度の生きづらさや閉塞感といったものを当初感じていましたが、徐々に慣れてきました。ところが、この春上京して一人暮らしを始めてみると、人と会うことの大切さが感じられるようになりました。人と長く会わないでいると、やはり寂しさを感じるものです。人と会っているという「実感」は私たちに大きな影響を与えるものであり、サービスロボットにも「実感」が求められるのだということに納得しました。

ken0712    reply

サービスロボットと聞くと介護ロボットやペットロボットのようなものを思い浮かべていて自分にはあまり縁がないもののように思っていたが、実際に触れる感触や同時性を追求することにより実感性のある仮想環境を作り出すという話は、大学の講義がオンラインで行われていてあまり大学に通っている実感を持てていないという自分の状況に通ずるものがあったので、サービス工学の考え方がコロナ社会、ポストコロナ社会において重要なものだということが実感しやすかった。また、今まではなんだかんだコロナが終われば全て元通りの社会になるような気もしていたのだが、この講義を聞いて、ポストコロナ社会というのはおそらく今までの社会とは違っていて、自分もそれにむけて準備し適応していかなければならないのだということを自覚させられた。

tsugu851    reply

授業ありがとうございました。授業の中で特に、日本では介護にロボットがなかなか導入されないという話が印象に残りました。日本は欧米と比べて新しいものの導入が遅い、といわれることが多々あると思います。ポジティブな意味でつかわれることもありますが、概して日本人は保守的なところがあるのでしょう。今後、人間による介護と、ロボットによる介護が、どちらもうまく取り入れられていってほしいと思いました。

0326ema    reply

対面ではないコミュニケーションでは何が失われているのか、そして対面の価値を改めて考えるきっかけになりました。身近なオンライン授業一つとっても、やはり場の雰囲気が伝わりづらかったり視線が合わなかったり、相手の反応との間にタイムラグがあることによってコミュニケーションしづらいと感じることはよくあります。今回のお話を聞いて、今後どれだけ技術が発達しても依然として対面は要求されるだろうと思いました。また、人との接触でオキシトシンが発生することも、対面の価値を裏付けるものとして非常に有力であると感じました。とても興味深いお話でした。

yk0819    reply

ロボット産業がサービス分野において市場を拡大させていくという予測が、想像以上に急速なもので驚いた。たしかに、これから人口減少する中でコンビニ店員や介護職員や運転などを今までのように人間が行っていくのは難しくなるだろうし、筋力が低下する高齢者の割合の増加によりアシストスーツなどの需要の増加も見込まれるであろうからなるほどと思った。危険な場所での活動や感染のリスクがある医療行為などは、ロボットに任せることで人間への被害を減らせるため積極的にロボットの導入を進めるべきだ。また、なんでも人間にやってもらえれば満足というわけではないのはその通りで、ロボットは疲れないし、同一の行為を何十回と要求しても嫌がらないためその面でも導入には大きなメリットがあるだろう。
オンラインでは場の雰囲気と視線の共有が失われることは以前から気づいていたが、新型コロナの蔓延によって強制的にオンラインでの活動が増加し、この弊害をひしひしと感じている。空気が読み取れないことで困っている教員も多いと聞くし、私も同じ講義を受けている他の学生の反応を見られないことには大きなデメリットがあると感じる。オンラインではラグが生じなんとなく変な感じになることがあったが、それについての実験や科学的説明についても聴けてすっきりした。

283ama    reply

コロナ禍によって人同士の接触を避けながらサービスを提供する必要が生まれ、ロボット産業へのニーズがより幅広いものとなっています。これは容易に予想できることのように思いましたが、同じ医療分野においても、治療用ロボットだけでなく、消毒や薬、食事の搬送のためのものなど、想像以上に多岐にわたるニーズがあるのだということに気付かされました。
それと同時に、オンライン化やロボットへの代替によって失われてしまうものも多くあるということがわかりました。人同士の物理的接触の減少や、それに伴うオキシトシン分泌量の低下などが一例です。こうしたなかで、あくまで我々が生きている現実を大切にしつつ、遠隔技術を活用していくことが必要なのだと感じました。

lmn7    reply

サービスロボットについてのお話を通して、対面における人と人との関わりの重要性を再認識することができました。今まで、オンラインだけではなく対面の授業も欲しいなと何となく思っていましたが、その何となくが言葉になって合点がいきました。また、実感についてのお話も面白かったです。あらかじめ全てを予測することはほぼ不可能でありながら、できるだけ多くのことを予測することが求められるというところが、難しくも面白いところだと感じました。コロナ禍で生まれた新たなニーズに応え、今までの技術ではなし得なかったことを新たな視点から見つめなおすサービスロボットの技術や研究開発に、目が離せないなと思いました。

mhy2135    reply

ロボット最大の活躍の場といったらやはり製造ライン、というイメージを漠然と持っていたので、私の想像よりもサービス分野の規模が大きかったことに驚きました。また、zoomでの話し合いや交流の場が多くなった今だからこそ反応時間や間と身体意識の話にはとても共感を覚えました。ロボットと聞くと「人間ではない」「生きていない」という側面に注目しがちなように思っていましたが、対してそんなロボットを開発する立場の人々は徹底的に人間について知ろうとしている、というのが印象的でした。

L1F2    reply

「実感」という概念が非常に興味深かった。私はVRを楽しむことが多いが、視界に表示される仮想手が本当に自分の体の一部に思えることがよくある。これは、ボタンを押すときの指の形と仮想手の形がかなりの精度で一致するため、運動主体感があり、さらに、仮想手が仮想でものに触れたときにコントローラーが振動するという触覚的なフィードバックがあるからなのだとわかった。仮想空間で「実感」が欠落する最大の理由は触覚にあるのだろうが、この点が改善されれば、仮想空間で「オキシトシン不足」を解決することももしかしたらできるのではないかと思った。

gyoza0141    reply

サイバー工学という分野についてはあまり知りませんでしたが、サイバー工学というのは単にロボットを作ってあれこれするというだけでなくむしろ、より人間について知ることのできる分野だと今回の講義を通して感じました。ロボットには人間を超えられない部分があると同時に、人間もまたロボットにはかなわない側面があって、人とロボットがうまく共存できる世界を目指すことは物理的にも倫理的にも課題は多いですが、わくわくするものだと思いました。そのような世界は、個々人にとってのさまざまな障害が解決されて誰もが生きやすい世界になるのだと思います。オンラインでのコミュニケーションが盛んな時代にあって、オフラインでのコミュニケーションの価値や重要性が再認識されたのと同様に、ロボットが日常生活に根付いたり仮想空間が発展した時代には、それによって私たちの人間性が奪われるのではなく、むしろ人間の温かさがより大事にされるようになっていくのではないかと思います。

nv0824    reply

今回の授業でもあったオンラインによるコミュニケーションの弊害について、私自身も実感しています。オンライン会議サービスでは、自分自身がその人を見ていたとしても、その相手には私が画面のどこかを見つめているようにしか見えないのだろうなと思いながら話をしています。また、オンライン授業でディスカッションやプレゼンをするときも聞き手の顔色などを伺うことができないため、自分の声がちゃんと聞き手に届いているのだろうかと不安に駆り立てられます。このように今の段階ではオンラインによるコミュニケーションには大きな障害があると実感しています。

tugariz    reply

今回の講義で、コロナ禍でのオンライン化の進展により「場の雰囲気の共有」や「視線の共有」が失われコミュニケーションに制約が生じているというお話が印象に残った。オンライン授業などでzoomを使うと、便利な面もあるが、相手と目線が合わなかったり、カメラがオフの場合お互いの表情も分からなかったりして、戸惑いを感じていたことに思い当たった。このような状況が続くことで、講義の最後に言われたようなコミュニケーション能力の低下や責任感の欠如など「実感の喪失」が起きるのであれば、想像以上に危惧すべき問題だと感じた。

mehikari18    reply

現在、コロナ禍の中でさまざまな活動がオンラインになっているが、そのような状態になってから、なんとも言えない疲労感・窮屈さを感じることが多かったが、今回の講義を聞いて、運動主体感・身体保有感の低下やオキシトシンの不足がその理由なのではないかと知ることができ、なんとなく腑に落ちた。しかし、このオンラインが主体の社会は、空間の制約を最小化できるという大きな利点があるので、運動主体感・身体保有感の獲得やオキシトシンの分泌が、オンライン上でも可能になるような技術開発を進めることが大切だと思った。

sakasaka05    reply

私が今まで持っていたロボットのイメージは、人間にとって便利であるが同時に従来の人間の仕事を奪っていく可能性も持ち合わせた存在という程度でした。あまり介護やスポーツといった側面でのロボットの働きについては知らなかったため、今回サービスロボットの可能性を知ることが出来て非常に面白かったです。一方でロボットからは人間とのコミュニケーションであれば得られるであろう実感を得られないというデメリットも持ち合わせていることを同時に今回の授業で学びました。物には必ず二面性があることを意識した上でのサービスロボットの有効活用を今後望んでいます。

choi1125    reply

コロナの流行によって対面での活動が制限されるにつれてロボット技術の活用の需要が高まっているのにもかかわらず、日本では新しい技術の導入が遅く、介護などでもロボットの利用が日本では少ないというのを知り、もったいないなと感じた。
またオンラインでのビデオ通話において視線が合わないというのは大学に入ってから何度も感じた違和感であり、対面での経験をオンラインで行うことの難しさを再認識できた。今後どのような技術でオンラインでの関わり合いをより現実的なものに近づけられるのか、興味がわいた。

dta28    reply

講義ありがとうございました。
私自身ももちろん、オンラインでのコミュニケーションが主流になってから、コミュニケーションが「対面性」の有無によって大きく変わった印象を受けておりましたが、それが今回の講義で「実感」という形をもって言語化されたように思います。
また、オキシトシンが身体に当てる影響を考えると、新型コロナウイルスが身体に与える影響として、運動機会の喪失だけでなく、対面性の喪失をも捉えること不可欠であるのだと思いました。

touko8230    reply

サービスロボティクスという分野について恥ずかしながらあまり知識を持っていませんでしたが、講義であったように「ポストコロナ」の社会でより一層のニーズがあり、かつ私たちの生活での大きな手がかりを与えてくれる分野だと理解でき、本講義で具体的なイメージを持つことができとても良かったと感じています。
お話の中で最も興味深かったのは、サイバネティック・アバターという技術の開発です。サービスロボティクスという人間の活動を手助けするロボットとは異なり、自分自身となるロボットが存在するという意味で非常に異質なプロジェクトのように感じられました。ロボットが運動主体感・身体保有感を持つのであれば、現在オンライン上で得ることが難しい「実感」を、われわれが外部空間に出ることなく得られるようになる日も近いのかもしれませんが、そのような「実感」には非常に抵抗感があるのが正直なところです。

jacky07    reply

恥ずかしながら今回の講義を聞くまで介護の分野におけるロボットの貢献については詳しく知りませんでしたし、自分からも縁遠いものだと考えていました。
しかし、コロナ禍を通して物理的な接触機会が奪われる経験をし、また今回の講義を受けて、人間同士のふれあいの重要性を実感し、被介護者と一部の経験を共有することで多少は介護という領域を身近に感じられるようになったと思います。
ロボットが腰痛などの介護士の負担を軽減しうる段階まで進歩していると分かったので、これからの動向にも注目しようと思います。

DonnyHathaway21    reply

貴重なご講演ありがとうございました。
質疑応答の中で、ゆくゆくは現実のをAIやロボットに置き換えればいいかという質問に対して、私はそうは考えないと否定なさっていたのが意外でした。というのも、私の勝手なイメージですが、ロボットテクノロジー研究者というのは人間を疎外して機械化を進めているというような印象があったからです。(失礼で申し訳ありません)しかし、その研究の視点は常に人間に置かれているというのが先生のお話からわかり、誤解がとけました。ヒトとヒトとの関わりをより有機的に繋ぐロボット技術の発展を望んでいます。

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