ディシプリン(学問領域)に
とらわれない思考を身につけたい

第4回 10月27日 高木聡一郎

デフレーミング概念で考えるビジネス創造とレジリエンス戦略

 「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」という言葉は広く語られているが、それがどのような方向で社会を変革しているかは必ずしも明確ではなかった。本講義では、デジタル技術が社会にもたらす本質的な変化を「デフレーミング」という概念で捉え、その3つの要素である「分解と組み換え」、「個別最適化」、「個人化」を手掛かりに、最新のビジネス動向を読み解く。それらを踏まえ、不確実性の高い時代におけるビジネス創造とレジリエンス戦略について考える。

講師紹介

高木聡一郎
東京大学大学院情報学環准教授。国際大学GLOCOM主幹研究員を兼務。国際大学GLOCOM教授等を経て2019年より現職。これまでにハーバード大学ケネディスクール行政大学院アジア・プログラム・フェローなどを歴任。専門分野は情報経済学、デジタル経済論。主な著書に「デフレーミング戦略 アフター・プラットフォーム時代のデジタル経済の原則」(翔泳社)など。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。
参考文献
  • 高木聡一郎『デフレーミング戦略:アフター・プラットフォーム時代のデジタル経済の原則』翔泳社、2019。
  • TAKAGI, Soichiro, Deframing Strategy: How Digital Technologies Are Transforming Businesses and Organizations, and How We Can Cope with It, Singapore : World Scientific., 2021(内容は日本語版からさらに増補).
授業風景

 第4回は、東京大学大学院情報学環准教授、東京大学芸術創造連携研究機構アートセンターフェロー等を務められる高木聡一郎先生に御登壇いただき、コロナ禍におけるビジネスの新たなあり方を、ご自身の「デフレーミング」という概念を踏まえながらお話しいただいた。

 高木先生のご専門は情報経済学とデジタル経済学で、コロナ禍以前の2019年ごろ、急速なデジタル化が進む世界経済の変化のあり方を包括的に捉える「デフレーミング」概念を提唱された。今回の講義では、コロナ禍に見られる事例も踏まえつつ、この概念の背景や基本要素についてお話いただいた。

 コロナ禍以前から、デジタル・トランスフォーメーション(行政・企業によるデジタル化の動き)は進んでいたが、感染症の世界的流行による接触・移動の抑制はこの動きをさらに加速させており、企業は経営戦略の再考を迫られている。例えば、航空会社の社員の他業種(家電販売等)への出向、タクシー会社の食品配達業界への参入等、各社は従来のコアコンピテンス(主要な強み)を再考・分解し、業種の幅を超えて事業を再編成している。この2つの例はともに、コアコンピテンスとしての「サービス」を活かし、他業種に参入した例である。

 こうした事業再編成の動きは世界的に見られている。高木先生は、これを「デフレーミング」という概念でまとめられた。「デフレーミング」とは、伝統的なサービスの枠組みを超えて、事業・社員といった企業の内部要素が組み合わされて、新たな形にカスタマイズされることであるという。なぜ、ビジネスではこのような「組み替え」が行われてきたのだろうか。

 この現象の背景には、世界規模で進むデジタル化に起因した「取引コストの低減」がある。取引コストとは、生産原価以外にかかるコスト(業務の発注先の探索や、発注先との仕様調整、決済、監視、評価といった外部発注に関わるコスト)を指す。ITによりこうした業務の負担は軽減され、企業による外部への業務発注も容易となった。こうして、国際社会は市場的な社会システムへと移行したという。

 デフレーミング概念はつぎの3つの要素、すなわち「分解と組み替え」、「個別最適化」、「個人化」に分けて考えられるという。これら3つの要素は、ビジネスの異なる次元(事業ドメイン、ビジネスモデル、組織運営・働き方)におけるデフレーミング現象を説明している。

 まず、企業による事業ドメインの「分解と組み替え」は、冒頭の例のような企業によるサービスの組み替え、戦略の変更のことである。とりわけ、新型コロナの流行により高まったニーズ(食品配達やコミュニケーション、エンターテイメント等)を狙って、企業が従来のサービスを「分解」し、「特化」する例も見られている。こうした経済の変革を、先生は「範囲の経済」から「特化の経済」への変革と捉えている。他方で、中国のAlipayやWeChat、日本のLINEのように、生活の様々な側面をひろくカバーする強力かつ包括的なアプリケーション(スーパーアプリ)も台頭してきている。

 つぎに、ビジネスモデルでは「個別最適化」が進んでいる。生産コストや取引コストの低下に伴って、企業は細かなニーズに対応できるようにカスタマイズ化された商品を販売する傾向にあるという。これには、たとえばNIKEスニーカーがオンラインでおこっているセミオーダー・サービスのようなマス・カスタマイゼーション(カスタマイズ化された大量生産)のほか、資生堂が展開する各人のその日の肌の調子に合わせた化粧品のサブスクリプションサービスのようなパーソナライゼーションが挙げられる。こうしたサービスには、ビッグデータやAIといった新たな技術の貢献も大きい。反面、これには専門的なサービスにとっては適応しづらいという限界もある。

 最後に、企業の組織運営や働き方の次元では、組織の枠組みから解放された「個人化」が進行していると指摘された。コロナ禍において在宅勤務という就業形態が浸透するなか、自立性や柔軟性といった価値に注目が集まっている。企業組織の外部でも、フリーランス化やクラウドソーシング化(個人がインターネットのプラットフォームに登録しておき、そこを介して業務を受発注する形態)が進んでいる。また、社会的に影響力のある個人(インフルエンサー)に販促を委託するようなインフルエンサー・マーケティングも行われている。フリーランス化が進むと他方で、企業組織に代わる新たなコミュニティへのニーズが高まる。こうしたコミュニティの機能を備えた創造やコラボレーションの場として、コワーキングスペース(WeWork、LODGE、7F等)にも注目が集まっている。

 ビジネスにおける従来の枠組みを柔軟に組み替える「デフレーミング」は、コロナ禍以降もつづく長期的な傾向であると、先生は指摘している。こうした変化をつうじて、社会のレジリエンス(変化への適応力)が高まる一方で、既存の事業を再編成することによって雇用の変動といった不安定要素がもたらされる可能性もある。

 質疑応答のなかでは、企業によるデフレーミング戦略が、トップダウン式の事業部門の切り捨てをひき起こすことへの懸念が受講者から示された。回答のなかで先生は、雇用問題に対する議論の必要性や、雇用の流動性と安定性の両立の重要性を強調されていた。

 コロナ禍の経験をとおして、企業や個人は以前にも増して柔軟な発想で「生き残り戦略」を立てつつある。私たち一人ひとりが、自身の強みを分解して解釈し直し、変化にたいして柔軟に適応できるような、しなやかな思考が求められているのかもしれない。

(文責:TA松浦)

コメント(最新2件 / 26)

taisei0303    reply

個人化という概念が面白かったです。例えば、YouTubeはTVにはない魅力があると思っています。お笑いの単独ライブのように、YouTuberが好きなことをひたすらやるというのが、ファンにとってはたまらなかったりします。また、テレビと違って、視聴者がやってほしい企画を提案できたりするのも魅力だと思います。YouTuberが個人的にやりたいこと、視聴者が個人的に見たいものが実現するという意味で、YouTubeは個人化の最たる例だと思います。

face1030    reply

デフレーミングという知らなかった概念について知ることができました。コロナによってデジタル化に関する変化が多々起きたとは聞いていましたが、その具体的な一面についての話を聞けて良い機会となりました。デフレーミングの例からわかるように柔軟な発想が非常に必要とされる時代になってきていると感じられたので、自身の持つものと周りのものの関連を色々と考えていきたいと思います。

sk0515    reply

デフレーミングという考えを今日の講義で初めて知りました。従来のパッケージを分解し個々の要素を繋げるという発想は非常に面白いと思いました。インターネットの普及、もっと言うなら近代ヨーロッパの啓蒙思想から始まる「個人化」の流れで捉えられる現象なのだろうかと感じました。人々が地縁・血縁などの因習から解放されているのと同様に、学校や銀行といった従来のパッケージに含まれる個々の要素も、そのパッケージから解放されていると比喩的に捉えることも可能だと感じました。

q1350    reply

事業者としての顔について、デフレーミングが進むことで各事業者の分野が従来の枠組みをこえ、または組み替えて総合的な事業になっていき、一面的な顔でなくなってきていることがよくわかった。その点では、大企業がより大規模になりやすく、幅広い市場においてその優位性を占めるため、格差が広がる危険性も孕んでいるのではないかと思った。また、コロナ禍においてデジタル化が進む中、今日のデフレーミングはより直接対面において欠落した要素、すなわちコミュニケーションの面におけるニーズを満たすような枠組みの組み替えが盛んになってきていると思った。またコロナ禍は更にニーズの満たし方のアプローチさえも変えていることを知り、コロナがビジネスに与えた影響の大きさを知った。個別化された人間を対象とする時、形式知化の作業が膨大になるが、それをオーダーメイド製造などで克服するなど、多様な対応が求められると実感した。

samiru618    reply

講義を受けて、私たちは今まさに時代の変わり目を生きているんだなと感じました。コロナ禍での生活に適応するには、デフレーミングをする勇気と柔軟な発想や考え方が大事なのかなと思いました。個人的には、スーパーがいずれアマゾンの倉庫のようになるかもしれないというお話がなかなか衝撃的でしたが、デフレーミングの3つの要素とも事例が身近でとても分かりやすかったです。興味深いお話をありがとうございました。

赤尾竜将    reply

僕はビジネスと聞くと自らの利益をできる限り増やすことを最優先するというような悪い印象を抱いていたのですが、今回の講義で「分解と組み換え」によって消費者の手間を省き、「個別最適化」によって消費者一人ひとりの要求に応え、「個人化」によって個人がのびのびと仕事ができるようになるといったような、必ずしも利益の最大化を目的としているわけではなく、消費者の満足するようなサービスを提供しようという奉仕のような精神があり、なおかつそれらすべては新しい事業として利益も十分に得ることができる理想的な考えだと感じました。今回の講義はとても面白かったです。ありがとうございました。

noguchi5rohgoya    reply

パンデミック下で物理的な接触が制限される中、対面でのコミュニケーションが持っていた価値を改めて捉えなおす必要に迫られた我々ですが、その中でも事業をしている人々はこれまでの「事業の顔」のデフレーミングを加速しているということで、やはり大きな危機というのは様々な局面で枠組みを変革する強制力を持つのだなと思います。従来の時代に最適化され画一的かつ大規模に存在してきたため当然となっている既存の枠組みを要素に分解するというデフレーミングの第一ステップすら、既存の枠組みに染まった我々の想像力では難しいところがあるかもしれませんが、そんな中私がよく知るサービスのいくつかすらそのような経緯を経て誕生してきたのだと知り、驚きました。今回のお話は、自分の家で常に行っていることといったレベルでもなにかしらのデフレーミングができるのではないかといった気持ちが湧いてくるようなrousingなもので大変楽しませていただきました。ありがとうございました。

ken0712    reply

私たちが普段目にする「新しいサービス」というのが具体的にどのように新しいのか?ということはあまり考えたことがなかったが、この講義を受けてそのほとんどが全くの新しい発想というよりは既存のサービスや事業を分解し組み替えることによって作られているのだと気付かされた。今まではこのような新しいサービスを受け取る側であったが、コロナによってこの「分解・再構築」のペースが速くなっていることを考えると、例えばどこかの企業でずっと働き続けるというような「安定」した生き方は難しいのかもしれず、自分自身でもこの「分解・再構築」を考えていく必要があることを自覚できた。

yk0819    reply

コロナを原因として、インターネットを利用したサービスが普及していく勢いには驚かされる。日本のタクシーもデリバリー事業に参入していたとは知らなかった。
デフレーミングの話は興味深かった。まず、lineやwechatに見られるような送金とメッセージの組み合わせは今では非常に便利で皆使っているが、このような新しい組み合わせで利益を生み出す方法を発想する難しさはあると思う。次に個別最適化の説明を聞いて、以前読んだSFにおいて、長いビデオメッセージの必要な部分だけをAIが抽出してくれるという描写があったのを思い出し、こういったものも実現していく時代なのだと感心した。uuum所属のyoutuberが、マージンを取られる代わりにuuumが面倒なことを引き受けてくれると言っていたこともあり、所属するかどうかは難しい問題なのだろう。フリーランスは会社に縛られない反面、社会的安定性に不安を覚える情報も多く自分がどう働くかはしっかり考えないといけないと思った。

0326ema    reply

デフレーミングという考え方を初めて知りましたが、非常に説明がわかりやすかったです。コロナという極めてイレギュラーな出来事によって社会全体が急速に変化していくメカニズムを理論的に把握できたと思います。お話を聞き、個人でも会社でも、自分の強みを正確に分析し把握すること、そして自分の強みを活かせる分野における潜在的なニーズを見つけていくことが重要であると感じました。また、個人が重要視される社会になっていくということで、一技術に特化した人材と幅広い分野についての知識や技術が身についた人材のどちらを目指すか考えていかなければならないと感じました。

tsugu851    reply

授業ありがとうございました。コロナも相まって、現代では過去当たり前だったものがどんどん変革しています。Uber EATSがレストランの在り方を変えたり、企業の提携や、ガスや電気の自由化、格安モバイルなど(デフレーミングにいい例かわからないところもありますが)、異業種への進出が増えていることは感じていました。大学も、個人的に、キャンパスの存在意義が、オンライン授業の普及で揺らいでいる(というといいすぎだとは思いますが)ところがあると思います。そんな社会に生きている私たちだから、柔軟に考え、常識にとらわれすぎず生きていくことが大事なのかなと思いました。

mhy2135    reply

デフレーミングという概念をこの講義で初めて知りました。パンデミックにより我々が出来ないこと、やってはいけないこと、自粛した方がよいことが増えたからこそ分解して新たな価値を発見することがより大切になっているのだとよくわかりました。また企業という枠を超えた個人での活躍の代表例であるYouTuberが、事務所という企業を構成するようになる、という流れは興味深かったです。個によってもたらされるイノベーションが企業活動にまで変革を及ぼしている、と考えることが出来るのではないか、などと思いました。ちなみに小さな独占によってユーザーベースを獲得するのがまず大事、という話は、自分の祖父も狭い1分野に特化した小会社を経営しているのでそこに重なりました。

L1F2    reply

デフレーミングの概念の中でも「分解と組み換え」の話が非常に面白かった。テンセントの、情報を送るという点で共通するコミュニケーションと金融が結びつくのは連想ゲームのようだと思った。最近FacebookがメタバースなどのVR事業に進出しているのもこの「分解と組み換え」で説明されると思うが、Facebookが社名を変更しようとしている、という話はまさに、SNSとしてのFacebookという既存の枠を超えようとしている好例だと思った。

lmn7    reply

デジタル技術が次々と発展していく現代において、以前からあったものを捉え直すことの重要性がより鮮明に感じられました。また、コロナ化でさらに急変していくサービスのあり方の事例は知らなかったものも多く、驚くことばかりでした。一方で、リソースを組み直しによりあまりに多くの選択肢が生まれるがゆえに、情報を集め本当に自分にあった形で個別化していくことの難しさや、そもそもの個別化することの意味について再考することの重みも同時に感じました。

DonnyHathaway21    reply

パッケージから離れ、要素ごとに分解をして組み直すというのは、ディシプリンに囚われないというこの講義のテーマをまさしく体現したもので、とても興味深かったです。そもそも大学での勉強や研究は、学んできたことを分野を超えて組み直すという取り組みであると感じています。デフレーミングの概念が学際側から生じたのはそういう意味でとても納得が出来ました。分野に囚われない思考を大学で身につけ、個別化が進む時代に対応していきたいです。

tugariz    reply

デフレーミングに対応する具体的な企業の取り組みが興味深かった。特にサービスの分解と組み換えという概念はなじみがなかったが、LINEがコミュニケーション以外のサービスに進出しているなど、たしかに様々な身近なビジネスで行われていることに気づいた。コロナ禍で食品デリバリーサービスや個人向けワーキングスペースの普及が進んでいるというニュースはよく耳にするが、それらは一時的なものではなく、コロナ禍をきっかけとしたビジネスの不可逆的な変化の表れであるということが分かった。

nv0824    reply

デフレーミングという概念について初めて知りましたが、とても興味深かったです。コロナ渦によってオンライン化が進み、私たちの生活スタイルは大きく変化したと思います。様々な作業や手続きなどがオンラインで行われるようになったことで、勿論その中にはオンラインよりも対面の方が向いていて不便だと感じるものもあるかもしれませんが、オンライン化によって移動の時間などを節約することができ、一人一人が自分の時間をより効率的に使うことが可能になったと思います。よってコロナが終息して我々が日常を取り戻したとしてもすべてが元通りになるのではなく、コロナ渦で生じた変化がそのまま社会の変化として浸透していくのだと思います。

mehikari18    reply

今回の講義で、既存のサービスを見直すことで、より柔軟性の高い、個人個人への最適化を図れるような新たなサービスの可能性を見出すことができるということを知ることができた。そして、デフレーミングを行って様々な業種の様々なサービスを提供している大きな企業・プラットフォームの中で、いろんな人々が各々の専門を追求しているという現状をみて、サービスの全般化と利用者の専門化という反対方向の傾向が同時進行しているのは面白いなと感じた。

choi1125    reply

デジタルテクノロジーの発展による取引にかかるコストの低下によってデフレーミングという新しい傾向が生まれているということを知った。デフレーミングによって、より効率的に一人一人が自己の能力を発揮できる一方、事業形態の変化に応じた雇用の変動の問題は見過ごせない問題であると思った。上手く仕組みをつくることでどうにかこれを解決できないか、もう少し考えてみたくなった。

dta28    reply

講義ありがとうございました。
コロナ禍というこれまでとは一変した社会に直面する現状だからこそ、企業そのものをゼロベース思考をもとに捉え直し、従来のパッケージを分解して要素を抽出することに大きな意義があるのだと思います。ただ、既存の枠組みを切り捨てることや、「個」に着目することにはユーザー層獲得の不十分や経営の不安定性など多様なリスクが伴うものなので、個人的には将来的な寡占状態を危惧するところでもあります。

sakasaka05    reply

デフレーミングという言葉は初めて聞き、難しい言葉あるいは概念だと思ったが、授業内で取り上げられていた数々の事例からデフレーミングについて理解が出来た。このデジタル化が進行している時代、そして最近は特にコロナ渦ということもあり、デフレーミングが我々にとって身近なものであることを実感しています。

gyoza0141    reply

20世紀以前の経済では消費者の需要が先にあってそれに生産者が答えていくというような消費者主体の経済でしたが、20世紀にはいって経済の主体が消費者ではなく生産者となり、消費者の需要そのものを生産者が作り出すようになってきたという話をどこかで聞いたことがあります。そういった意味で個別最適化というのは真に消費者のニーズに沿った経済の形だと感じました。でもそれが逆に現代においては、そのニーズすらも消費者の中から湧き上がってきたものではないかとも考えられるような気がしてしまいました。自分に合った商品が少ないからこそ、自分に合った商品を手に入れられるということが一種の価値となり、真に自分が欲しいと思っていなくてもその需要が生まれてくるというような。。。ただこういった発想の転換というか柔軟な思考というものを続けていかなければならないなと強く感じました。

jacky07    reply

分解と組み換えの概念はすぐには理解できなかったが、解説を聞いているとメルカリがキャッシュレス決済を始めたことや、Amazonのサブスクリプション特典が音楽や動画など多岐にわたることが想起されて理解が深まった。ただ、多くの企業がこうした分野横断的なビジネスを始めるとサービス内容が似通ってきてしまい、中小企業や後発の企業が参入しにくくなってしまうリスクもあると考える。組み換えが一定程度進展したのちには一つの事業に特化し、特に中小企業では他分野への拡大に慎重になることも必要な気がした。

283ama    reply

経済学という分野そのものが今まであまり触れたことのない学問領域でしたが、ある事業を個別の要素に分解し、新たに組み換えるデフレーミングがさまざまな事業で行われていると知り、非常に興味深いと思いました。そしてこうした「分解と組み換え」の考え方は、他の学問分野や日常生活にも応用できるものであると考えられます。問題をまず細分化してみるという考え方は昔から重要視されており、古典でいえばデカルト『方法序説』にもそうした考え方が書かれています。コロナ禍などさまざまな困難に取り巻かれた現代社会の中で、分解と組み換えという考え方の型を内在化しておくことが、困難を打開する一つの方策となりうるのかもしれません。

touko8230    reply

本講義のタイトルや概要を見た時から一連の講義のテーマであるFaceにどのように関連していくのか、非常に楽しみにしておりました。実際、今までの講義とは少し違った角度からのアプローチを伺うことができたと感じています。
対面が不可能になった時代においてデジタル化が進行した、とはよく言うものの、その裏で経済的な影響が及ぼされている、というのは新たな学びでした。デジタル化の本質である、取引コストの引き下げやそれを実現するためのリソースの組み換えなどがコロナで加速している現状は、確実に自分の生活の中で起きていることですが、あまり意識していなかったと思います。講義で紹介されていた個々人に合わせたサービスの提供というものも、ただ便利な時代になったな、と感じていただけでしたが、本来であれば対面で人によっ行われていたものであったはずであり、そのように欠けてしまった要素を補うための役割変化、再編成と考えられると学びました。
さらに、Faceを何か集団や団体を代表するものとしての「顔」という意味で解釈してお話していただいたのは、新たな視点を得ることができ、これからの講義を受ける際にも頭の隅に置いておきたいと思いました。

さたけ    reply

すいません、コメントを忘れておりました。
漠然と認識していた企業の方向転換や新事業の捉え方が以前より鮮明になったように感じます。

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